写大ギャラリーで掲題の展覧会を見たので感想をメモ。
日露戦争後日本領となり第二次世界大戦敗戦で日本領でなくなった樺太に、日本領の期間に移住したものの、諸般の事情で敗戦後もとどまり続けた方々や*1、かの地の風景を撮った写真が展示されていた。撮っているのはこちらに近い世代、つまり、第二次世界大戦敗戦の頃を知らない世代の写真家。断続的にかの地を訪問して写真を撮り続けた*2。
日本や当時その一部だった朝鮮半島、ロシアの間(あわい)で翻弄された方々*3が被写体となっている。顔に刻まれた皺などにこれまでの苦労がしのばれる気がするし、写真に添えられているテキストからもそういう感じがしてくる。
また、人物以外にもかつての日本領時代の遺物が放置された状態で残されてるのも写されている。高緯度で寒さが厳しく、そういうものをどうにかするというところまで手が回っていないのだろうと感じる。そういうところで生きていくことというのは、こちらが想像できるよりも大変なのかもしれない。マイノリティの外国人(しかも「敗戦国」の人間)であればなおのこと。そういうものまで含めて考えると、僕がこのギャラリーで見た中では、一番「重く」感じる写真展だった。
被写体となられた方々の中にはこれまでに他界された方もいるようなので、そういう経験をされた方の肖像をクリアな写真の形で記録しておくこと、それ自体にも意味があるのではなかろうか。そういう人がいた、ということを記録しておくための写真*4、というものの意義を改めて感じた。
戦乱などで国の形や国境が変わって、その変化に翻弄されるという話は、海の向こうでは今なお起きているわけで、過去の話ではない。今の日本だって、いつ何時、何が起こるか、昨今の海外の情勢を考えると油断はならないのではないかと感じる。そういう意味では他人事ではないと思うべきなのだろう。