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氷河期世代が浮上出来ないのは努力が足りないからなのか?

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僕は団塊ジュニアで就職氷河期世代の一人だ。大学新卒時の就職率は確か6割ちょっとで、底ではなかったとはいえ厳しく、僕のような平凡な法学部生は、夢や希望を目指すよりまず、就職することが現実的な目標だった。企業には門前払いされまくった。だから、当時まともに相手にしてくれなかった某社が先日、新卒を確保するために初任給を大幅にあげて人事担当が「学生たちに気持ちよく働いてもらいたい」と言っているのをみて、「入社3日で退職者続出しろー!」と呪詛を唱えずにはいられなかった。

昨年の選挙の際、一瞬、氷河期世代救済が話題(争点)になりかけた。「選挙のネタにするなよ」と思ったが、一転して今回の衆議院選挙では話題になっていない。それはそれでどうなのか。各政党のサイトに氷河期世代救済策的なものが掲載されているものの、柱ではない。ネタにならなくなったのだろう。氷河期世代支援策は、それが十分なものかはさておき、すでにいくつか施行されていて、新鮮さに欠けているからだ。

それに、もう手遅れ。40代から50代にかけて構築しておくべきキャリアのない人たちに、就労支援や職業訓練をおこなっても、人不足で厳しい仕事に送り込まれて、安く使われてしまうのがオチだろう。それが分かっているから広まらない。誰だってしんどいのは嫌だろう?希望がなさすぎる。費用対効果も期待できない。金と労力をかけても回収は難しい。たとえば50代の氷河期世代を職業訓練しても回収する時間がない。そもそも回収しようとするのが間違っているのかもしれないが。いずれにせよ、支援する側、される側双方にとって希望がないことが、これまで支援策がうまくいってないことに繋がっているのではないか。先日、ウチの会社で営業職の中途採用をおこなった。50代後半の営業経験なしの人が「ガッツ」を武器に面接を受けに来た。断った。ゼロから営業戦力に育ててもまもなく定年。そんな投資ができる中小企業は無い。現場の仕事を斡旋したが、やりたくない、と断られた。これは「甘え」なのか、「諦め」なのか。

就職氷河期世代は十分なチャンスが与えられなかった。救済も足りなかった。社会は、若い方がいいからと、次の世代を選んだ。楽だからね。必要とされていないという傷だけが残った。どんな施策でも、気持ちと心の傷は救済できない、ということ。さらに時間の経過により年齢面でも救済の難易度があがってしまった。年齢を重ねてからでも一からトライできる人はいる。偉いよ。でも、そういう偉い人ばかりではない。僕みたいな人間には無理だ。頑張ろうという気持ちより諦めが強くなるはず。

さて、それでも僕は何とかここまで生き残ってきた。努力と実力ではない。ただ幸運だっただけだ。就職新卒採用で引っかかって今まできただけだ。氷河期世代には二種類いる。氷河期にはまってキャリアを重ねられなかった人、それと僕みたいに何とか落伍せずに生きてきた人。多くは後者だ。仕事もありキャリアも積んでいる。食べていける。氷河期支援はいらない。そんな氷河期サバイバーは「氷河期世代で非正規の人は20年間も時間があったのに努力が足りないのでは?」「大半の人はちゃんとやれているよね。あなたのように」と自己責任論者によって同世代を「自己責任」「甘え」と非難する材料に使われる。自己責任といって非難する人には、自分の責任で人一倍努力してきたのか、今の安定は己の能力と努力だけで成り立ったものか、たまたまピンチな時代にあわなかっただけではないのか、と自問自答してもらいたいものだ。人生のどこかで不幸にあえば誰だって落伍する。今なんとかやれているのは運に恵まれただけだ。

「現役世代」という言葉がある。最近よく耳にするようになった。僕みたいな氷河期世代サバイバーも現役世代に組み込まれている。で、真面目に働いた人が報われる当たり前の社会にしましょうとどの政党の政治家も言っている。氷河期世代でうまく立ち回れなかった人は、働きたくても働けなかったのだ。まともに働くことが出来るのは、幸運に恵まれているから。そのことを僕らは忘れがちだ。少なくとも15年前くらいまでに、落伍した氷河期世代に機会を与えて現役世代に組みこまなければならなかったと今でも思う。「頑張った現役世代が報われる当たり前の社会」というフレーズは綺麗事だ。その報われる現役世代は、すでに氷河期世代を犠牲にして成り立っている、というかなかったことにしている気がしてならないからだ。「将来に負の遺産を残さない」という言葉もよく耳にする。僕には負の遺産と氷河期世代が重なってしまう。氷河期世代がこの世から消えるのを待っているように聞こえる。氷河期世代マストダイ、と。

僕は氷河期世代で、社会に出て30年間やってきた。他の世代が特別優れているようには見えなかった。ただ、ツイているようには見えた。氷河期世代にはまって浮上できなかった人を「自己責任」「甘え」と切り捨てるのは、資質と時代に恵まれた人の傲慢に僕には思えてならないのだ。(所要時間27分)

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