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映画「れいわ一揆」(原一男・監督作品)

2019年の参議院選挙比例代表候補者として「れいわ新選組」から立候補した安富あゆみ東大教授(東洋文化研究所)のユニークな選挙運動を軸に、代表の山本太郎氏を含めた他のれいわ新選組の候補者と支持者の運動や主張を織り交ぜながら撮られたドキュメンタリー映画。

docudocu.jp

2019年の10月に東京国際映画に参加、2020年1月にロッテルダム国際映画祭、2月にニューヨーク近代美術館で上映され、日本では2020年4月に全国で順次公開される予定だったものの、コロナの感染拡大をうけて延期になったまま、上映の目途が立っていないらしい。ドキュメンタリ-だけに旬というものもあろうし、不運としか言いようがない。

これがなんと、Japan Societyという団体の計らいで、アメリカでは7/17から2週間に限って$7で30時間以内なら何度でも視聴できるという。有難い。観ないわけにはいかない。決して映画好きではない私の観た今年2本目の映画となった。

japancuts.japansociety.org

映画は、「女性装」をする東大教授の安富歩氏のユニークな選挙運動を中心に、後に特定枠で当選を果たす木村英子氏とその応援に駆けつけた障害者の姿と主張や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏、元ホームレスでシングルマザー渡辺てるこ氏、元コンビニオーナー三井よしふみ氏、環境運動家の辻村ちひろ氏、元東電社員にして元拉致被害者会家族会の元事務局長の蓮池透氏、公明党党首を名指しで批判し東京選挙区に立候補した創価学会員野原よしまさ氏、そして今は除名処分となってしまった元投資銀行トレーダーの大西氏のカットを織り込みながらおおむね時系列で選挙の開票後までが撮られている。2019年の参議院選挙を「お祭り騒ぎ」にした、れいわ新選組の記録映画であるとも言える。ただし、れいわ新選組は映画製作には一切関わっていないらしい。

4時間を超える長尺でありながら、一気に見せる勢いがあるのは、れいわ新選組の街頭演説(おもに党首山本太郎氏)に集まった観衆の熱狂の様を的確に画にして観る側に伝える原監督の興味から来る技量によるものが大きいと感じる。

参院選に遡ること1年前、原一男監督は、主宰する「原一男のネットdeCinema塾」で「女性装」をする東大教授である安富氏をゲストに呼び、長いインタビューを行なっている。安富氏が2018年の7月に行われた東松山市長選で、馬を連れて歩いたりチンドンパレードしたりのユニークな選挙戦を展開して一部で話題になり、それが原一男監督の興味を引いたのが発端だろうと思われる。このあと安富氏が、れいわ新選組から参院選に出馬すると聞きつけ、原監督がドキュメンタリー映画を撮ろうと思い立ったのではないだろうか。

安富氏の言う「日本立場主義人民共和国」は、日本社会の時代遅れで病的な富国強兵国民国家システムを的確に説明している。明治神宮や東京駅や京都大学で、警備や職員の「立場の人」から馬共々追い出される顛末が、異質を排除してシステムを回し続けることこそを至上命題とする「立場主義」の狂気を象徴する出来事のひとつで、見もののシーンの1つである。「明治天皇の崩御を悲しんだ国民の浄財で作られた明治神宮」の敷地を破壊して作られた新国立競技場(オリンピックスタジアム)への痛烈な皮肉。氏の連れて歩いている馬に、大人は遠巻きに恐れるところ、子供は怖がりながらも興味深々に近づいて来ようとする姿、授業が始まるチャイムが鳴るという一斉に教室に帰っていく子供たちの姿もまた、氏の「子供を守ろう」という主張を象徴しているシーンだろう。安富氏の解釈するマイケル・ジャクソンの「Thriller」のゾンビ達は、社会というシステムの手先になり果てた大人の姿であるという指摘はなるほど、そういう見方も出来る。

京大で博士号を取り東大教授にまでになった氏が、選挙運動最終日に独り、出身地の大阪で感極まって泣く姿は、エリートに見える彼とて幸せな子供時代を過ごしたわけでは無かったのだろうと心を打つ。

折々に挟まれる馬と氏がポツンと歩いていくロングショットが、選挙運動に帯同した片岡祐介氏のピアニカの哀愁のある独奏旋律も相まって、安富氏のみならず孤独な「当事者の集団」であるれいわ新選組の候補者たちの選挙運動の雰囲気と世間の乖離をよく表している。また東京選挙区でトップ当選を果たす丸川珠代氏の組織だった選挙運動を見て、安富氏が「本人は本人の力で当選したと思っていない」と語るくだりは、システムを回し続けるための組織的な政党選挙への痛烈な皮肉で、妙味がある。

エンドロールのその最後に30秒ほど、安富氏が楽しそうにしている姿が収められている。この表情こそ監督原一男が納得して撮りたかったシーンの1つであろうと思う。

また近いうちに「お祭り騒ぎ」を観たいものである。馬を遠巻きに見ていた子供たちもやがて大人になり選挙権を得る。これは始まりに過ぎないような気もする。




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