質量とエネルギーの等価関係
アインシュタインの E=mc² という方程式は、質量 (m) とエネルギー (E) が等価であり、互いに変換可能であることを示しています。特殊相対性理論から導かれ、質量が膨大なエネルギーに相当することを意味しています。
本稿では、E=mc²を用いて、質量に内在するエネルギーを定量的に考察してみました。
金(きん)の質量を増やそう
金の価格が高騰しています。
2000年頃、1gあたり約1,000円だった金価格は、2023年後半に1万円を超え、2025年9月には2万円を突破、今後も高値圏で推移ものとみられています。
質量とエネルギーの等価性に基づき、物質にエネルギーを加えると、その分だけ質量が増加します。金塊に熱エネルギーを与えて質量を増加させれば一儲けできるかも…
電子レンジで金塊を加熱すれば金塊の質量が増えるはずです。

金の比熱は小さいので温度は上げやすいと思われます。
だけど、金で図柄が描かれた食器を電子レンジで加熱すると内部の電子が激しく動き回り放電を起こします。金塊をマイクロ波で加熱すると同様の現象が生じて好ましくありません。なので熱湯で加熱するのが良いでしょう。
金を100℃に加熱すると…
1キログラムの金を熱湯で20℃から100℃に昇温したときの質量の増加量をアインシュタインの公式に基づいて計算してみます。

先ず、1kgの金塊の温度を80℃上昇させるために必要な熱エネルギーEを計算します。
金の比熱は0.129J/(g・℃)です。
E=1000 x 0.129J x(100-20)= 10320J
よって加えたエネルギー
E = 10320J (J : ジュール)
そして、質量増加分Δmを計算します。
E = mc²より
Δm = E / c²となります。
光速は3 x 10⁸m/sなので、
Δm = 10320 /(9 x 10¹⁶)
=0.000000000115g
現在の世界最高のミクロ天秤の1000倍の精度がなければ測定不能な重さです。
1kgの金を常温(20℃)から100℃にしても金額換算で0.0000023円しか増えません。(金1gが2万円として)
※もとより熱湯で金塊にエネルギーを与えて資産増加という企みには、以下の致命的な瑕疵が存在します
▶︎湯を沸かすガス代金の方が高くつく
▶︎金の温度が下がると重量が減る
以上の考察より、小さな質量が莫大なエネルギーを内在していることがわかりました。

質量とエネルギーは等価であるもののその交換レートは極端です。ベトナム通貨のドン(エネルギー)で食物(質量)を買うような感じです。
※1円=170ドン(2025年12月時点)
質量からエネルギーを取り出す
金塊にエネルギーを与えても極々僅かの質量しか増加せず金儲けは叶わないものの、有限の質量が増加することは衝撃的です。
とするなら、伸びきったバネを圧縮するとエネルギーが蓄えられて質量が増えるのですね。
感覚的には腑に落ちないですが…

原子力発電では、中性子を吸収したウランが核分裂を起こした際に生じた質量欠損が莫大な熱エネルギーを生み出します。この熱で蒸気を作りタービンを回して電気を作ります。
電力の安定供給と経済性では原発は最強ですね。
広島に投下された原子爆弾の場合、ウランの核分裂により生じた莫大なエネルギーに変換された質量はわずか0.7グラムでした。
恐るべし… E=mc²