
現在はおそらく完治していると思うのですが、私はかつて『てんかん』という病気も患っていました。
完治していると思うと表現したのは、てんかんという病気は、何年も発作が起きていなくても、ある日また突如として、発作を起こす可能性があるからです。
故に完治したかどうかの判断が難しいと、通院していた頃に主治医から言われました。
以前にSNSで交流のあったてんかん持ちの既婚男性の例ですが、この方は30年近く発作を起こしていなかったにも関わらず、突然また発作が出てしまい、自分でもかなり驚いたとおっしゃっていました。
私はかれこれ20年くらい発作を起こしていませんが、今でも「もしかしたら倒れてしまうかも・・・」という不安な気持ちはぬぐい切れていません。
今現在てんかんの治療をされている方の参考に少しでもなればと思い、症状や検査や薬のことなど、思いつく限り書いていきたいと思います。
初めてのてんかん発作は中2の時
中学二年生のある日の放課後。体操部に入っていた私は、みんなと一緒に柔軟体操をしていました。
体育館で柔軟体操をしていたはずなのに、ふと目が覚めると、私は保健室のベッドに横たわっていたのです。
「あれ?? さっきまで体育館にいたはずなのにどういうこと??」と、私は何が起きたのかさっぱりわからず、ベッドの上でひたすら困惑していました。
ただ困惑しながらも、体調に異変があったことだけは感じました。
口内を噛んでしまったようで口の中が痛いし、頭が重くて吐き気もする。近くにあった鏡をのぞき込むと、顔じゅうに小さなそばかすのようなものが出ていました。
しばらくすると保健の先生が戻ってきて、状況を説明してくれました。どうやら私は、部活の最中に突然意識を失い倒れたようなのです。
「親御さんと連絡がついたから、迎えに来るまでここで寝ていなさい」と言われ、横になっているうちに眠ってしまいました。
その後迎えに来た親に起こされて一緒に帰ることになり、帰る途中で子供の頃からお世話になっている病院へ寄りました。
病院の待合室で待っている時、どうしようもなく吐き気がひどくなり、病院のトイレで吐いてしまいました。
名前を呼ばれて診察室へ入り状況を説明すると、「てんかんかもしれませんね」と言われました。この病院には検査設備がないから総合病院へ行くように言われ、紹介状を書いてもらいました。
てんかんだと告げられる
後日、紹介状を持って総合病院へ行き、検査を受けました。検査の内容は、脳波と血液検査とレントゲンとMRIだったと記憶しています。
そして検査の結果、神経内科の医師に『てんかん』だと告げられました。
てんかんという病気についての説明をいろいろと受けたような記憶があるのですが、もう記憶が曖昧で、全ての事は覚えていません。
記憶が曖昧な部分もありますが、これから定期的に病院へ通って脳波と血液検査をしていくこと、薬を毎日飲むこと、薬をちゃんと飲めば発作はある程度おさえられること。これらの事を言われたことは、今でも覚えています。
薬を飲み忘れ発作を起こす
最初の頃は『ヒダントール』というお薬を、朝6錠・夜6錠飲むように言われました。
けれど私は、当時まだ事の重大さがイマイチわかっていなかった事や、あまり几帳面な性格ではなかったため、お薬を飲み忘れることがしばしばありました。
そのため、その後も何度か発作を起こしました。
てんかんの発作には、私のように意識を失い突然倒れてしまうタイプの全般発作と、意識はあるが手や足がつっぱったりガクガク痙攣するようなタイプの、部分発作があります。
私の発作のタイプは強直発作(きょうちょく発作)と呼ばれるものです。
私の場合はまさにこの強直発作というやつで、倒れた姿を見ていた人に後から話を聞くと、口を固くくいしばり、少し泡もふいていたそうです。
そんな私の様子を見て、舌や口の中を噛んでしまわないようにと、ハンカチを噛ませてくれた人もいました。相当固くくいしばっているようで、発作から意識が戻った時に、顎が痛いほどでした。
そしてこの強直発作で最も怖いのは、硬直して意識のないまま倒れるため、倒れる場所が悪いと大怪我に繋がることです。
意識がある状態で倒れるなら受け身がとれますが、何しろ意識がないので、受け身をとることなくダイレクトにぶつかってしまいます。
私は高校で倒れた時、隣の席の椅子に思いっきりこめかみの部分をぶつけてしまいました。赤黒く腫れあがってしまい、しばらくはお岩さん状態でした。
幸い跡が残ることはなくきれいに治りましたが、もう少しずれていたら目の辺りを強打していたので、そうなると下手したら失明の危険性などもあったかもしれません。
ストーブの近くで倒れたら火傷の危険性だってあるし、強直発作というのは本当に怖いし危険です。
