フルリモートから出社回帰する企業が増えている。
この流れの中で、次のようなケースを時々目にする。
もともと都心部で働いていたが、フルリモートとして就業するのを契機に地方に移住し、家を購入する、というケースだ。
このような人たちが、勤め先の出社回帰によってキャリアの転換に悩む様子を指して、「会社に依存している身でよくそういう判断ができるな」という意見をいくつか見た。
おそらくだが、地方に移住した人たちも、別に会社に強く依存している、というわけではないと思う。いざとなれば、他のフルリモートの就業先、あるいは地元の就業先を探す、くらいの心持ちでは常にいるのではないだろうか。
一方自分はといえば、やはり会社に依存しすぎるということを良しとせず、いざとなれば身軽に首都圏に引っ越すことも視野に入れて賃貸で暮らしている。
考え方の違いにすぎないのではないか。
いろいろな事情があって、新卒で入社した会社を5年ほどで退職した自分は、次に就職した会社が入社後1年で倒産する、という経験をした。それ以来、会社はある日突然無くなるもの、という意識でおり、なるべく会社に依存せずに、業界での市場価値を高めるような行動を意識して今に至っている。
会社は継続していても、大きな業態転換などで自分が活躍できなくなる日が突然くることもあるわけだし。
その後、あと4年ほどで50歳になろうとしている現在、やはり年とともにキャリアの選択肢は狭まっているということを実感するが、今のところはまだそこそこ市場で受け入れられるキャリアを歩めているのではないかと思う。
自分のこのようなキャリアの手がかりとしているのは、エンジニアコミュニティだ。ソフトウェアエンジニアの業界は、特定の技術、あるいは開発手法などを業界全体で広く共有する文化がある。
そのような場で、自分のことをできるだけ知っておいてもらう、というのが自分の「会社に依存しないキャリア」の手段だ。
いざというときに、就業先を探す際にもっとも難しいのは、自分の実績や能力をどうやって知ってもらうか、である。逆に会社の側に立って採用業務に携わることもあるが、その際に気にすることも「どうやって候補者の人の実績や能力を知るか」だ。
コミュニティ内である程度認知してもらうことで、この「知ってもらう」ことの最初のハードルは大きく下がる。ある程度知ってもらっている状態から選考に入っていけるからだ。
「あと何年この会社で働きたいですか?」と聞かれて、「2~3年くらいかなぁ」というのを毎年言い続けながら長く働き続ける、くらいが気の持ち方としてちょうど良い塩梅なのではないかなと思う。