一通り目を通したので感想をメモ。
勝手に私淑するろじゃあ先生(最近はFB上で本名垢での活動がメインだけど)の師匠の河上先生の「薄い本」。出たときに購入してはいたが、積読のままになっていた。先般松本先生の消費者法についての本に目を通したついで、ではないが、今回ようやく一通り目を通した。
消費者法に熱い思いがある(と思われる)碩学が*1、初学者向けに書いた薄い本、というところになろうか。具体的な事件を引き合いに出している部分が多いので、読みやすく感じた。250頁余で消費者法全体を概観するという感じで、行政法系や刑事法系の話もほんの少しだけ触れられている。入門書的なシリーズの一冊として出されていることもあり、文献案内も付されているのは個人的には高感度が高い*2。
●●法案内という表題は、我妻栄「民法案内」シリーズを想起させるし、著者も「はしがき」でその点は述べられているが、語り口は平易であるものの、消費者法の範囲の広さと紙幅との兼ね合いで、「民法案内」ほどの*3噛んで含めるような感じには至っていない感があり、制度の平板な説明にしか見えないところもあるし、分野による説明の濃淡の差は相当大きい。消費者法の概観というには、消費者が接することの多い不動産周りの話には触れられていない。この辺りは、全体としてのコンパクトさの兼ね合いで仕方のないところ、という見方もできるだろう。通読可能な分量には収まっているのは確かなので。
複数人の手による共著ではない単著なので、随所に、立法の当否などについて著者の個人的な意見が、著者の熱意とともに垣間見られる*4。最大公約数的な無色透明なものよりも、理解を促すような気がして、そのこと自体が問題だという感じはしないものの、好みの分かれるところだろう。個人的には、僕自身が企業側で法務をしているということもあってだろうが、著者の見方が、典型的な消費者像に「寄り」過ぎている感を覚えてしまい、居心地の悪いものを感じたのは否定できない。
消費者法の分野も動きが速いようで、ストゥディアの消費者法は2022年に出たものの改訂版もでているようだ。本書についても同じペースでとはいかないとしても、適宜内容も改訂していただくと良いのではないかと思う。