寝不足になると発作が起きやすい
何度か発作を起こすと、発作を起こす傾向というものがわかるようになります。
私の場合の傾向としては、寝不足の時に発作が起きやすかったです。
発作の頻度としては決して高いわけではなく、薬を毎回きちんと飲み、寝不足にならないようきちんと睡眠をとれば、かなりの確率で発作は防げると、医師からは言われていました。
しかしながら、体質的にとにかく寝つきが悪い体質だったため、寝不足になることは日常茶飯事で、何で不眠の気がある私がこんな睡眠不足が大敵である病気にかからなければならないのだと、自分の欠陥体質が本当に憎かったです。
それでなくとも、『胴長短足・薄毛・永久歯が半分しか生えない』などの欠陥遺伝子をせおわされていて辛いのにと、心底こんな体の自分が嫌でした。
欠陥遺伝子の件についてはこちらの記事に詳しく書いてありますので、興味のある方はよかったらお読みくださいませ。
25歳くらいから発作が出なくなる
薬の飲み忘れや寝不足により、たまに発作を起こしてしまっていた私ですが、25歳を過ぎた頃からは、発作が起きなくなりました。
てんかん患者には特有の脳波が出ると言われているのですが、脳波の状態も、徐々に良くなっていきました。
良くなってきてもまた乱れが出ることもあったりで、減薬は慎重にやっていきました。
脳波の状態を見つつ、10年程かけてやっと断薬するところまでいきました。
25歳くらいから脳波が落ち着き発作が出なくなったのは、23歳くらいから仕事を辞めて引きこもりになっていたので、仕事のストレスがなくなったり寝不足になることが少なくなったりしたのも、関係しているのかもしれません。
てんかん患者の進学・就職
卒業することなく途中で辞めてしまったのですが、私はいちおう専門学校に進学しています。
高校からの推薦入学という形だったのですが、その時に、「てんかんである事は先方に伝えないといけない。体調管理をきちんとして薬を飲めば発作が出る可能性は低いので、学校生活に支障はないという内容で診断書をもらってきてほしい」と、担任の先生から言われました。
当時の主治医にその事を伝えると診断書を書いてくれて、無事に進学することはできました。
てんかんの症状にもよると思いますが、薬である程度症状が抑えられているなら、進学にはさほど影響はないと思います。
ただ就職となると、てんかん持ちは嫌がられる傾向にあるようです。
私は最初の頃はてんかんを理解してもらった上で働きたいと思っていたのですが、てんかん持ちであることを話すと、面接官の人の顔が急に曇るという経験を何度もしています。
しかしてんかんを隠したまま雇ってもらい、もし発作を起こしたら、かえって印象が悪くなるのでは・・・とも思ったので、面接の時にてんかんをカミングアウトするべきか否か、とても悩みました。
けれどあまりにも不採用が続いたため、やはりてんかんであることは隠したままにしておこうと決めて、その結果、大手アパレルショップに正社員として採用されました。
採用はされたものの、そこの仕事は拘束時間が長かったこともあり、寝不足になることが多々ありました。
そのせいなのかついに職場で発作を起こしてしまったのですが、発作が起きた時、事務所内に私1人だけだったのは、不幸中の幸いでした。
その時のことは、今でもはっきりと覚えています。
ある日の勤務中、事務所でデスクワークをしていたはずなのに、気が付くと床に這いつくばるように倒れていました。
頭や体を打ったようであちこちに痛みがあり、舌を噛んだようで口の中にも痛みがありました。意識がもうろうとする中でなんとか立ち上がり、「体調が悪いので早退させてほしい」と、店長に申し出ました。
その時の私の顔色があまりにも悪かったようで、1人で帰らせるのは心配だからと、同僚の1人が車で送ってくれました。
この事があってからてんかんを隠したまま働くことが怖くなり、せっかく正社員で採用してもらえのに、それからしばらくして辞めてしまいました。
今になって思うのは、てんかん発作がでていた当時に『障害者手帳』を取得しておけばよかったという事です。
障害者手帳を取得し障害者枠で採用してもらえば、てんかんを隠すことなく仕事に就くことができたと思うので、そうしたら隠しているという後ろめたさを感じることなく、長期にわたって働くことができていたかもしれません。
障害者枠での採用なら、仕事時間や仕事内容への配慮もしてもらえそうですから。
そうなっていたら、こんなふうに引きこもり人生にはなっていなかったかもしれないな~と、後悔の気持ちは大きいです。
あの時の私は、障害者手帳や障害者枠での採用がある事も知りませんでした。無知だったことが悔やまれてなりません。
てんかん患者の結婚は??
