カテゴリー:社会・政治・時事問題
はじめに
先般の TICAD 9 に伴い発表された「JICAアフリカ・ホームタウン」は、アフリカ各国と日本の地方自治体の交流を強化する取組ですが、思わぬ混乱と騒動を呼び起こしました。ナイジェリア政府が「木更津市への移住を希望するナイジェリア人に特別なビザを用意する」と発表し、また、タンザニアのメディアが「日本は長井市をタンザニアに捧げる」と報じたことから「移民を容認するのか」などの抗議が殺到したわけです。
日本政府と JICA の発表としては、あくまでもホームタウン事業は国際交流の一環だったのですが、上記のような「特別なビザ発給」などの誤解が起こったことで大きな騒動になりました。偏に、外務省と JICA が安易に「ホームタウン」という言葉を使ったことが、誤解を生じる原因になったことは否めません。
すでに、アフリカ側の誤解は修正されていますが、SNS 上では今でも抗議のコメントが続いています。根っこには、外国人・移民排斥の思考があり、世界の潮流になっている極右ポピュリズムとそれを促すソーシャルメディアの台頭があるでしょう。先の参院選で躍進した参政党の「日本人ファースト」のスローガンや主張も少なからず影響していると思われます。
外国人排斥(xenophobia)が起こる心理には、他者集団や異質なものに対する本能的な恐れがあります。これに関して社会心理学観点からの詳しい解説記事が PsychoTricks [1](下図)に出ています。他の関連文献を交じえながらここで紹介し、外国人排斥問題を考えたいと思います。

1. 外国人排斥とは
社会を形成し続ける上で大衆の感情や合意形成はきわめて重要ですが、それを変化させる破壊的な感情の一つが外国人排斥です。これは、他国や他文化出身者、あるいは「部外者」と見なされる人々に対して抱く嫌悪や恐怖であり、多くは非合理的に現れます。
外国人排斥は一般的な人種差別や偏見と混同されることもありますが、特に個人や集団の「異質さ」や「異邦人としての性質」を標的とするところに特徴があります。つまり、人種差別が自己の優越感、偏見が固定観念をベースにしていることに対し、外国人排斥は未知への恐怖に根ざした心理現象であるわけです。
排斥感情が高まると、外集団(out-group)に対して内集団(in-group)の権利や安全を極端に主張する、そして外集団に対する差別的な言動に走る排外主義につながります。さらに、自身の属している集団が強大で優れているとみなし、他の集団を劣った無価値な集団と信じるようなショーヴィニズム(chauvinism)に至ることがあります。
重要なことは、人間の心には外国人嫌悪の肥沃な土壌が潜んでいるということです。なぜ私たちは「他者」や「異質」を恐れるのか? 一般論としては、本能的な特性として持ち合わせていることを認識しておくべきですが、その答えは多面的でもあります。その起源を理解するには、進化心理学、認知バイアス、社会的学習、さらには個人の性格特性にまで踏み込む必要があります。
2. 排外主義は原始的な保守気質の反映
グローバル化される前の人類の祖先は、未知の外集団を敵とみなす世界に生きていました。いわゆる部族主義(tribalism)です。この原始的な本能は、現代になっても脳に消えない痕跡を残し、心理学者が内集団/外集団バイアスと呼ぶ現象の一因となっています。これは人間の心理に根ざした基本的な傾向であり、以下のような思考と行動に現れます [1]。
・人々を「私たち」(内集団)と「彼ら」(外集団)に分類する
・自グループの構成員を優遇する
・他グループの構成員を疑念や不信感を持って認識する
この原始的保守気質は、かつては部族の安全・生存や資源保護に不可欠なものとして機能していました。しかし、グローバル化した現代資本主義社会では、外国人排斥は意図的に誤った方向へ導かれ、身近な社会的・国家的輪の外にいる者たちに対する非合理的な恐怖と分断を招きます。
動物の本能として、脳の恐怖中枢である扁桃体(amygdala)が脅威と認識されたものに遭遇した際に活性化されることで、それを回避・排除しようとします。ヒトの場合、言語化された脅威に対してもこの反応が起こることが特徴です [2]。この反応は、その脅威が真実がどうかに関係なく、「異質=外国人」に対する思い込みに基づいている場合であっても同様に起こります。
そして、扁桃体のサイズが大きいほど、異質に対する恐怖を抱きやすいという仮説が提唱されています [3](→イデオロギーと認知・生物学的特性との関係)。この仮説には批判もあり、これからの検証を待つしかありませんが、異質に対する恐怖感の程度は神経学的構造に依存している可能性は高いです。
