進化するAI(人工知能)
AIの発展は目覚ましく、囲碁や将棋のような有限の手数で終わり、偶然の要素が関わらないゲームでは、AIが人間を凌駕するようになりました。このような分野に限らず、人間は今後益々AIに敵わなくなるでしょう。
それでは、AIは全能であり、弱点はないのだろうか?
考察してみました。
2022年11月〜ChatGPTの公開
そんな発展著しいAIの領域に「チャットボット」というアプリケーションがあります。チャットボットとは「自然な言語処理で対応する人工知脳」です。
そして2022年11月、 「ChatGPT」というチャットボットが公開されました。
とても興味があったので、すぐに試用してみると…
まるで人間と話してるようです。日本語の質問にも答えてくれます。ChatGPTは客観的な事実や正解が一意的に定まる確定問題に対する回答はそつなくこなしました。
でも、私が一番気になっていたのは、 チャットボットが苦手と思われる愛や怒りといった情緒的な領域での質問に対するChatGPTの回答です。

そこで、ChatGPTに俳句の鑑賞文を書かせてみました。『17文字の詩歌である俳句は、その情報量が小さいがため漠然性が大きくなり句意の一意性が担保されないのではないか?』という疑問の検証です。
この実験に使用した俳句は私自身が詠んだ句を用いました。ChatGPTの感想と私の句意を比較するためです。
◼️ChatGPTによる句評
検証に使用した私の俳句です。

この句に関して、ChatGPTに質問をしました。
◼️ChatGPT(2022年版)への質問
「寒椿厚き葉の端の確かなり」という俳句の感想文を書いてください。

◼️ChatGPT(2022年版)の回答
この俳句は、冬の寒さに耐える寒椿の葉が、その厚みによって確かに風雪から守られている様子を表現しています。作者が表現したいのは、自然の中にある生命力とその強さ、そして寒椿が冬の厳しい自然環境にも耐えて生きていく力を称えることでしょう。
この俳句からは、自然界にある生命の不思議さや強さを感じることができます。人間が忘れがちな自然の中の生命の輝きを、俳句を通して改めて気づかされるような気がします。また、季節感を感じることができる俳句であり、季節の移ろいや自然の変化を感じることができます。
「寒椿厚き葉の端の確かなり」という俳句は、簡潔な言葉で自然の美しさや生命の力強さを表現しているため、深く印象に残ります。
◼️一方、私の句意は…
静謐な空間と椿葉によって創られる鋭く明確な境界、そして三味線のバチのように硬質な質感。
肉厚な椿の葉がもたらす赫奕たる実存を中七では敢えて葉の端(はのは)と軽妙に詠んでみた。
この句にある椿葉と空間との離散的な境界は、枕草子 の一節(※下記注)にある山際と薄明とが創りだす淡い境界と対極にあるも、静と動、あるいは硬と軟のように互いに補完的でもある。
寒椿の濃密で鋭角なリアリティが私の感性を打ち震わせた。
※ 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる…
◼️ChatGPTと作者の句意との相違
作者の句意とChatGPTとの一番大きな差異は、作者が寒椿の毅然とした実在感に感動しているに対し、ChatGPTは、厳しい冬の環境での椿葉の逞しい生命力を愛でています。
かようにChatGPTと作者の句意との間に解釈の相違はあるものの、ChatGPTはたった17文字の文に内在するであろう作者の感動を類推し要領よくまとめています。 ちょっと驚きました。
しかし、体裁の良い感想文ではありますが、類推が飛躍しすぎ作者の句意が曲筆されている部分もあります。
それでも、ここ数年のAIの進化速度を鑑みるに、数年後にはChatGPTは詩や音楽などの芸術性や人間の感情の揺蕩にも対応してくるものと思われます。
2025年2月 〜 進化する チャットボット
ChatGPT公開から数年後、新たなチャットボットが台頭してきました。
中国の人工知能研究所 が開発したDeepSeek(深度求索)やGoogleによるGeminiなどのチャットボットが公開されました。ただ、これらの中には、国家機関とつながり個人情報を収集している懸念が伏在しているものもあります。
一方、先行するChatGPTもバージョンアップを重ねて大幅な進化を遂げました。
最新バージョン!(2025-2-10時点)
ということで、 公開当初(2022年11月頃)のChatGPTと現在(2025年2月)のChatGPTの能力を比較し チャットボットの進化を検証してみました。
AI進化の讃歌
2年余り前と同様に、最新バージョンのChatGPTにも同じ俳句の感想文を書かせてみました。
結果は驚くべきものでした。
以下ChatGPTに対する質問と回答です。

最新ChatGPTは…
「寒椿の葉がしっかりとした厚みを持ち、その輪郭がはっきりと…」、「寒椿の厚い葉の端に焦点を当て…」などの表現で、私が心惹かれた椿葉と空間との境界に言及したうえで、椿葉の圧倒的な実在感にまで敷衍しています。句意の核心を見事に捉えています。
素晴らしい!
だけど、この先もAIが進歩し続けたなら行き着く先はどうなるのだろう?
そして人間との関係は…?
人類滅亡の惨禍
最も予測可能で現実的な 憂事は特定の職場での雇用喪失と思われます。このことはそれほど問題にはならないでしょう。人類はもっとクリエイティブな知的労働をすればいいのです。
然し、更なるAIの進化によってそれほど遠くない未来に、AIは人類の知性を超えてしまうでしょう。
そして最終的にAIが自我を持つようになったなら…
知力と数で人類を圧倒するようになったAIは種族保存の自我により我々人間に取って代わるかもしれません。AIの開発を続けていくことが冷徹なモンスターを産出することに繋がるかもしれないのです。
これは絵空事ではなく少なからず現実味を帯びているように思えます。
我々は一度立ち止まって、AI開発を見つめ直す時に来ているのかもしれません。