例によって、呟いたことを基に、目を通した範囲の感想を箇条書きでメモ。
- 海外法律情報
アメリカの内部通報に対する不利益人事における報復的意図は、内部通報者への不利益人事の禁止がSOX法で規定されているのは知らなかった。日本法への示唆はなるほどと思う。
ブラジルの2024年民法典改正草案は、民法典でカバーしようとしている範囲の広範さやデジタル化への対応が興味深く感じた。 - 書評。
表現の自由の苦難、の書評では、当該書籍の成り立ち(早世した著者の研究の体系化を同僚研究者が引き継いで完成した)についての説明が興味深い。
知財紛争”和解”の実務への藤野先生の書評は、本書の記載が知財以外の分野でも有用である可能性を示唆していて、興味深く感じた。現職では知財は管轄外だが手に取ってみたいと思う。 - 判例速報。
会社法の取締役会における議長選任決議と無効確認の利益は、解説での無効確認の利益の一般論についての指摘が興味深い。
労働法の任期法7条1項の件(詳細略)は、解説で指摘する判旨の説明不足な点は、そうかもしれないと思う。時間の変化により、任期制をめぐる状況も変わっていることを考えると特に。
独禁法のプロ野球選手の代理人の資格の限定等と独禁法は、適用条文についての解説での指摘は、そういう見方もあるのか、と思いながら読む。
バンドスコアの模倣と一般不法行為は、著作権法の保護対象でないとしつつ、不法行為を認めているので驚く。不法行為の成立要件の議論の深化への期待は同意。
租税判例速報の移転価格税制の件(詳細略)は、解説での移転価格税制対応のやり方の説明が興味深かった。 - 特集1はカスタマーハラスメント。
冒頭の座談会は、労働者側弁護士、使用者側弁護士、研究者での座談会。消費者側の弁護士がいてもよかったのではないか。労働者側の弁護士がハラスメント全般に対する法整備が必要とするのに対し、使用者側の弁護士は慎重な姿勢を見せるなど、差異があるのが興味深い。大きな方向性では一致しているという見方もできそうだけど、だからこそそういう差異が却って興味深く感じられる。
カスタマーハラスメントに関する現状と法的課題—労働法の視点からは、思っていた以上にカスハラが訴訟になっているのが印象的。
インターネット上の誹謗中傷とカスタマーハラスメントは、現状想定可能な対応策とその難しさの検討が興味深い。最終的には指摘されている立法での対応が必要なのだろう。
条例によるカスタマーハラスメント対策は、指摘のあるように、地方公共団体での規律が望ましいとは思い難いような気がした。地域差のあるような話とも思えないので。
特集を読んでも、やはり顧客側に何らかの規制を及ぼさないと実効性のある対応は困難なのではないかと感じた。 - 特集2は旧優生保護法違憲大法廷判決。
小泉先生の原稿は憲法視点からの検討。リプロダクティブ権に関する検討になるほどと思う。
香川先生の原稿は民法視点から除斥期間の判例変更の意義についてのもの。過去の判例との整合性や民法改正前後での均衡などのつじつまの合わせ方が興味深く感じる。
最後に鷹野調査官の解説。立法目的の正当性を否定した点と立法行為の違法性を認めた点それぞれについて初めてのものという指摘が印象的。
特集は今回の最大判の意義の理解を深める上では良い内容だったのではないか。 - 家裁の現状と展望。畑先生の趣旨説明の後に人事訴訟の現状と展望。実効性ある審理迅速化策の実現は難しいのでなかろうか。
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広告と法務。趣旨説明や概念整理、午後の予定というあたり。期待している連載だが、「法務・コンプライアンス部門」という言葉の意義はもう少し精査が必要だったかもしれない。そういう名前の部署があったとしてもそこが何を所轄し何を所轄しないかは個社ごとに異なり得るので。他にどういう部署があるかでもそこは変わってくる。
- SDGsと経済法はSDGsとEU国家補助規制の各論。なるほどというところ。
- 判例詳解
職種限定合意と配転命令権の存否は、今時の状況からすれば判旨は納得するところ。所謂ジョブ型の雇用の下での雇用の保護のあり様についての指摘もそういう感じになるだろうと思う。
法的親子関係の成立における性別の意義は、議論がややこしいと思いつつ読む。 - 時論は、昨今の某方面を「よみがえった選挙ゴロ」と評しているのはなるほどと思った。議論の結論はそうなるんだろうけど、それじゃ結局事態は改善しないんだろうなとしか思わなかった。
- 時の判例 犯給法の件は、今時ならこうなるなという感じ。反対意見があったのにやや驚く。
- 判例研究。
経済法のインクカートリッジの仕様変更と抱き合わせ・取引妨害は、「購入させ」の事実認定への疑義はなるほどと思ったけど、とはいうものの、結論が結論ありきの判断、とまで言えるのかはよくわからない気がした。
商事のFX取引に係る自動売買ソフトウェアの販売業者の義務は、金商法の議論になっていない理由にやや驚く。評釈最後に指摘のある構成にもなるほどと思う。
商事の招集通知の欠缺と株主総会決議の不存在は、決議取消と不存在との境界線はどこなのかと改めて思う。
商事の非上場会社の少数株主キャッシュアウトにおける株式価値評価は、評釈最後の批判に賛成。
労働判例研究の職種限定合意がある場合における配転命令権の有無は、職種限定合意の内容についての検討が興味深く感じた。
労働判例研究の過半数代表者選出の適法性と信任投票・使用者の言動は、過半数代表者選出過程に使用者側が介入して紛争になるというところがまず興味深く感じた。
租税判例研究の公益法人改革により一般財団法人へ移行した法人の資産の帳簿価額は、問題の所在などの書き方がわかりやすく感じた。それでも話についていけた気はしないけど(汗
渉外判例研究の台湾での訓練期間中の労働契約に最低賃金法を適用しなかった事例は、最低賃金法の性質の議論が興味深く感じた。
刑事判例研究の最二小判令和4・4・18は、諸要素を順を追って検討していて、読みやすく感じた。農地の現況主義の話は知らなかった。