3. 思考のショートカット
私たちの脳は、膨大な情報を処理するために、頻繁に思考のショートカットを行います。認知(確証)バイアス(confirmation bias)、ヒューリスティック(heuristic)、ステレオタイプ化(streotyping)と呼ばれる心の近道です [1]。これらは、とりあえず効率的ではありますが、しばしば歪んだ認識を招き、これが外国人嫌悪を助長します。
・確証バイアス:私たちは既存の信念を裏付ける情報(例えば「外部者」に対する否定的な固定観念を含む)を探し求め、解釈する傾向があり、一方でその解釈に矛盾する証拠は無視しがちになります。
・ヒューリスティック:これは、論理的な手順で正しい解を求めるアルゴリズム(algorithm)と対比される概念です。「外国人」に関する鮮明で極端な否定的な事例が、私たちの全体的な認識に過大な影響を与え、そのような事例が実際よりも頻繁に起きていると信じ込ませます。しばしばメディア報道がこれを助長します。
・ステレオタイプ化:複雑な集団を単純化し、一般化された(しばしば否定的な)特徴を全構成員に適用する心理現象です。この単純化は、非人間化や個人の認識不足を招きます。
・帰属の誤り:私たちはしばしば「外部者」の否定的な行動を、彼らの本質的な性格や文化に帰属させる一方で、自グループ内の同様の行動は状況的要因や外的環境に帰属させる傾向があります。
外国人の犯罪が増えている、外国人はルールを守らない、外国人は優遇されている、外国人は税金を払っていない、などの誤謬やデマは、上記のショートカット思考の組み合わせで起こる現象だと言えます。
4. 性格要因:個人の素因
個人の性格特性は、外国人排斥的態度への感受性を高める最も重要な要因です [1]。そして、上記のように(仮説段階ですが)、この態度は扁桃体の大きさと神経学的特性によって支配されている可能性があります。一般に、異質に対する恐れを回避するために、権威や完全性への傾倒が強くなります。
権威主義性:権威主義的気質を持つ個人は、権威への服従を示し、従来の規範を厳格に遵守することを要求します。そして、外集団に対して攻撃性を示す傾向があります。
完結欲求:明確で曖昧さのない答えを強く求める傾向があり、不確実性を減らすために「外国人」集団を単純化し、かつ否定的に分類する傾向が強いです。
不安と焦燥感:個人的な生活不安、経済的不安、脅威の感覚が、時に個人を「外国人」にこれらの恐怖を投影させ、社会問題のスケープゴートとして彼らを攻撃します。
権威主義や物事の単純化は右翼・保守的思想を持つ人に多く見られます。権威やわかりやすさに寄りかかることで安心感を獲得し、その逆の存在に対して攻撃性を持つことでまた爽快感を得るのです。このような人は、認知能力の低さあるいは閉鎖的思考性とも関連があります(→頭が悪いと差別的、右翼的になる?-SNS による偏見の助長)。
また、保守的な人は、異質に対する恐怖により、社会の実態をネガティヴな方向へ偏向させたり、歪めたりする傾向が強く、いわゆるデマとして発信する傾向があります。いわゆる陰謀論を信じやすいのもこの手の人々であり、外国人差別に関するデマを信じやすい傾向にあります。陰謀論やデマを発信したり、信じることで、社会的優位性を得た気分になると言われています(→財務省解体論:陰謀論にハマる人たち)。
今世界中の先進国で見られる大衆の生活への不安と不満は、まさに資本主義の矛盾(すなわち格差拡大が成長の源)が露呈した終末期的現象です。その不安や不満を極右ポピュリスト政党が吸い上げ、外国人や移民をスケープゴートとする排外主義に向かわせているのも世界の情勢です。
5. 社会的学習と文化的影響:環境から学ぶ教訓
外国人排斥は、単なる生来の反応として持ち合わせているものだけではありません。私たちの環境や周囲の人々によって増幅して形作られます。偏見や恐怖は原始的保守気質の感情ですが、それはまた、社会的影響と社会的学習の過程を通じて学び取られるのです [1]。
・親や仲間からの影響:子どもはしばしば親、家族、仲間グループの態度や偏見を内面化します。子どもへの無意識の偏見と悪意の伝達が普通に行われていることが、差別の根本問題としてあります。さらに認知機能が低いほど、大人になっても偏見を持ち続けるということがあります。
・メディアの描写:ニュース、映画、その他のメディアは、否定的な固定観念を強化するか、理解と多様性を促進するかによって、大衆の認識に大きく影響を与える可能性があります。
