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ジュリスト 2025年 06 月号 [雑誌]

例によって、呟いたことを基に目を通した範囲で感想を箇条書きでメモ。

  • 判例速報
    会社法の大株主に対する相談役報酬支払と利益供与は、120条をこういう用途に使うというのは面白いと感じた。他方で、解説最後の指摘も尤もだと思う。
    労働法の大学非常勤講師の労契法上の労働者性は、解説での判旨批判に納得。当てはめが酷くないかと思う。
    独禁法事例速報の競業者への干渉行為の「競争者に対する取引妨害」への該当性について判示した事例は、判決の示した基準も判断が難しいと感じた。仕方ないとは思うが。
    知財の同一性保持権・氏名表示権の趣旨—知財高判令和6・12・23は、氏名表示権の趣旨が興味深く、また、解説末尾の指摘は関係する実務では重要なポイントと感じた。
    租税の滞納者名簿が提出されて審議された秘密会の議事録と情報公開請求は、条文解釈としては厳格に考えると判旨のようになるのだろうが、解説後半(「しかしながら」以下)での指摘を考えるとそれだけで判断すべき話ではなく、被告行政庁がもっと主張すべき点を主張すべきだったのではないかと感じる。
  • 特集1は消費者法の多角的検討。
    イントロの文章の後の鹿野先生の原稿は、現状の状況の鳥瞰という意味では、こういう感じなんだろうなと思いつつ、書かれている内容を個別にどう具体化するかが難しそうにみえる。
    総論レベルの問題と各論レベルの問題の峻別は矢張り難しいということを感じる昨今。民法行動経済学と消費者法の課題は、議論が有効なところはあるだろうけど、その射程というか有効範囲の限界が気になった。
    ぱうぜセンセの消費者法における政策手法の多層化・多様化と環境法からの示唆は、なるほどと思う反面で、規制対象となる側から見て予測可能性が立たなくならないといいけど、と思う。
    刑事法学から見た消費者法の課題は、新たな犯罪類型を個別に設ける方が結局実効性が上がるのではないかという気がした。
    法実務・行政実務から見た消費者法の課題は、問題意識は理解できるように思うし、行政と民事責任の追及の連携強化は賛成できるけど、包括条項については、企業内法務の立場からは賛成しづらく感じる。
    特集は、そういう状況なのかと思いながら読むという程度。現職の業務上はToCの世界には立ち入らないし、そういうところで仕事をしていた時間が長いので、そうなってしまう。
  • 特集のもう一つは司法アクセスと法テラスの20年。
    イントロの文章に続き、「中の人」達中心の座談会。「中の人」達にはそう見えているのか、ということを伺い知ることができる点では有益。
    法テラスの20年—「すべての人と司法を結ぶ架け橋」を目指しては、中のエライ人の原稿で、めでたいところで野暮なことは言うなと感じた(汗)
    被害者の支援・加害者の出口支援は、現状の試みが興味深い。被害立替制度は理解を得るのは厳しそうな気がする。
    法テラスの「司法ソーシャルワーク」—萌芽から定着に見る展望については、「司法ソーシャルワーク」に肩入れしすぎていないかという気がするし、公益性が高いから、文句を言わずに採算度外視でやれという気配を感じて「成仏理論」めいたものを感じる。
    欧米法律扶助の変容の中での法テラスの20年—欧米との比較軸の中での法律扶助の持続的発展に向けては、英国・米国・北欧(スウェーデン)を主な比較軸としているけど、最後に英国に近いけどうまく行っている地域を上げている。そことの比較をしなかったのは何故なのかという疑問が残った。
    特集は、20周年のお祝いということと理解したが、意義深いこともしているのは否定できないけど、こういう内輪でウェイウェイしているだけの感のある特集でいいのかというのは疑問に思った。
  • 地方創生に向けた官民連携の法実務の地方における官民共同出資—「第三セクター」の新たな活用は、こういう活用の仕方があるのか、と思いながら読んだが、第三セクターのガバナンスはどういう設計をするのかが気になった。
  • 海外法律情報。
    フランスの民泊の規制手段を強化する法律は、まあ、そうなるよなと思う内容。特定企業名が出てくるのに苦笑。
    英国のクラウン・エステートと持続可能性の推進—2025年王室財産法は、王室の財産で投資とかをする前提になっているのに驚く。彼我の差は大きいのではないか。
  • 書評。
    田中亘著『企業法学の方法』に対しての書評は、著者の方法論への評者の慎重な対応が個人的には好ましく感じられた。こちらはローエコが万能とは感じられないので。
    國武英生ほか編著、淺野高宏ほか著『日本的雇用を問い直す――これからの労働法をどう考えるか』は読みどころと物足りない点の指摘のバランスが良いと感じた。
  • 連載/家庭裁判所の現状と展望は少年法改正による変化と少年非行の動向—裁判官の視点から。平成12年以降の法改正を振り返り、法改正による実務への影響、最近の少年非行の動向、今後の少年審判手続の課題等を紹介。普段縁のない世界の話なのでそういうものかと思いつつ読む。
  • 広報と法務の広報・PR領域に潜む法的リスク・コンプライアンスリスク(3)—製品・サービスPR、イベント開催等にまつわるリスクは、横断的な整理が有用と感じる。
  • 判例詳解の最高裁が示した「侵害関連情報」の解釈と最高裁判決後の実務—最二小判令和6・12・23は、実務の面倒なところを踏まえての解説が興味深かった。
  • 時の判例
    民事の株券発行前の株式譲渡の件(詳細略)は、効力については当事者間有効説が妥当だろうと感じていたので、その旨の判旨は納得だし、債権者代位権についての指摘にはなるほどと思いながら読んだ。
    刑事の児ポの件(詳細略)は、H26改正のときの立法解説が変だったのではないかと感じながら読む。
  • 判例研究。
    経済法の自社製の消毒剤以外では内視鏡洗浄消毒器が作動しないようにする行為が違法とされた事例については、評釈での命令批判に納得。
    商法の株主総会決議後の株式譲受人による株式買取請求権の行使の可否では、評釈の指摘に納得するとともに、特にIVの指摘が興味深く感じた。
    元取締役の法令違反と新株予約権行使に伴う損害の認定は、評釈での判旨の理由付けに対する批判に納得。
    決議の方法が著しく不公正なときに当たらないとされた事例は、評釈は穏当なのだろうけど、事実関係の面白さ(?)が印象的。
    労働判例労災保険メリット制適用特定事業主の不服申立て—国・札幌中央労基署長(一般財団法人あんしん財団)事件は、これまでの裁判例の動向の整理がわかりやすく感じた。
    被殻出血による死亡の業務起因性と新認定基準—国・岡山労基署長(日本電気)事件は、評釈での判旨での事実認定に対する疑問になるほどと思いながら読む。
    租税判例研究のゴルフ場の民事再生に伴う貸倒預託金債権の損金算入時期は、スタイルや言葉遣いに独特なものを感じた。
    渉外判例研究の複数国で著作物利用行為がなされた場合の準拠法決定は、なるほどと思いつつ読む。
    刑事判例研究の刑法190条にいう「遺棄」の意義および死体隠匿行為の「遺棄」該当性判断は、本罪の法益保護構造や最高裁が示した判断枠組みを丁寧に読み解いていると感じた。




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