以下の内容はhttps://cruel.hatenablog.com/entry/2026/03/10/235135より取得しました。


チャンドラー「長いお別れ」山形訳への物言い

チャンドラー「長いお別れ」山形訳 AI作成表紙画。暗い中、店の前にトレンチコートと帽子をかぶった男、その後ろに青いブロンド女、その横にアメ車が並び、アメ車の上にネオンサインが出ている。
チャンドラー「長いお別れ」山形訳 Grok作成表紙画

チャンドラー「長いお別れ」訳について、物言いがついている。

abraxas.hatenablog.jp

えーと。

A low-swung Jaguar swept around the hill in front of me and slowed down so as not to bathe me in the granite dust from the half mile of neglected paving at the entrance to Idle Valley.

これについて

「車高の低いジャガーがおれの前で丘をめぐり、(中略)こっちに花崗岩のホコリを浴びせないように速度を落とした(山形)」も状況を読めていないと思われる。

村上訳だけが「車高の低いジャガーが私の前を走っていた。それは丘の斜面を軽快にカーブを切りながら進んでいたが、そのうちに速度を落とした」と「カーブ」に言及している点が評価できる。

だそうな。でも、そのカーブというのは、swept around the hill というところから読み取るしかない。これは丘のまわりを迂回して巡っているということだ。だからぼくは「丘をめぐり」という訳語を選んでいる。当然、丘のまわりをカーブはしてるんだろう。でもそれはまわりをめぐっていることから当然出てくる話だ。これで「状況を読めていない」というのは不当じゃないかな。

そして村上訳は「丘の斜面を軽快にカーブ」とある。でもなぜswept around, そのまわりをまわるかといえば、斜面を通りたくないからだ。だから丘のふもとで、そのまわりを巡るのだ。だから、村上春樹の「斜面を軽快にカーブを切り」というのは必ずしも正しい状況認識ではない。

次は何だ。

I spotted the bar over in the corner by some very large french windows. It was one of those things you push around.

このバーについて、これまでの訳は清水訳以来「移動式の」と訳されてきた。 “push around”は「(人を)振り回す、こき使う」という意味だが、どうして「移動式の(村上・田口)」「手押し車式の(山形)」という訳になるのだろう。

どうしてかというとですね、この文では、そのpush around されるのは人じゃなくて、thingsだからなんですよ。push around someone なら、その人をこきつかう、小突き回して言うことを聞かせるになる。でもpush around somethingなら、何かを押して回る、ということだ。移動式のバーだった、というだけの話。写真を参照。push around というのに一つしか意味がないわけではないのだ。

車輪のついた移動式バー。黒くて屋根がついており、カウンターと、その上に棚がついている。
手押しの移動式バー

その他は細かい話だな。好事家がいろいろ翻訳を比べてくれるのはよいことだけれど、まちがっていると言われるとディフェンドせざるを得ないので。がんばってください。




以上の内容はhttps://cruel.hatenablog.com/entry/2026/03/10/235135より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14