・文化的規範と価値観:社会の物語、歴史的出来事、国家の集合的アイデンティティは、外国人排斥感情に微妙または露骨に寄与し、「正常」または「脅威」と見なされるものを形造ります。
現代のソーシャルメディアは、大衆の認識に大きな影響を与えている代表格です。特に SNS は個人の主観や性格要因を容易に可視化し、理解に時間を要する一次情報あるいはリベラルな思考よりも速いスピードでそれらを拡散させますので、影響力は格段に大きくなります。一人のインフルエンサーあるいは個人が発信した外国人排斥に関するデマが簡単に無くならないのはこのためです。
国家の集合体アイデンティティが影響を及ぼしている例として、米国のトランプ政権が挙げられます。政権が掲げる反リベラル、反移民政策は、国民に大きな影響を与えています。
6. 外国人嫌悪の現れ
外国人嫌悪は単一の概念ではなく、その表現は微妙な心理的偏見から露骨な暴力行為まで多岐にわたります。これらの現れを理解することは、問題を効果的に認識し対処するために極めて重要です。
外国人排斥の影響は個人レベルと社会レベルの両方で現れます。個人レベルでは、しばしば内面の偏見から始まりますが、直接的な言動や危害へとエスカレートすることがあります。偏見は個人や集団が持つ「異質さ」に基づく否定的な態度や信念ですが、これは内面の傾向であり、しばしば固定観念によって助長されます。
内面の偏見が実際に行動や表現に移されると、他者が認識できる明確な差別となります。これは、外国人と見なされることを理由とした不公平な扱いを意味し、雇用機会、住宅へのアクセス、教育の公平性、あるいは単に公正な社会的交流といった分野に影響を及ぼします。
最も顕著な言動への現れは、街頭や SNS 上でのヘイトスピーチです。外国人と見なされる個人や集団に対する言葉による攻撃、蔑称、憎悪の煽動が一般的な現れです。これは人間性を否定し、敵対的な環境を作り出します。
ヘイトスピーチは「異質に対する怖がり」という"チキン"な気質を露呈しているに過ぎません。しかし、当の本人にとっては爽快で優越感に浸っている状態であり、相手側には精神的負荷をかけるという厄介な面があります。
これを支持する興味深い研究として、ヘイトスピーチに対する保守気質の人と進歩的思考者の反応の差異を示す分析結果があります [4]。すなわち、保守的な被験者は、発信者のイデオロギー的偏向に関わらず感情レベルが低い一方、進歩的な被験者は、保守的発言に対して感情レベルが高く、自らが同調するイデオロギーの発言に対しては感情レベルが低くなりました。
つまり、リベラルな人は、ヘイトスピーチを論理的、倫理的に捉えて、善悪を判断している一方、保守気質の人はヘイトスピーチを主観的な感情のままに受け止め、自ら発信していることになります。言い換えれば、ヘイトスピーチは憂さ晴らし、愉快さ、歪んだ優越感から起こるものであって、深いイデオロギーによるものではないということです。
7. 社会レベルでの顕在化
排外主義が社会に根付くと、その影響は広範かつ制度化され、コミュニティ全体や国家政策に影響を及ぼします。排外的な感情は、差別的な移民法の制定、非市民の権利を制限する規制政策、または不公平な帰化手続きに影響を与える可能性があります。
また、組織や制度に内在する体系的な偏見である制度的外国人排斥が起こりやすくなります。例としては、法執行機関による人種的プロファイリング、医療サービスへの不平等なアクセス、多様な背景を持つ学生を周縁化する教育制度などが挙げられます。すでにこのような例は、トランプ政権下の米国で顕著化しています。
最も極端な場合、外国人排斥は身体的攻撃、破壊行為、財産破壊、その他外国人と見なされた者に対する偏見に基づくヘイトクライムへとエスカレートします。これらの行為は深刻な身体的・精神的被害をもたらすほか、大きな社会的分断を生みます。
社会内に生じた深い亀裂は「我々対彼ら」という意識を深化させ、社会的結束を損ない、異なる集団間の不信感を助長するようになります。さらに、外国人排斥は経済成長と革新を阻害する可能性があります。多様性を制限し、熟練労働者の移民を阻み、閉鎖的な環境を助長することで、投資を妨げ、国家の競争力を低下させる恐れがあります。
8. 外国人排斥への挑戦と緩和:包摂的な社会の構築
外国人排斥に対処するには、個人、教育、社会の各レベルでその根源に取り組む多面的なアプローチが必要です。その心理的基盤を理解することで、受容を促進し真に包摂的なコミュニティを構築するためのより効果的な戦略を開発できます。PsychoTricks の記事 [1] は、以下のような戦略を掲げています。
