予備のオーディオインターフェイスを探していたところ、気になる新製品を見つけた。Sonicake Sonic Cube IIだ。まだ実機レビューなどの情報がなく、細かい挙動などがわからなかったので、購入して試すことにした。お値段8,800円。

安価ながらDSPエフェクトや配信向け機能を備えているのが特徴だが、その機能を試す前に投げ出してしまった。
結論から言うと、ヘッドホン出力に重大な欠陥があり、再生品質が著しく低いことがわかったのである。
今回は販売代理店のサポートとのやりとりを交えつつ、残念なオーディオインターフェイスについて紹介する。
はじめに
本機が搭載している機能については、藤本 健氏のDTMステーションを参照されたい。
数ある格安のオーディオインターフェイスの中で本機が突出しているのは大きくわけて2つ。入力にEQやリバーブなどの内蔵DSPエフェクトをかけられること、パソコンとスマホに同時に接続して「スマホでパソコンの音声とマイクの音声を配信」することができることだ。
入力はMIC1 XLR/6.35mmのコンボジャックとLINE/INST2 6.35mmの2つ、パソコンとの接続はUSB2.0のType-Cとなっている。
録音再生の品質は最大48kHz 24bitで、必要最低限というレベル。ハイレゾではないが、CD音質の録音再生には問題ない。
ソフトウェアとしては、専用のASIOドライバーとDSPエフェクトの設定をするSonic Mix Setupが付属する。
ヘッドホン出力の欠陥
パソコンに接続し、ドライバーをインストールし、普段使いのヘッドホン(AKG K701)を接続して音楽を聴いてみたが、どうも様子がおかしい。他のオーディオインターフェイスやパソコンに直挿しの場合と比べて、低域がかなり小さい。
他のヘッドホンやインピーダンスが比較的小さいイヤホンを接続してみても、やっぱり低域が小さい。他のPCやMacも試したが変わらなかった。
ただ、ヘッドホン出力にアクティブスピーカーを繋ぐと、ちゃんと鳴る。ヘッドホンアンプ部の不良だろうか?
サポートとバトル
サウンドハウスに送って送り返される
まず最初に、購入元のサウンドハウスに連絡し、修理対応の流れになった。しかし、送ってみると問題が再現できなかったと連絡があり、送料サウンドハウス持ちで返却となった。なお、修理に送って送り返されるまでは5日ほどしか経ってない。かなり早かった。
販売代理店に直接連絡
次に、販売代理店であるHotone Japan(以下、Hotone)に低域が小さい現象と試したことを連絡した。
「インピーダンス不一致が原因と考えられるので、使用しているヘッドホンの機種を教えてほしい」との回答、使っているヘッドホンとイヤホン4本の機種と公称インピーダンス値を返答。
「本機のヘッドホン端子は20Ωであるため、適切なインピーダンスのヘッドホンの使用を推奨する」という内容の回答。
どうも話が通じていないようなので、論より証拠ということで、こちらで検証してみることにした。
「低域が小さい」という証拠を取得
ホワイトノイズを再生して、別のオーディオインターフェイスで録音、スペクトラムアナライザーで測定する。

この現象はヘッドホンを接続した場合にのみ起こるので、アクティブスピーカーやオーディオインターフェイスにただ接続しただけでは再現できない。そこで、「ヘッドホン出力を単純な分配器でヘッドホンと別のオーディオインターフェイスの入力を並列に接続して録音すること」を思いついた。
まずはSteinbergのCI1で測定を行った。ほぼフラットに近い特性が得られた。

そして以下が本機の測定結果だ。

決して正確な測定方法とは言えないが、聴感上の特性とほぼ一致する。これらの検証結果をHotoneのサポートに送った。
結論
「結論として、この現象は存在し、ファームウェアアップデートでヘッドホンアンプに低域を加える対応を予定しているが、ハードウェアの修正が必要とも考えられるため、確約はできない」という内容の回答があった。低域が小さいという現象があることを認めつつ、現状では手の施しようが無いという回答だった。
同価格帯の代替機種
1万円前後のオーディオインターフェイスは本機以外にもある。
ちなみに、ベリンガーの格安オーディオインターフェイスは「専用のASIOドライバーが無い」ので、Windowsで使う場合にはおすすめできない。
ZOOM AMS-22
LPCMレコーダーなどで有名なZOOMのオーディオインターフェイス。最大96kHz 24bitに対応。
マイク・ギターの入力とステレオライン入力が付いているのが特徴。超小型ボディーにフルサイズのXLRやフォーンジャックが付いていてすごい。バンドルソフトはなし。
Presonus AudioBox GO
DAWソフトStudio Oneで有名なPresonusのオーディオインターフェイス。最大96kHz 24bitに対応。
メイン出力とヘッドホン出力のノブが独立していて使いやすそう。音源・エフェクトプラグインのバンドルがある。Studio Oneは付いてこないみたい。
UR22mk2(中古)

UR22Cが出て旧機種となった今でも根強い人気を誇るオーディオインターフェイス。最大192kHz 24bitに対応。
安心のSteinberg製。中古であれば1万円以下で手に入る。中古なのでバンドルソフトはなし。メタルボディーなので叩くといい音がする。使い勝手や安定性は折り紙付き。
さいごに
地味な存在だが、音楽制作や配信にオーディオインターフェイスは欠かせない。録音・再生の品質はもちろんのこと、付属ソフトの使い勝手やドライバーの挙動や安定性も選ぶ上で重要だ。それらのスペックや機能性は新興ブランドよりも老舗ブランドの方に分があるのは間違いないだろう。
そんな中で「一種の賭け」として新興ブランドの製品に手を出してみたが、結果は惨敗に終わった。期待を膨らませすぎたのである。
次からは「情報の多い人気の機種」を選びたい。