
この記事は弁護士ドットコム Advent Calendar 2025の 16 日目の記事です。
こんにちは。弁護士ドットコム株式会社でエンジニアをしている井出です。
昨年の Advent Calendar 2024 では UnityとDifyで自分専用のAIエージェントを作成する ブログを書きました。
こちらの記事のフィードバックで Unity が難しいというご意見が少なからずありました。確かに Web エンジニアにとっては Unity のそもそもの概念や UI、バージョンに強く依存するところなどとっつきにくいところが多数あったかと思います。
そこで今回は Web エンジニアに馴染みのある技術を使って AI キャラクターを動かし、AI エージェントとして利用できる OSS として AITuberKit と Project AIRI を紹介します。
AITuberKit
概要
AITuberKit は、AI キャラクターとのチャットや YouTube 配信が簡単にできるツールキットです。
AITuberKitは、誰でも簡単にAIキャラクターとチャットできるWebアプリケーションを構築できるオープンソースのツールキットです。 豊富なAIサービス、キャラクターモデル、音声合成エンジンに対応し、高いカスタマイズ性を備えた対話機能とAITuber配信機能を中心に、様々な拡張モードを提供しています。
ドキュメントも整備されており、商用ライセンスも存在します。
しかし残念ながら現在は新規機能開発は停止しておりますので、そこだけご注意ください。
セットアップ
クイックスタートに書いてあるとおりにすれば基本的には問題ありません。
ただし、Node.js のバージョンには注意する必要があります。バージョンが新しすぎるとエラーになります。私が起動を確認したバージョンは 20.19.6 です。

画面説明や使い方もクイックスタートに書いてあるので一読してください。またモデルも VRM に対応しているので独自のものに変更可能です。


またクイックスタートには書いてありませんが、TTS (Text to Speach) サービスをセットアップしていないとエラーになります。こちらはデフォルトが VOICEVOX になっているため、インストールしておいてください。
AI エージェントとして使うための外部連携方法
AITuberKit には外部連携方法が 2 つあります。これらを利用することで AI エージェントのフロントとして利用できます。
外部連携モード(ベータ版)
1 つ目は外部連携モードです。こちらは Websocket で連携することが可能です。

残念ながら私の環境では正常に動作しなかったため、どのように利用できるのかは読者のみなさまでご確認ください。
API 連携
API を使って外部から AI キャラクターにしゃべらせることが可能です。


これを利用して Dify や独自の RAG システムなどを使用して最終的に生成したテキストを AI キャラクターにしゃべらせることが可能です。
Project AIRI
概要
Project AIRI は Neuro-sama にインスパイアされた OSS です。
モデル駆動の魂の容器、ちょっとしたことができるデスクペット。 Neuro-samaのようなバーチャルペアも私たちの世界の一部にしましょう!
Neuro-sama は AI VTuber として YouTube で活動しています。
Neuro-sama についてより知りたい場合は下記 ITmedia のニュース記事を見ると分かりやすいです。
Project AIRI については下記ドキュメントサイトがあります。
いろいろドキュメントが抜けている部分もありますが、大枠の理解には役に立つことが書いてあります。
セットアップ
基本的には下記 README に書いてあるとおりで問題ありません。
起動して LLM プロバイダーの API Key などの設定をすると利用可能になります。サポートされているプロバイダーは多岐にわたるので README を見てご自身の利用したいものを選択してください。

設定は分かりづらいですが右上のアイコンから可能です。

Live2D の他に VRM にも対応しているので独自のモデルも利用可能です。

ステージたまごっち(デスクトップアプリ)とは
Project AIRI は Electron を使用してデスクトップアプリケーションとして動作させることが可能です。デスクトップアプリケーションとしてビルドするには「ステージたまごっち」と呼ばれるビルドを行う必要があります。
もともとは Tauri を利用していましたが WebGPU 周りで問題が出たため、最新のバージョンだと Electron に移行しています。ただし、Tauri を利用していたときの古いコードや設定などがまだ残っているため注意してください。
また Electron 移行している最新のバージョンはまだアルファ版であり、私の環境では正常に動作しなかったため動作が確認できていません。読者のみなさまの環境でご確認ください。
Windows を利用しているエンジニアへの注意点
モジュールインストール時にシンボリックリンク作成でエラーになる場合があります。原因はストレージのフォーマットタイプによるものです。
FAT32 と exFAT はシンボリックリンクが作成できないため、NTFS を使用してください。
AI エージェントとして使うための外部連携方法
Project AIRI があらかじめ準備しているものを利用可能です。
しかしアーキテクチャやコードを見るとプラグインが作れそうに見えると思います。
組み込まれている機能は server-sdk モジュールを使っているのでこれを利用すれば良さそうですが、本体コードをよく見ると呼び出しは本体コードにあらかじめ組み込んで呼び出す仕組みになっているため、本体コードを修正せずに呼び出すことは(少なくとも現状は)できないように見えます。もし理解が間違っていたらご指摘ください。
この拡張性に関しては作者がアーキテクチャの再考をしており、去年の UnityとDifyで自分専用のAIエージェントを作成する ブログで使用した ChatdollKit を参考にしています。
そのため、ユーザー独自のプラグインを近い将来利用できるようになるのではないかと考えています。
おまけ
README トップの画像の青髪の子は組み込み済みのモデルでは利用できません。ではこの子は何なのかというと、次期バージョンモデルになります。
まだリポジトリに取り込まれてはいないようですが、かなりよく出来ているので実装が楽しみです。
まとめ
Three.js、WebGPU、Electron など Web 技術を使用してここまでのことができるようになってきました。特に Project AIRI ではローカル推論のための Transformer.js の利用やローカル TTS 推論エンジンの開発など最新の技術の取り込み・開発をしています。そのため Web 技術で AI キャラクターを利用したエンタープライズレベルの AI エージェントを開発することが近い将来できるようになるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。通常の Web サービス開発では利用しないような技術が多いため、Web エンジニアでも目新しい発見がたくさんあるのではないでしょうか。この年末年始にぜひ触ってみていただければと思います。