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不法行為法における法と社会 ― JR東海事件から考える (民法研究レクチャーシリーズ) / 瀬川 信久 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。

 

高校生(法学に関心のある難関校の生徒さんであることに注意が必要だが)相手に民法及びその周辺にレクチャーをするシリーズの第1巻として刊行されたもの。当該シリーズは現時点で6冊出ていて、4冊は入手し、3冊は目を通して感想をエントリにしていたので*1、じゃあ残りも、というよくわからない理由で買ってみた。

 

本書は3部構成で作られている。

第1部は、JR東海事件ー認知症高齢者の方が駅の線路内に入って列車に轢かれて死亡したのに対し、鉄道会社が事故に伴う費用を故人の配偶者及びお子さんに請求したもの。1,2審は請求をみとめたものの、最高裁が請求を否定したーについて、不法行為法の議論をわかりやすく解説している。個人的には不法行為責任の範囲の広がりについての説明がわかりやすいのが印象的であった。

第2部は、この事件に対する社会全体での反応というあたりについての説明。不法行為法はどうしても個別事件での損害賠償のあり様しか扱えないところ、社会全体でこの問題、認知症高齢者の事故をどのように防ぐか、という問題を論じている。法律論の限界というのは、個人的には、ある種当然のこと、と感じていたが、そうとも言い切れない(特に判例による規範創造が正面から認められている米国との比較で考えると)というところが興味深く感じた。また、JR東海事件で、現行の不法行為法の下で争いえたのに争われなかった点についての指摘も印象的だった。証拠の偏在により争えないというのは問題だが、だからと言って米式discoveryのような手続きが良いかというと、これまた直ちには賛成しかねるのが難しい。

第3部は、聴衆との質疑応答のうち、法と社会の関係に直接関わる質問についての質疑応答が掲載されている。聴衆の質問の鋭さに驚くとともに、確答できないことは、宿題にさせてほしいと持ち帰るとする著者の応対の真摯さが印象的だった。

 

このシリーズは、相応の大物というべき先生方が出てくるので、こちらが話についていけるかを別にすれば、いずれについても、目を通してみようとする価値はあるのではないかと感じる。未見のものについても、順次目を通してみたい。

*1:能見先生内田先生道垣内先生が書かれたものはそれぞれ感想をエントリにした。




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