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ジュリスト 2024年 12 月号

例によって呟いたことを基に目を通した範囲の感想を箇条書きでメモ。

 

  • 書評
    『株主平等の原則の機能と判断構造の検討』の書評は、読みどころの読み解き方が興味深く感じられた。
    『欧米のハラスメント法制度』の書評は、目を通してみようかという気になった(実際にするかはさておき)。
  • 海外法律情報
    フランスの外国による干渉(サイバー攻撃・偽情報・諜報活動)への対処は、昨今の情勢を考えるとこういう法制での対応は多くなるのだろうと感じた。
    スターマー政権の立法計画と貴族院改革は、貴族院改革がどうなるかが気になる。
  • 〔鼎談〕法科大学院20年の歩みと展望は、広い意味でのロースクール関係者だけで論じるとこういうことになるのか、と思う程度。いろいろ思ったことはあるが自粛。あえて言うなら、振り回された方々の迷惑を考えろというところか。
  • 判例速報。
    会社・株主間の株式譲渡制限に係る合意の有無と有効性は、解説末尾の指摘には一理あり感じた。
    家政婦兼訪問介護ヘルパーの雇用契約の所在と「家事使用人」性は、実態に基づく高裁の判断の方が妥当に見え、形式的な地裁の判断のほうが不思議に見える。
    排除措置命令の差止請求及び仮の差止め申立て—有明海海苔事件は、この申し立て内容ならこういう判断をされても仕方ないような気がした。
    保存容器(キャニスター)の著作物性は、分離可能性説の中でも考え方が分かれていることは知らなかった。
    外国子会社合算税制の非関連者基準充足性はそういうものなのか、と思いながら眺める。
  • SDGsと経済法のSDGsEU国家補助規制—総論は、最後に書かれている本邦への示唆として指摘されている支店は確かに重要だと感じた。
  • 最初の特集は、公開買付制度・大量保有報告制度の新たな展開――令和6年金融商品取引法改正と今後の課題
    短い文章の後に藤田先生の「特集にあたって」で全体像を鳥瞰。理論的観点から改正の意義を検討することが目的と書かれているのが印象的。
    強制公開買付制度の適用範囲は、改正概要といくつかの論点の検討。最後に出てくる欧州型の規制の方が理にかなっていないかと感じるが、このあたりの実務に明るくないので(事業会社のインハウスでM&A専業でない以上そうなるのは厳しいのではないか)、断言はできようはずがない。
    公開買付制度の柔軟化等は、規制もさることながら、規制違反へのエンフォースメントをどうするのかということが気になった。
    大量保有報告制度の改正は、気になった点が注24で指摘されていて、やはりそうだよなと思った。
    公開買付制度・大量保有報告制度のエンフォースメントは、やはり議決権行使停止制度とかがないと実効性が確保できないのではないかと感じる。
    実質株主の透明性の確保に向けた制度設計のあり方は、実質株主と株主名簿上の株主との乖離について1980年代から問題を指摘されていたのに驚く。
    普段の業務上縁の薄い分野の特集で正直どこまで話についていけたかわからないが、個人的には実効性確保のための執行面の強化が重要ではないかと感じた。
  • 特集2は日本版DBS法。
    最初の記事はお役所の方による件の法律の概要解説。「特定性犯罪事実該当者」の定義のところで、犯罪についての裁判の確定等から10年または20年経過していないもの、としているがその年数の根拠は更生との関係で決まったのか。一定の年数経過すると該当しなくなるということは、該当するものと扱わなくても大丈夫という判断がないといけないのではなかろうか。そのあたりどういう整理なのかが気になった。
    曽我部先生の原稿は憲法問題としてプライバシーの観点から検討をされている。確認対象期間についての指摘が興味深く感じた。この法律との関係では再犯リスクに応じて設定されるべきなのではないかと感じる。
    神吉先生の原稿は労働法の視点からの検討。範としたイギリスの制度との比較が興味深い。前科前歴が発覚したときには直ちに配転・解雇ができるとは限らないものの、何もできないまま、性犯罪が起きてしまったときには、私法上の責任が生じるのは対応の難しさを感じる。
    小西先生の原稿は刑事法の視点からの検討。法定期間の科学的根拠への疑義は納得。特定性犯罪とされる条例違反行為についての処罰範囲の相違のもたらす問題点の指摘にも納得。
    磯谷先生の原稿は実務の視点からの検討。件の法律は万能ではなく、問題が生じないよう各種の措置を講じることが重要との指摘に納得。
    特集は、今回の法律について複数の角度から検討していて、含まれている問題点の指摘が興味深かった。今後の運用とそれに基づく見直しでそれらが改善されることを期待したい。
  • 時の判例
    消費者裁判手続特例法の件(詳細略)は、制度趣旨からすればそうなるよなと思った。
    刑訴法400条ただし書の件(詳細略)は、証拠調べを要する争いのある事実がなければそうなってしかるべきではないのかと思った。
  • 判例研究。
    支配株主による従属会社の買収と売渡株式の売買価格の件は、評釈で指摘されている判示への疑問点、特に公正指針を踏まえたFAの成功報酬の扱い方についての指摘については、なるほどと思う。
    一部不参加での代表取締役選任と決議不存在確認の訴えの利益は、評釈での「互選」についての検討が興味深いし、判旨については最後で指摘されている手続軽視への懸念はその通りと感じた。
    債務超過会社の再建局面における取締役の公正価値移転義務は、平時の公正価値移転義務が有事にどう変容し得るかというのは興味深い視点と感じた。最後の検討が紙幅の関係で省略されているのが残念。
    マタニティハラスメントの不法行為責任と秘密録音による立証は、仕事外しがマタハラとして不法行為になりうることを社会に示す、実務的な意義があるという指摘に納得。
    アダルトビデオ女優の労働者性とアダルトビデオプロダクションの労働者供給事業該当性は、最高裁が職安法上の労働者性を緩やかに解していることが問題である旨の指摘が興味深い。
    税務行政執行共助条約の保全共助要請に基づく保全処分の適法性は、共助条約の仕組みの解説が興味深かった。そういう条約があることから知らなかったので。
    仲裁法施行前に締結された個別労働関係紛争を対象とする仲裁合意の有効性は、締結が仲裁法施行後であったらどうなるだろうかの検討が興味深い。




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