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中小企業における業務属人化はマジで地獄です。

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僕は52歳の営業部長だ。中小企業に勤めている。年齢的に転職も厳しいこともあって、今の会社で会社員生活を終えたいと考えている。そのためには、最低でも退職日まで今勤めている会社を延命させなければならない。そんな極めてプライベートな理由から、営業部門の責任者という立場で会社の業務改善の一環として業務属人化の排除に力を入れてきた。属人化とは、特定の個人に依存した仕事のやり方のこと。特定の個人がいなくなると仕事や業務が回らなくなる、悪のブラックボックスである。当社の営業部門は、業務属人化を排除して、スタッフの入れ替えがあっても、計画通りに目標を達成できるようになった。

だが、最近、属人化排除がはたして正しかったのだろうか、ほどほどの属人化は中小企業の強みそのものなのではないか、と考えるようになった。たとえば職人気質のベテランスタッフの技術、採算が取れるのか怪しい個人裁量で行っている丁寧すぎるアフターサービスとか。他社との差別化につながっているのは属人化した業務なのではないかと。中小企業を取り巻く環境は厳しい。一寸先は闇で、工場閉鎖や事業撤退は常に頭にある。リストラや雇止めも他人事ではない。その中で生き残ろうとする人たちは、多かれ少なかれ自分にしか出来ない仕事を作っている。「私を解雇したら事業が回らなくなりますよ」という個の力を盾にして自衛するのだ。

属人化と個の力の境界はあいまいだ。僕が取り組んでいる仕事も「僕にしか出来ない」と自己評価しているが、それは一歩間違えば業務属人化になる。また、中小企業を人間にたとえると属人化こそが生存の道なのだ。替えが効くようになってしまえば、競合他社に切り替えられるし、価格競争に巻き込まれる。価格以外の「当社でなければできない」「他社には出来ない」サービスを売りにするほかない。そして先進的な技術を持たない中小企業にとって他社にできない仕事とは、無理と厄介を笑顔で引き受ける類の仕事だ。「当社(私)にしかできない」は属人化と何が違うというのか。

大手からみれば、下請けの中小企業は代替可能なほうがコストカットにつながり利益になる。ISO取得、認証受領、様々な契約条件を出して下請けを均一化することで切り替えを容易にしておくのだ。それに反して属人化的な仕事を突き進むことが中小企業下請け企業生き残りの唯一の道になる。そう考えると中小企業を構成する社員たちが業務を属人化するのは仕方がないということにならないか。親(中小企業)はオッケーで、子(中小企業の社員)は駄目はおかしい。

業務属人化を排除することのデメリットもある。マニュアル化、システム化で「自分じゃなくてもいいのでは」と自身の存在意義や存在価値に懐疑的になったスタッフの離脱を招いた。ひとことでいえば、仕事がつまらなくなった。人事に柔軟性を持たせて人材不足に対応できるようになった一方でこうした弊害も出ている。僕自身、属人化を排除しながら「これ自分を追い出される仕組みを作っているのではないか、自分で自分の首を締めているんじゃないか」と思ったこともある。だいたい、業務を属人化して自衛しようとする儚い存在を、業務効率化や生産性向上を理由に抹殺する権利が誰にあるというのか。このような迷いが僕にはあったのだ。

先日、他の事業部のベテラン社員と仕事をすることになった。ベテラン氏は、約20年分の資料を紙で保管している。整理や分類もせず平積み。机の足が入る部分も書類がぎっしりで椅子が入らなくなり、キョンシーのように手を伸ばした状態でパソコン仕事をしている。以前「整理分類されていない平積み状態の資料は意味がない。改めたほうがいい」と助言したら「長年の勘で資料は把握しています。私にはこのやり方がベストです」と聞く耳をもたなかった。業務に支障がないのなら、良い属人化なのだろう、それに僕の部下ではない、オッケーと流したのである。

ベテラン氏に資料を出すよう依頼した。依頼したのは朝九時すぎ。それから午前中いっぱい彼は目的の資料を探し続けた。長年の勘はどうしたのだろう。正午すぎ。ようやく「ありませんでした。破棄したようです」とゼロベース回答。ザ・業務属人化。彼はこうやって仕事をやっている感を演出してこの会社で生き残ってきたのか…と僕は胸がいっぱいになり「時間と労力の浪費。データ化しておけば即座に見つかるよ」と言った。すると彼は「資料をデータにしたら単なるデータになってしまいます」とワンダーな言い訳をした。

ベテラン氏には感謝している。業務属人化排除に対する迷いを断ち切ることができた。自分の居場所を作るために業務を属人化する行為はすべてクソである。居場所は置き換えにくさを増すことではなく、成果と結果で作ればよいのだ。中小企業で働いていると、つい「小さく儚い存在を守らなければならない」などと人情に流されてしまいそうになるが気を付けよう。疲れているのかも。中小企業は内部で属人化を排除しつつ、会社としては他社に置き換えられない属人化的な商品サービスを追及していかなければならない。なお、「資料をデータにしたら単なるデータになってしまいます」の意味がまだ分からない。(所要時間28分)会社と仕事についてのエッセイ本を出しました→

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