一通り目を通したので感想をメモ。監査等委員会設置会社の法務に関わるならば、座右において、辞書的に使うのに適しているのではないかと思う。
なお、著者からご恵投をいただいた経緯もあり、以下の内容に一定のバイアスがかかっている可能性があることをあらかじめ付言しておく。
制度導入から10年たち、事例が相応に蓄積されたと思われるところを踏まえ、監査等委員会設置会社の「ベストプラクティス」をQA形式でまとめたものというのが、本書の概要になろうか。監査等委員会設置会社についての本は、制度導入時期に一定数出たものの、その後は、監査等委員会に絞った本はあまり出ていないように思われるところで、実務で事例が積み重なったであろうこの時期に、こういう本を出すというのは良い目の付け所なのではないかと思う。一弁の会社法部会の先生方というこの分野で経験を蓄積していると思われる著者の手によるところも、内容の的確さを確保する上では適切だったのではなかろうか。全体は6章構成で、最初の総論的な章の次には、個人レベルの話、委員会または委員としての活動、会議体としての委員会の運営、取締役会、総会、そのほかの事項、という順序でミクロからマクロに徐々に視点を移す感じの構成になっている。
こちらの現職が監査等委員会設置会社ということもあり、一通り目を通してみた。監査等委員会設置会社で機関面も含めた法務に従事しているとはいえ、会社法周りの話がそうそう問題になるわけでもないので、本書の内容を評価できるほどの経験値があるとは思い難いが、こちらが読む限り、裁判例や定評ある文献、上場基準、助言会社の指針等を基に、手堅い議論と実務がまとめられているのではないかと感じた。監査役会設置会社、指名委員会等設置会社との比較や図表の使用も理解を促していると思う。監査等委員会設置会社制度が本格化する前に司法試験に合格して、この制度をしっかり学習しないままここまで来たこともあり、読んでみると、こういう制度になっていたのか、というところもあった。辞書的に使えるようにクロスレファレンスも相応に付されているので、通読せずとも、座右において、必要な都度、辞書を引くように、関係する箇所を読むという使い方もできるだろうし、寧ろそういう用途を想定して作られているものと考える。