・自己認識と共感の育成:自身の無意識の偏見や固定観念を認識、自覚することが、それらを克服する第一歩です。批判的な自己省察は、根深い偏見を特定するのに役立ちます。異なる背景を持つ人々の経験、視点、人間性を積極的に理解しようと努めることによって障壁を取り除き、つながりを育みます。
・集団間接触理論:心理学者ゴードン・オールポートの接触仮説 [5] では、特定の条件下において、敵対する集団間の直接接触が偏見を軽減し得ることを示唆しています。考えてみれば、無知や未体験が排外主義の感情につながるわけですから、まずは相手に接触することが大切になるわけです。条件として、集団間の平等な地位、共通の目標、集団間の協力、権威者や社会規範からの支援が含まれます。文化の境界を越えた有意義な交流を促進することは非常に効果的です。
・批判的思考とメディアリテラシー:情報を鵜呑みするのではなく、批判的に評価し、固定観念に疑問を投げかけ、メディア(特に SNS)における偏った物語を認識する能力を養うことは、排外的な思想の拡散に抵抗するために不可欠です。
・教育的アプローチ:教育は寛容さを育み、外国人排斥をなくす強力な手段です。主なアプローチとして、1) 幼児期から高等教育まで、異なる文化・伝統・視点を理解し尊重する教育を実施すること(多様性・包摂教育カリキュラム)、2) 過去の外国人嫌悪や差別事例、その壊滅的な結果を教えることで、歴史の過ちから学ぶこと(歴史教育)、3) 共感力、感情調節、紛争解決のスキルを育成することで、恐怖や怒りを建設的に管理できるようにし、偏見に基づく反応の可能性を低減すること(感情知能トレーニング)が含まれます。
扁桃体の不安やおそれの感受性は子どもの時は高くなく、成長に伴ってより反応するようになると言われています [6]。その意味で、幼児期からの教育は極めて重要だと考えられます。
社会や政治レベルで排外主義と効果的に闘うには、政府、行政機関、コミュニティリーダーのコミットメントを要する体系的な変革が必要です。
・反差別法:国籍、民族、外国人に基づく差別から保護する法律の制定と施行は、外国人排斥が容認されないという明確なメッセージになり、被害者に法的救済手段を提供します。
・包括的な物語の促進:公共の議論、メディアの責任ある表現、芸術・文化活動などを通じて、否定的な固定観念や恐怖をあおる言説に積極的に対抗することが肝要です。これには、統合と貢献のポジティブな事例を強調することが含まれます。
・コミュニティ構築の取り組み:地域社会内の多様なグループ間の前向きで協力的な交流を促進するプログラムや場を支援し、「我々対彼ら」という障壁を打破し、共有されたアイデンティティを構築する必要があります。
・リーダーシップと提唱活動:政治、宗教、コミュニティの指導者は、外国人排斥に反対の声を上げ、寛容を促進し、包摂的な行動の模範を示す上で重要な役割を担うべきでしょう。
・社会経済的格差への対応:直接的な原因ではないものの、経済的不安や資源をめぐる競争が外国人排斥感情を悪化させる場合があります。根底にある社会経済的不平等に対処することで、こうした恐怖が蔓延する条件を減らすことができます。
5. 在留外国人の現状
2024 年 6 月末現在における日本の在留外国人数は、358 万 8,956 人であり、前年末に比べて 約 18 万人(5.2%)増加しています。内訳は、永住者 90 万人、技能実習者 43 万人、「技人国」業務者 39 万人、留学生 37 万人などです。
これらの中で、技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザ外国人は増加率がトップ(約 3 万人増加)です。技人国業務者は高度就労人材としてきわめて重要であり、もはや技能実習者とともに日本の社会経済活動になくてはならない存在になっています。
もちろんこれらの外国人就労者は、日本人就労者と同様に税金や社会保険料を支払っています。一方、外国人は国民保険料の未納率が日本人と比べて高いことが問題視されていますが、出身国に国民皆保険制度がない状況に鑑みて、国民保険支配義務の意識が薄いことも考えられます。
日本はいま年間 90 万人の人口減少数で、50 年後には人口が半減すると予測されています。今の在留外国人の増加数 18 万人が続いたとしても、人口の激減は避けられません。これに伴う労働者不足と社会経済活動の低下は、AI、ロボットなどの機械化による生産性向上で補えるものではありません。なぜなら、いくら機械化、自動化したとしても、人口減は購買力の低下や税収の減少により内需や社会サービスを低下させ、国を衰退させていくからです。
