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メディアが伝えない給食の現場のリアル

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僕は給食会社の営業部長、久しぶりの更新になった。現場の欠員を埋めるために奔走していたのだ。昼までは保育園の厨房、午後からは特別養護老人ホームの厨房に入り、その合間に営業部長としての仕事をしていた。ありがたいことに、一連の穴埋めで洗浄業務のスキルが上がったよ……。

パートの穴埋めとして潜入している特別養護老人ホームの給食業務からは撤退する予定だ。すでに相手法人本部に解約を申し入れ済み。委託契約で定めた解約条項に則って五月末で解約、撤退になる。解約の理由は値上げ申請へのゼロ回答である。昨年から、法人側は一貫して難色を示していて最終的には「給食会社はいくらでもいる」というゼロ回答の塩対応だった。それを受けて予定通り解約手続きに入ったのだ。

値上げの理由は明確だ。食単価の値上げは、食材や調味料等の原価アップのためであり、委託管理費の値上げは、昨今の労務費のアップと求人市場の激化のためである。試算では現行の条件での事業継続は困難だった。そのため、値上げに応じてもらえないなら撤退という方針は決まっていたのだ。給食事業は委託契約で守られたカチカチに堅いビジネスモデルだったが、状況は一変した。急激な価格高騰や社会情勢の変化に対応できない。たとえば町のレストランであれば店の裁量で原価上昇分を価格転嫁できるが、委託契約で価格が定められているかぎりそれが出来ない。後手後手になる。

法人本部から解約の再考を打診された。いくらでもいるはずの給食会社はいませんでした。撤退に向かって動いているので「はいわかりました」とはいかない。僕が洗浄機マスターとして厨房に入っているのも撤退が決まっている以上、欠員を募集できないからなのだ。「値上げに応じてもらえますか」、満額回答は無理でもある程度は受け入れてくれるだろうと思いつつ尋ねたら甘かった。「それは無理です」と再ゼロ回答であった。話にならない。アホか。

法人本部の理屈は「当法人もギリギリの経営状況である。共に支えあおう」「福祉の仕事は尊い。利益がなくてもやる意味がある」「地域貢献/社会貢献。それは将来の利益につながる」といったワンダーなものだった。民間企業なので、利益が出ないかぎり事業継続は不可能である。撤退の意思を改めて伝えた。「給食部門を法人で運営したらどうでしょう」と提案したら「介護に比べれば給食は楽そうだからやれないこともないけれど面倒だからやりたくない」などと生意気なことを言い出したので同情の気持ちは蒸発した。

食材や労務コストのアップを理由に挙げたけれども、実のところ、給食事業というか労働集約型事業は限界を迎えている。どれだけ給料を上げたところで人は集まらない。社員なら給料が高いところが選ばれ、給料が同程度なら大手やイメージの良い業界が選ばれる。当社のような中小企業や給食業界は選ばれない。給食事業を支えるパートスタッフも集まらない。時給を上げても求人への反応は薄い。給食事業の現場、特に老人ホームのような「年中無休」「早朝出勤」「仕事が細かい(個人対応があるため)」の現場は避けられたり、採用しても速攻でギブアップされたりで、定員が埋まらない。生き残るためには、利益を確保できるところに集約していくしかないのだ。値上げに応じてくれない顧客は論外である。

というわけで値上げがゼロ回答からの解約通知で終わらせればいいのだけれども、法人本部の人が「給食の現場の厳しさを知りたい、それが納得できるものなら大人しく引き下がる」と執拗に食い下がるので「今から私が本物の給食の現場をお見せしますよ」と『美味しんぼ』の山岡みたいなことを言って現場を案内することになったのである。その足で厨房へ。厨房の前でよたよたと歩いている老婆に遭遇した。私服姿だ。法人の担当者は老婆に「入って来ちゃだめですよ。どのユニットの方ですか。今連絡しますから教えてください」と声をかけた。老婆は困惑している。僕が「その方はウチのパートスタッフのスズキトモ子さん(仮名/75歳)です」と説明すると担当者はすべてを悟ったようであった。その厨房は70代のパートスタッフが半数を占めている。入居者と変わらない。皆さんお元気だが、うっかりミスもあるし、体調不良やシフト失念などで稼働率が下がっている。僕が穴埋めしているのも70代女性パートがギックリ腰で休んでいるためだ。

当社全体のパートスタッフの平均年齢は60歳前後、若返ることなく同じメンバーで平均年齢は上昇する一方だ。あと数年で回らなくなる現場が発生する。給食の現場はどこも同様の状況だと同業他社の営業マンから聞いている。地獄である。この地獄を回避すして生き残るために、利益が見込めない仕事、人が集まりにくい現場を見定めて「選択と集中」をやるしかない。明日も業務用洗浄機と格闘である。僕が一番、洗浄機をうまく使えるんだ……。(所要時間27分)このような給食の実態については昨年出したこちらの本をどうぞ。→

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