一通り目を通したので感想をメモ。企業法務に関わるなら手元にあって損はない一冊ではないか。
本書については、99問の著者である無双御大*1の次の呟きがあった。無双御大ならではの呟きだと思う。
某書については、企業法務で参照すべきURLをまとめた資料が無料公開されており、少なくともこの資料はダウンロードして読む価値がある。後は、本書に4000円を出すかは、何割知らない本があるか次第であり、正直なところ、どの頁を見ても知らない本がなかったので…。 #読書https://t.co/nxmv7jzyse
— QB被害者対策弁護団団員ronnor✌︎('ω'✌︎ ) (@ahowota) 2025年3月25日
確かにURLのリンク集は有用であるが、それだけか、というとどうだろうと思ったので目を通してみた。
所謂東京の四大*2事務所の働き盛りの世代の弁護士が中心となって*3、リサーチについてまとめたもの、ということになろうか。99問とは異なり、個別具体的な情報の探し方に重点が置かれている印象*4。
本書は、第1章で総論的な話をした後で、各章で分野ごとの解説をする構成。各論では、その分野の特徴を述べた後で、その分野で良く使う個別のツールについて、および、その分野での個別の領域についてのリサーチの実務が、時に事例を用いて、説かれている。
それぞれの分野ごとに、まずは見るべきと、判断された本、サイトなどが、まとまって示されているとところは、個別のリサーチをする際の「あたり」がつけやすくなるという意味で、価値があるのではないかと思う*5。それぞれの分野で一定の経験ある先生方が選んで掲載しているところにも、価値があるだろう*6。
と、ほめてばかりでもつまらないので、気になったこと等を、気づいた範囲で若干メモしてみる。いずれも本書の価値を損なうレベルではないと思う。こういう本だと、書いてあることも然ることながら、書かれているべきと思いつつ、書かれていないことにどういう意味があるのかが、気になる。
- 企業法務のリーガルリサーチと言っても、法令ベースで、条例の話はほぼ出てこない。環境系のリーガルリサーチ等ではそのあたりを調べるのに手間取ることがあるのだが。そういう話は四大では扱わないということなのかもしれない。
- 要件事実を調べるツールとして、某O元判事の要件事実マニュアルに言及がないのはどういう意味か。基本書として記載する訳にはいかないという判断は理解できなくもないが、結果として出てこないのには違和感が残る。四大であっても使ってはいるだろうに。裁判所に気を使ったというわけではないだろうけど。
- 上訴周りのリサーチについて、1審と基本一緒、みたいな話が書かれているが、そうだっけ?と疑問。民事裁判修習で上告審の手続の武藤判事の判タの記事とか勧められたけど、ああいうのは入らないのは何故?と疑問。
- 登記周りのリサーチで先例集とかが出てこないのは大丈夫なのかと気になった。要するに司法書士さんにそのあたりも含めてお願いしているから、詳細不明ということなのではないかと感じたが、どうだろうか。
いずれにしても、冒頭の無双御大のようなコメントはあるものの、無双でない一般民にとっては、リサーチの助けになると思うので、手元にあって損はないのではなかろうか。願わくは、適宜のタイミングで内容を更新していただけると助かるのだが...*7。
*1:こちらも共著者ではあるが、無双御大の原稿に突っ込みを入れていただけなので...。
*2:例によってTMIはのけ者にされている。「中の人」にとっては違いはあるのかもしれないが、依頼者サイドに有意にわかる差があるのかは個人的に疑問。基本は士業の個人の集合体なのだから、どの事務所か、というよりも個人として「あたり」は「あたり」で「はずれ」は「はずれ」でしかないのではないかと思うのだが(その辺は依頼者にとっての相性も含めてのことではあるが...)。
*3:それより上になると顧客対応が中心になって、リサーチについてあれこれ言えなくなるのではないかという推測をしているのだが、当たっているだろうか。
*4:既に経文威武先輩からご指摘があったと思うが、99問の方が異例なのだろう。
*5:もっとも、倒産・税務・ファイナンス・国際通商・外為法など、こちらの勉強不足で、内容が理解できたとはとても言えない部分が多かったのも事実なのだが。
*6:既にどこかで指摘がされていたと記憶しているが、本来は、リサーチの際に見るべきではないもの、というのもあるはずで、そういうものの指摘もあると便利だが、書籍の形で示すのは難しいのではないかと思う。
*7:おそらく傍から想像する以上に難しいとは思うが。