私が20代半ばのころ主治医から「結婚したい人ができたらここへ連れて来なさい。君の病状を話して、子供は産めるし子供にてんかんが遺伝する確率は低いと説明するから」と言われたことがあります。
けれど私はてんかん以外にも『胴長短足・薄毛・永久歯が半分しか生えない』という欠陥だらけの人間なので、結婚相手なんて見つからないだろうし、もし見つかったとしても、子供に欠陥遺伝子が遺伝してしまったらあまりにも可哀そうなので、子供を作ることは考えていないと伝えました。
すると先生は、「君は人の何倍も辛い思いをしているけど、そのぶん人の痛みがわかる優しい性格だよ。だからそんなに自分を卑下しちゃいけない。君の良さをわかってくれる人はきっといるはずだから!」と、優しくそして力強く言ってくれた言葉は、今でも私の支えになっています。
てんかん患者は免許が取れるのか?!
運転中に発作が起きて交通事故に繋がる恐れがあるため、てんかん患者は車を運転しない方がいいという意見が多数あるかと思います。
実際、私の母親は免許を取ることは許可してくれましたが、車で通勤することには反対でした。ですので先ほど書いたアバレルショップにも、バスで通っていました。
東京に住んでいる方は電車とバスでの移動がほとんどで、車を持たない方が多いと聞きますが、地方に住んでいるとそうもいかず、免許がないと移動がかなり不便です。
それゆえ同級生達は、高3の春休みや進学してからの夏休みに免許を取る人がほとんどでした。
周りが取っているのに私だけないのも辛いなと思ったので、私も免許は取っておきたいと考えていました。
その事を主治医に伝え、免許をとってもいいのかどうか意見を求めたところ、薬は忘れずきちんと飲むことと、寝不足の時には絶対に運転しないことを条件に、取ってもいいと言ってくれました。
医師の許可が出たことで免許を取得し、寝不足の時には運転しない事と、薬の飲み忘れに気をつけることを肝に銘じました。
それまで薬を飲み忘れることがたまにあったのですが、免許を取ったことで気が引き締まり、薬の飲み忘れはだいぶ減りました。
そして寝不足の時、体調の悪い時には絶対に運転しないようにしています。
そのおかげで免許取得から20年ほど経ちますが、事故を起こしたことは1度もありません。免許の色はずっとゴールドです。
免許を取りたいと考えているてんかん患者の方は、まずは主治医に相談してみてください。自分で判断してしまわずに、医師の判断に従うのがいいかと思います。
まとめ
私は以前SNSを通じて、てんかん患者の方々と交流をしていた時期があります。
てんかんといっても症状は人によって様々で、私のように社会人としてやっていけなかった人もいましたが、社会に出て立派に活躍している人もいましたし、結婚して子供がいる人もいました。
私はこんな風になってしまったけど、それが全ててんかんのせいなどとは思っていないし、病気を抱えていても、本人の頑張り次第で、素敵な未来は切り開いていけるのだと思います。
てんかんに限らず、病気や障害に負けずに頑張っている人の姿には、とても心を打たれます。そんな皆様により良い未来が訪れますことを、インターネットの片隅から願っております!!
それでは今日はこのへんで。コノハでした。