カテゴリー:社会・政治・時事問題
立憲民主党の杉尾秀哉議員は、3 月 21 日の参議院予算委員会で、クラウドワークスが国民民主党や参政党の応援コメントを募集していた事例を取り上げながら、SNS を使った政治活動や世論形成について質問しました [1]。具体例として、下図に示す実際の募集広告を示しながら、当該会社が政治系書き込み仕事(自民党、立憲民主党、財務省を批判し、保守系の国民民主党や参政党を称賛する)を募集している、と指摘し、一定の世論誘導が可能になると問題視しました。

これに対し、国民民主や参政党はすぐさま反応しました。国民民主の榛葉賀津也幹事長は、杉尾議員が述べた内容について、あたかも国民民主がクラウドワークスに依頼したかのように受け取れる「印象操作」であり、誤解を生むような発言として猛反発しました [1](下記動画)。玉木雄一郎代表も同様に「印象操作」という言葉とともに、杉尾議員の国会質問を批判しました。さらに参政党の神谷宗幣代表も反発しています。
www.youtube.comしかし、杉尾議員の質問をよく聴いてみると、あくまでもクラウドワークスが募集した仕事の事実関係(上図)を述べただけで、その上で「お金で世論形成をしていいいのか」というもっともな疑問を呈しているだけです。国民民主が仕事を依頼したのでは?とか政治家が利用しているなどの疑いの言葉は一切発していません。
したがって、杉尾氏に対する国民民主党の反発は、過剰反応あるいは的外れともいうべきものでしょう。榛葉氏や玉木氏が発した「印象操作」という言葉は、引用元とは直接関係ないものであり、いわゆるダミー論証(詭弁の一種)を使った、逆に杉尾氏への攻撃になっています。
杉尾氏が問題視したのは、情報を創作し、世論を誘導するのはいいのかということや、お金でそういうことをやる組織(依頼主)がいるということなのです。これに対して、榛葉氏や玉木氏、神谷氏は問題視するどころか、一切言及していません。言わば、党にとって利益になるならば、このような情報工作はかまわないという意思に等しいわけです。
国民民主党は昨年の衆議院選挙で急速に支持を伸ばしました(⇨世論調査に見る国民民主現象)。それはあまりにも急激で、国民民主は比例での得票数分の候補者を用意できなかったほどです。私は、選挙応援の時からの異常とも言える熱気と SNS 上での賞賛動画が飛び交う様子を見ていて、これは石丸現象や斎藤現象を起こしたような、何かお金絡みの情報工作が働いていると感じたものです(⇨石丸、玉木、そして斎藤現象ーなぜ大衆に受けたか)。
実際に、どのような組織が、情報工作という手段を用いて国民民主党を応援しているのか分かりません。とはいえ、一つ明確なことは、反共組織である勝共連合の日刊紙ともいうべき世界日報が、昨年からやたら国民民主を賞賛する記事を載せていることです [2, 3, 4, 5](下図)。このような組織の国民民主への急接近の動きは特筆すべきことでしょう。

国民民主党は、基本政策として反共産主義、緊急事態条項付き憲法改正、原発推進を掲げる右派保守政党です。これは統一教会系の勝共連合と思想共有するものです。世界日報が応援するのも納得がいきます。世界日報は、以前から、自民党や日本維新の会の議員とともに玉木氏や榛葉氏を取り上げていますが(インタビューや座談会として)、この組織の目的は「日本の政界・財界・言論界に食い込んでいく」ことと指摘されています [6]。
玉木国民民主は、上記の基本政策は一貫しているものの、主張がコロコロ変わることが特徴です。最近は大衆の人気取りを狙ったポピュリズム路線に傾いており、事実支持率を上げています。支持率上昇には、おそらく、SNS 上での情報工作が効果を上げている可能性は否定できません。
国民民主の今の経済政策は穏やかなポピュリズムです。いわゆる所得税の 178 万円の壁への引き上げやガソリン税などの減税を主張しているものの、財源には全く言及していません(税収の上振れとか予備費とか説得力のない話に終始)。玉木氏は「それは政府の考えること」と無責任なことが言っていましたが、おそらく積極財政が頭にあるのでしょう(口にしませんが)。以前は、税の給付、消費税減税 5% や法人税減税を言っていましたが、最近一切言わなりました(図1 参照)。

