一通り目を通したので感想をメモ。この分野に関心があれば目を通しておいて損のない一冊ではないかと感じた。
中小企業の後継者不在問題への法律面での対応について解説した本。実務経験豊富な先生方の手によるもの。
第1部で後継者不在問題の全体像が法務面での対応も含めて鳥瞰される。数字とともに語られる現状は問題の深刻さを痛感させられる*1。
第2部は後継者不在問題への対応で、相談を受けた場合の初動というか、対応方針の決め方について解説がなされている。問題点を整理し、対応の方向性を決めるまで、というところ。
第3部が本書のかなめの部分というべき事業承継の方法についての具体的な説明。第1章で後継者候補が親族である場合、第2章では後継者候補が従業員等である場合、についてそれぞれ解説がなされる。親族相手の場合は、当然のことながら、相続に関する話が出てきて、税務も絡むとなかなか難しい。第3章ではM&Aの実施について、中小M&Aガイドラインを引きつつ解説がなされる。M&A自体の経験があるし、過去の勤務先でも社長が亡くなられて経営者がいなくなったサプライヤーさんを傘下に収める企業買収も経験しているので、ここはそこまで分かりづらくはなかった。第4章は、後継者が見つからない等の理由で廃業手続に進む場合にそれを如何に円滑に行うかが説かれている。倒産法周りは普段あまり縁がないので、こういうものかと思いながら読んだ。
第4部では債務超過企業での対応につき、第1章では事業継続する場合、第2章では廃業する場合についてそれぞれ説明がなされる。
最後の第5部では経営者保証の問題について、経営者保証ガイドラインの活用やその他の方法での対応につき説明がなされる。
全体を通じて、結構細かいところまで丁寧に解説がなされているという感が強かった。利害関係人も多様になり得るところでは、抜け漏れのない対応が求められることの裏返しなのだろう。また、設例を使ってのあてはめ例も記載されていて、それぞれの制度の使われ方がイメージしやすいと感じた。
全体を通じて、多様な問題を孕む話ということを改めて感じたし、それ故に、この本に目を通しても、直ちにこの種の案件に対応できるようになるとは思えないが、知らないよりは知っていたほうが良いと思うので、この種の案件を扱うのであれば本書には目を通しておいて損はないだろうと感じた。
*1:診断士の受験勉強で一端には接するのだが...