おわりに
外国人排斥は深い進化的な根源を持つ複雑な心理現象です。とはいえ、現代においてなぜ外国人排斥が起こるか?という疑問への最も簡単な答えは、誰もが有する「異質に対する恐怖」という原始的保守気質に依存する基本心理があるからであり、その心理に SNS を通じた極右ポピュリズムやインフルエンサーの煽りが作用する今ならではの要因があるからでしょう(→ソーシャルメディアはポピュリストの犯罪パートナー)。
本来、人間は学習によって原始的保守性は克服されていくべきであり、知識や体験を積み重ねていくほどに、組織ジャーナリズムに接するほどに多様性や包摂性を理解し、リベラル的思考や民主主義を醸成していくはずでした。しかし、人によって学習の到達度は大きく異なり、多くの人々がなお原始的保守性が支配的なグラデーション状態のまま、SNS の時代を迎えてしまいました。
SNS が情報取得のデフォルト設定の人々にとっては、排外主義の歯止めになるような組織ジャーナリズムは蚊帳の外になります。そして SNS は、本来個人レベルで留まっている潜在的な異質への恐怖を可視化し、よりスピード感をもって顕在化させてしまいます。その現れは微妙な偏見から不合理で露骨な暴力まで多岐にわたり、被害者に深刻な心理的負担を残し、社会内に深い亀裂を生じさせます。
この問題にどのように取り組むべきでしょうか。まずは「他者」への恐怖の背景にある心理を理解することが、それを解体する第一歩です。自己認識を意識的に深め、共感力を育み、包括的な教育を推進し、強固な社会的・政策的変革を提唱することで、外国人排斥主義の緩和に積極的に取り組むことができるでしょう。
引用文献
[1] Denys A: Xenophobia: The Psychology Behind the Fear of the “Other”. PsychoTricks June 7, 2025. https://psychotricks.com/xenophobia/
[2] Isenberg, N. et al.: Linguistic threat activates the human amygdala . Proc. Natl Acad. Sci. USA. 96, 10456-10459 (1999). https://doi.org/10.1073/pnas.96.18.10456
[3] Nam, H. H. et al.: Amygdala structure and the tendency to regard the social system as legitimate and desirable. Nat. Hum. Behav. 2, 133–138 (2018). https://doi.org/10.1038/s41562-017-0248-5
[4] Abuín-Vences, N. et al.: Hate speech analysis as a function of ideology: Emotional and cognitive effects. Comunicar 71, 35–45 (2022). https://revistacomunicar.com/html/71/en/71-2022-03.html
[5] 松浦大: 接触仮説の教育への応用 - 潜在的偏見の低減のための一考察. 茨城大学教職大学院年報第8号, p.79, 2024. https://www.ppedu.ibaraki.ac.jp/wp-ppedu/wp-content/uploads/2024/04/21_%E6%9D%BE%E6%B5%A6%E3%80%80%E3%80%80%E5%A4%A7.pdf
[6] Telzer, E. H. et al.: Amygdala sensitivity to race is not present in childhood but emerges over adolescence. J. Cogn. Neurosci. 25, 234-44 (2013). https://doi.org/10.1162/jocn_a_00311
引用したブログ記事
2025.03.16. 財務省解体論:陰謀論にハマる人たち
2025.01.03. ソーシャルメディアはポピュリストの犯罪パートナー
2024.11.23. イデオロギーと認知・生物学的特性との関係
2024.08.06. 頭が悪いと差別的、右翼的になる?-SNS による偏見の助長
カテゴリー:社会・政治・時事問題