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手直しの加減の問題

雑駁なメモ。例によってこちらの体感に基づくので異論反論があり得るのは言うまでもない。

こちらの現職のような地味でそこまで大きくないB2Bメーカーの法務だと時折出くわす問題に、相手方から提示される契約書の出来が悪いときにどうするか、というものがある。特に、相手がこちらよりも大きな日系企業のそれほど規模の大きくない出先(特に東南アジアの現法)のときによく見る気がする。複数の契約から文言をコピペしたものらしく、個別の条項はそれほどひどくないものの、全体としての整合性がないとか、一般条項は一見ちゃんとしているが、取引の実態条項は、いい加減とかそういうことがある。

 

「べき」論からすれば、出来の悪い文章はなおした方がいい、となるような気もするが、それで済むならそもそも悩みはしないし、それで済んだ経験は個人的にはない。

 

そもそもその種の事態が生じるのは、相手方の現地側に英文の契約について相応のわきまえのある人がいない、または、いても、その種の契約(調達契約ということになろう)を見る状況にないから、と思われる。そういうところで、こちらが一生懸命直したらどうなるか。迂闊に直すと、そもそも相手が理解できずに一律拒絶になったり、先方で日本の親会社法務に回されて、話がややこしくなる危険がある。その結果、結果的に自社に不利になるだけならまだましだが、契約締結までに要する時間が長くなる可能性もある。締結が遅くなると、自社製品の納期との関係で別の面倒が生じる可能性もある*1。ついでにいうと、仮に日本の親会社がきれいな文言を作ったとしても、わきまえの足りない現地が適切に運用できる保証はない*2

 

そういうことまで考えると、いわゆるカタログ品の売買のような類型的に相対的にリスクの管理のしやすい契約であれば、現場での経験も踏まえて、正味問題になりそうな箇所に絞って*3、複雑でない表現で、相手方の現地単体で合意できる程度の最低限の手当てをして、内容面では現地でネゴができる状態に持っていくというところを狙うのが良いのではないかと考える。その際には文言のみならず、相手を説得するための理屈についても同様の考慮に基づくことが必要になるかもしれない。そのあたりの手加減のようなものを考えるのは、なかなか容易ではないと感じる。

*1:契約締結をもって自社製品の製造に必要な部品材料の手配を始めるようなケースも想定可能だろう。契約締結に至らないリスクも覚悟で先行手配するというのは常に可能な対応とは言い難い。

*2:こちら側の現地については(以下略)

*3:リスクベースアプローチという言い方もできるかもしれない。




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