
昨晩、神戸地方に地震があった。
下から突き上げるような衝撃、家がぐらぐらときしむ音、通知の鳴らないスマホ。
間違いない、直下型地震だと思った。
揺れから数分経って地震速報が届いた。真下ではなく少し離れた兵庫県南部が震源地だった。

地震の揺れから距離がわかる
阪神淡路大震災の当時、私は京都にいた。京都御所まで徒歩5分、今から思うと毎日が史跡巡りを楽しめる恵まれた場所に下宿していた。戦前からある古い木造2階建ての2階で寝ていた私は、強い揺れと、そのあともしばらく続く長い揺れを経験した。
地震の揺れには、先に届くP波と、あとから届くS波がある。
P波は最初に届く速い波で、地面を押したり引いたりするような縦波。一方のS波はそれより遅れて届く横波で、体感としてはより大きく、グラグラとした揺れになりやすい。
理科では、P波が来てからS波が来るまでの小さな揺れを初期微動、その後の大きな揺れを主要動と呼ぶ。
つまり、最初に「何か来た」と感じ、そのあと本格的に大きく揺れるあの流れには、ちゃんと名前がついているわけだ。
このP波とS波の到着時間差を見れば、震源までのおおよその距離が分かる。
当時の記憶としては、阪神淡路大震災では強い横揺れがすさまじく長かったことが印象に残っている。ただ、P波とS波の間隔そのものは、さすがにもうはっきりとは覚えていない。
阪神淡路大震災よりも遠く離れた東日本大震災のときは、P波はほとんど分からなかった。
「なんとなく揺れているような気がする」という状態から始まり、床がグニャグニャと動いているような感覚へ変わっていった。あれは近場の直下型地震とは明らかに違う揺れ方で、遠くの巨大地震らしい、長く不気味な揺れだった。
P波とS波の間隔から距離を計算する
昨晩は、P波からS波までの間隔が非常に短かった。体感では3〜4秒程度ではないだろうか。最初のP波の揺れもかなり突き上げ感があり、その後のS波のグラグラも大きかった。
こうしたときに使われるのが、1899年に開発された大森公式だ。
これは、P波が来てからS波が来るまでの時間、つまり初期微動継続時間から、震源までのおおよその距離を求めるための経験式で、次のような式だ。
D = 7.42T
- D:震源までのおおよその距離(km)
- T:P波とS波の到着時間差、つまり初期微動継続時間(秒)
昨晩の体感が3〜4秒だったとすると、
- 3秒 × 7.42 = 約22.3km
- 4秒 × 7.42 = 約29.7km
となる。
つまり、震源までの距離はおよそ22〜30km前後という計算になる。
かなり近い地震だと感じたのは、感覚としてそこまで外れていなかったことになる。
周りは震度2、東灘区は震度3
興味深いのは、場所による揺れの違いだ。

神戸の東側は六甲山の南麓に位置しているが、昨晩の震源地は兵庫県南東部、だいたい加東市あたりだったようだ。
そこから揺れが伝わってくる中で、神戸市の長田区は震度2、その隣の東灘区は震度3、芦屋市は震度2というように、隣り合った地域でも震度が微妙に変わっていた。
こうした差は、単純に震源からの距離だけでは決まらない。地盤の硬さや堆積物の厚さ、地形の違いなどによって、揺れやすい場所と揺れにくい場所が出てくるようだ。
自然の不思議さには驚かされるばかりである。