例によって呟いたことを基に感想を箇条書きでメモ。
- 特集1の公益通報者保護制度の実効性向上に向けて――2025年公益通報者保護法改正。冒頭の山本先生の文章は、後続へのつなぎをしつつ、これまでの経緯がわかりやすくまとめられていると感じた。
柿崎先生の文章はコーポレートガバナンスの視点から公益通報制度をどう理解することができるかという部分の指摘になるほどと思った。
樋口先生の文章は公益通報者保護法で刑事罰を課すかどうかについて、今回の改正でなされたものの検討と今後の課題の指摘が興味深かった。改正時の議論がフォローできていなかったので。
川嶋先生の文章は証明責任転換ルール導入で事業者側の公益通報にかかる体制整備を促進することを期待する胸の指摘が興味深かった。そういう方向に働くのは想像でしていなかったので。
水町先生の文章は労働法の観点からの今回の改正のポイントの整理がわかりやすかった。
山口先生の文章は企業内の体制整備の重要性を改めて感じた。また、調査をしてみないと公益通報該当性は判断できないので、安易に該当性を否定する運用は控えるべきとのご指摘にも納得。
志水先生の文章は、今後の課題である資料収集・持出行為の面積についての展望がまとまっていてわかりやすく感じた。
特集は制度の実効性確保のための改善の道がまだ途上にあることをわかりやすく示していると感じた。 - 海外法律情報。
フィリピンの船員マグナカルタの制定、は、マグナカルタと表現が出てくるのが印象深い。内容的にはなるほどという感じ。
ノルウェーの親密な関係における暴力を防止することは国家を救うか、は、その種の犯罪による被害額と対応コストを明示しようとしているのが興味深い。 - 書評。
「論及 新時代の弁護士」への伊藤眞先生の書評は、いろいろ述べた割に最後の締めがそれなの?という気がした。
中里先生の租税論集への書評は、とりあえずすごいらしいという事だけはわかったような気がする。 - 特集その2は能動的サイバー防御。
イントロの文章の後の小向先生の文章は今回の立法の経緯等の文脈を示してくれている。
小西先生の文章は今回の法律における通信情報の利用の性質とサイバー情報通信監理委員会が果たすべき役割の解説。最終的には社会によるモニタリングが重要というところに行き着くのだろうか。
米田先生の文章は能動的サイバー防御としてのアクセス・無害化措置について、現状できる範囲の手を講じたようにも見える。自衛隊と警察の役割分担が興味深い。
稲盛参事官の文章は戦略本部を官民それぞれの会議体に分割したとあるが、分割した両者の意見の統合とかはどうやるのだろうというところが気になった。それと内閣サイバー官って官職名はどうなんだろうと思った。
西村先生の文章は国際法の観点から見て、今回の件に関する不明確な点の指摘が興味深い。主権侵害についての考え方にしても複数の見解があるとは知らなかった。
特集については、いざことが起きたらシャレにならなそうだけど、普段の生活や業務からは縁遠い感じがして、正直ピンとこない感じが残った(駄目)。 - 連載/地方創生に向けた官民連携の法実務は地方創生とインフラ整備(1)—ウォーターPPP・公共交通・脱炭素は、水とかは安全保障観点とか必要なのではないかと思ったのだが…。
- 判例詳解は、福島第一原発水素爆発事件上告審決定についての問題点の批判。草野意見へのものも含めて興味深い。「おわりに」に指摘されている「衆意」についての指摘に納得するものを感じた。
- 広報と法務は、法務が広報の力を借りる場面(1)—総論/訴訟対応①。まあそうかなと思う反面で、米国を引き合いに出した議論の仕方はやや疑問。米国に近づいている側面もあるがそれでもなお、かの国との違いは大きいと思うので。
- 判例速報。
会社法の取締役の第三者に対する不法行為責任は、スキームがおかしいビジネスで会社が破産してたらこういう結論になるんだろうなと思いながら読む。
労働判例の運賃着服等を理由とする退職手当不支給処分の適法性は、解説最後の判旨批判に賛成。いくら何でもという印象が強い。
独禁法のグーグル検索の端末実装に関し拘束条件付取引が認定された事例は、公取の手法についての指摘が、当該手法をフォローできていなかった分、興味深かった。
知財の「容器入り飲料」の意匠該当性は、こういう規範を立てればこういう結論になるんだろうなと思う。その規範の当否はさておき。
租税の破産財団に属する国外株式の配当の非課税所得該当性と破産管財人の納税義務は、文理解釈からすればそういう判断になるんだろうなと思いつつ読む。 - 時の判例の文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否は、性質上の差押禁止債権の列挙が興味深い。文化功労者に対する年金の額が思ったよりも少なくて、なんだか微妙な気分になった。
- 判例研究。
経済法の共同保険の組成と不当な取引制限
—大手損保会社による企業向け保険に関する保険料率等調整事件(東急事件)は、評釈での代理店も含めたスキームの説明を見ると、スキーム自体にリスクがあるように見えた。
商事の退職従業員の株式を取得価格で譲渡させる合意の有効性は、会社の状況に応じた対応の重要性を指摘する評釈に納得。
狭水道の航法に違反した船舶への横切り船の航法の重畳適用は、予防法自体知らなかった。そんなものかと思いながら読む。
CO2排出権証拠金取引における不法行為責任は、評釈最後の賭博性ゆえに公序良俗違反の可能性の指摘になるほどと思う。
労働判例の介護給付費支給決定における家族の介護負担の評価—松戸市ALS介護給付費事件は、評釈での国賠に関する指摘に納得。
渉外判例研究の代表取締役の権限濫用によって締結された契約と管轄合意・準拠法は、判旨の理由付けに対する評釈の批判につき、国際私法の議論の仕方に慣れていないせいか、興味深く感じた。
刑事判例研究の強要罪の件(詳細略)は、控訴審における事実誤認審査の在り方に関する議論、特に規範的評価が入る場合の扱いが興味深く感じた。
身体障害者に対する安全配慮義務違反の成否—大和高田市事件は、評釈での予見可能性の始期に関する指摘になるほどと思う。
租税判例研究の生協が運営する病院等の領収書と印紙税は、印紙税についての争いが訴訟になっていること自体に驚く。評釈最後に出てくる廃止論については、個人的には賛成。