図1. 国民民主党が掲げる緊急経済対策
現役世代という言葉の頻回使用とともに、若年世代と高齢者を分断し、高齢者の安楽死(尊厳死)や高額療養費制度に関する外国人排斥する主張もありました。このような二項対立もよく用いますが、これもポピュリズムの特徴です。
私は、以前の民社党の血を受け継ぎ、希望の党を経て生まれた国民民主党をいささか懐疑的な目で見ています。玉木氏の主張に一貫性がない「軽い」感じ(裏表の二面性を感じる)、しばしば自民党に接近するいわゆる「ゆ党」の性格、そして現在のポピュリズム路線に走る人気取りの姿勢は、とにかく信用できません。
榛葉氏は「与野党超えて結集の中心に玉木氏を」と訴えましたが、このような大政翼賛会的発想はポピュリズムとともに危険であり、「血を流す覚悟があるか」という玉木氏の発言もあり、このような考えの政党が緊急事態条項付きの憲法改正を党是として抱いていることには怖さがあります。なぜなら、実は少数派政権であったヒトラー政権が緊急事態条項を悪用して(大統領緊急令を法律に代えるようになって)勢力を拡大し、ファシズムに突き進んだ歴史があるからです。
政治運動の進め方にも懸念があります。玉木ちゃんねるに見られる「どんどん動画を切り取って流せ」という主張の一方で、彼らを応援する怪しげな組織については全く言及しない(代わりに杉尾議員を攻撃した)というのは、支持率を上げるためには手段を選ばないというマキャヴェリズムの現れでしょう。
そして、今の国民民主の人気ぶりやジワジワと支持を上げてきている参政党には危うさを感じます(⇨世論調査にみるポピュリスト政党台頭のリスク)。人気に対する党の実力や体制が整っていない [7] ということよりも、怪しげな力がそこに働いているという怖さ、党の本質が有権者に理解されていない怖さがあります。特に 50 代以下の若年世代(特に男性)が積極的に支持に走っている傾向には、これらの世代の自己保守性や社会的優位志向が現れていて、国民民主を応援する影の勢力の罠(党のベクトルと同じ)に容易に引っかかってしまうのではないかと案じます。
いま有権者は減税で頭がいっぱいですが、国民民主が主張するような財源なき減税策は、「税による生活支援はしません、あとは自己責任でやってください」と言っているのと同じです。その上でのインフレ下の積極財政は、さらなる物価高を招き、減税分はあっという間に消えてなくなります。
ネット上の bot やフェイクニュースを含めた影の勢力の応援もあって、次の選挙では、国民民主党や参政党が議席を大幅に伸ばすでしょう。これらのいずれかが政権を取るようになれば、旧統一教会や影の怪しげな勢力にとって誠に都合のよい日本が出来上がるのです。
引用文献・記事
[1] 日刊スポーツ: 国民・榛葉幹事長が激怒 立民・杉尾秀哉氏の質問に猛反論「印象操作」「わが党をおとしめる」. 2025.03.21. https://news.yahoo.co.jp/articles/7f8ee7e00eccab8fa562d63554f485bbcf49c781
[2] 世界日報編集部:【政界一喝】玉木氏は若者を一層覚醒させよ. 世界日報 2024.11.09. https://www.worldtimes.co.jp/column/20241109-186781/
[3] 世界日報編集部: 「大連立」あるある 国民民主党さえ手放さなければ. 2025.01.27. https://www.worldtimes.co.jp/opinion/seikainokaze/20250127-190369/
[4] 世界日報編集部: 国民民主党大会 政治不信を吸収する塊となれ 【社説】. 世界日報. 2025.02.13. https://www.worldtimes.co.jp/opinion/editorial/20250213-191378/
[5] 世界日報編集部: 隅に置けぬ国民民主【政界一喝】. 世界日報 2025.03.25. https://www.worldtimes.co.jp/column/20250325-193104/
[6] ハフポスト日本版編集部: 旧統一教会系の新聞で語った13人の国会議員。関連団体が「アプローチできる人と認識も」専門家は指摘【過去5年分の調査】. HUFFPOST 2022.08.10. https://www.huffingtonpost.jp/entry/sekai-nippo_jp_62f1ea9be4b0f9d8c01fbeb8
[7] 安積 明子: 国民人気はもはや“第1党”、地方選でも快進撃の「国民民主党」を縛る“足かせ”の正体. 東洋経済ONLINE. 2025.03.27.
https://news.yahoo.co.jp/articles/80a182f7c009323fd2a460dfbf31278df280cb15?page=1
引用したブログ記事
2025.03.19. 世論調査にみるポピュリスト政党台頭のリスク
2024.11.26. 世論調査に見る国民民主現象
2024.11.18. 石丸、玉木、そして斎藤現象ーなぜ大衆に受けたか
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