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ヘーゲル知覚説④

ゲシュタルトモデル

面倒な哲学文章を最後まで読む人はいないと思うので、結論から簡単に言おう。

〈返却〉されたモノの側、即ち外界にあるのはお互いに無限の差異と関係性{縁}を持つ無数の諸性質であるが、ヘーゲルはそれを一つのものに統合し、まとめ上げているのが意識の作用ということにする。1つ1つの音階の音の粒に対する楽曲、漢字の部分の線や点に対して意味を持つ1つの漢字のように。つまり、ゲシュタルト的なことである。意識は、無限に分割された性質の関係性{縁}のみが存在することをいったん否定して、仮構された対象を諸性質を材料として統合し〈モノ〉を建築するのである。以下、詳細である。

意識側から〈返却〉されたために、最終的に、モノの側にあるのはお互いに関係性を持つ諸性質の集合である…ヘーゲルの結論はライプニッツの思想に近い。

ライプニッツは、微分積分を発明した人だが、現実に存在するものの構成要素を分析していくと、それ以上分割できない、ひろがりも形も持たないモノに到達すると考えた 。これがモナドである。無数の差異を持つ、物理的にはゼロの最小単位だ。そして、このモナドには一つとして同じものはないと規定された。異なる性質を持たなければすべてのモナドは区別できず、複数のモナドがあるとはいえなくなるからである …これは③で出てきた説であり、不可識別者同一の原理という。止揚されるべき点だが、〈梵〉は自らのうちに差異や区別を持たないたうところ。つまり、全てが同じアートマンだったら、それぞれ異なる人間が成り立たない。同じだったら、どうして皆んな違う人間になるんだ?

よって、意識外には、無限の分割の果てに、無数のお互いに性質の異なるモナド的な最小単位(粒子)が存在するという、現代物理学の思想に近いものがヘーゲルの結論であった。事実、ヘーゲル弁証法の影響もあり、現代科学は発展した。無限の原子、分子の差異を経て量子、同じ光子でも粒子と波に分割される。つまり、モノというのは本来無く、実際には無限に分割された諸性質の差異という関係性{縁}がある。しかもこの無限の諸性質はカントの物自体のような意味では実在しないが必然的に在るとされる、そしてこの無限の諸性質の{縁}以外、何も実在しない。


甲≠乙≠丙≠丁≠戊≠己≠庚≠申≠壬≠癸…と差異が十など簡単に超えて数が増えていき…例えば一≠十…≠千…≠万…≠億≠兆≠京≠垓…杼≠穰≠溝≠澗≠正≠載≠極≠恒河沙阿僧祇那由他≠不可思議≠無量大数≠?…これは先に説明した〈悪無限〉である。


延長(広がりや形)を持たない、無数の関係性(縁)と性質を持つモナドが無限に分割され。それによりヘーゲル実在論的な、物が個別的なものとして実在するという前提がそもそも間違っている、という結論に達する。これをヘーゲルは没落 zu Grunde gehen と表現している。


知覚の対象はかかる本質的性質のゆえに没落(zugrunde‐gehen) して、その根に至る。


ちなみにこれはニーチェのあまりに有名な作中の台詞『こうしてツァラトストゥラの没落は始まった』はこのヘーゲルの〈zugrunde‐gehen〉のオマージュらしい。


では、意識側にはどういう結論が出たのだろうか?先に言ったように、知覚を通して認識した無限の差異だが、それをひとつのものに統合してまとめ上げているのが意識の作用というのがヘーゲルの結論である。つまり性質一つ一つでは漢字の部分やでしかないが、それをまとめ統合して1つの漢字(モノ)にしているのが意識、という結論である。音階の単音と楽曲しかりである。ゲシュタルトとして楽曲を把握する。差異のある程度のまとまり、{縁}の分節である諸性質のゲシュタルトが〈モノ〉なのだ。意識が諸性質の集合を照らしまとめ、また便宜的に世界認識できるよう区切り、他を排除して、1つ1つ個別なモノにしているのだ。

意識の外には無限の差異の関係性を持つ、無限に分割された諸性質の{縁}のみがあり…意識はそれを照らし{縁}を否定した上で、独立して存在するモノとして仮構するのだ。よって、そのモノは本来〈空〉である。これが色即是空

②説の問題点はそもそも意識側が諸性質を利用して組み上げた虚構であるところの〈空〉に、名色を分離させて取り出した名(観念)、つまるところの本体(ノウメノ)を代入してしまった処だ。

4回に渡ったが、以上がヘーゲル精神現象学』における対象と知覚の説からの論理展開の要約である。かなり仏教的なものと重なったと思うが、どうだろうか?




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