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AIガバナンス入門: リスクマネジメントから社会設計まで (ハヤカワ新書) / 羽深 宏樹 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。帯の推薦者に対する反感(詳細略)から手に取るのが遅れた...。

 

AIガバナンスをめぐる議論の状況を整理して、AIと共に生きる未来の社会像を描くこと、というのが本書の目的らしい(本書序章)。諸々の議論が要領よく整理され、適宜まとめ、振り返りも交えつつ、比較的わかりやすく整理されているように見えるのは確かである。整理の要領の良さは著者の明晰な頭脳の反映なのであろう。

 

他方で、AIガバナンス以外の分野の用語で特に専門性のある用語(その典型が法律用語だろうが、それには限られないように見受けられる。)以外は特に前置きなく使われていることも多く、そういう用語に馴染みのない方々にとっては、手に取りやすい判型で文体も平易で分量もそこまでないにも拘わらず、本書は見た目以上に敷居の高いものになっているのではないかと懸念する。最後まで議論についていけた読者がどこにどの程度いたのかという点は気になるところ。こちらもどこまで理解できたのかはよく分からない。「おわりに」の記載からすれば、AIガバナンスについての議論を「誰でも自由に参加できるテーマ」にしたいという著者の意図は、そうした意味では必ずしも達成できていないのではないか。おそらく、そうした点への配慮迄を著者に求めるのは酷なのだろうから*1、ここは編集者がもっと仕事をしなければならなかったのではなかろうか。

 

こちらのようなAIとやらにおっかなびっくり向き合うことを仕事上余儀なくされている立場からすれば、どこまで理解できたかはさておき、現状について何がしかの鳥瞰がえられるのは有用だと思うことができよう。

とは言うものの、著者の見方は楽観的に過ぎるのではなかろうかという疑念が拭い去れなかった。立ち位置からしポジショントークを疑いたくなる部分もある。なぜ自身に不利益が生じるリスクを孕みながらであっても、我々一般市民(要するにその種の業界の方以外)がAIとやらの恩恵を受けなければならないのか、という点については、正直肚落ちするものは感じなかった。そもそもAIガバナンスとかいうものの議論に巻き込まれるというか付き合わされるのはなぜ?面倒が生じないように作れないわけ?その辺他人を巻き込んでリスクも負わせておきながら責任を取らないわけ?という疑問や、議論に付き合ったところで制御しきれるの?という疑問が残った。この辺についてのある種の「信仰」がないと、この手の議論には付き合いにくいのではないかという気がした。

 

*1:おそらく著者の明晰な頭脳には、「素人」が何が理解できないかが理解できないのではないか。




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