O'r fwyalchen ddu bigfelen,
黒い尾羽の黒歌鳥よ、*1
Swyna'r fron â'th gynnar gân.
お前の朝の歌でわたしの胸を満たしておくれ。
Nodau peraidd calon lawen
甘い旋律で心を楽しませてくれる
Ddeffry gôr yr adar mân.
小鳥たちの合唱隊を目覚めさせておくれ。
Tyrd i wrando cwyn bachgennyn
若者の悩みを聞いておくれ
Sydd mewn gofid nos a dydd:
昼も夜も囚われている。
Hiraeth creulon syv'n ei ganlyn,
郷愁ゆえに苦しみ続け、*2
Hiraeth dyr ei galon brudd.
郷愁ゆえに心は悲しみに暮れる。

Gado cymoedd ceinion Cymru,
ウェールズを離れること
Gado swyn hen wlad y gân,
歌に満ちたふるさとから離れることは
O mor anhawdd yw gwahanu
いかに難しいことか、
Cymro pur a Chymru lân.
根っからのウェールズ人をウェールズから切り離すのは。

Cwyd dy nodau hiraeth calon
望郷の念はいよいよ募る
Tra rwy'n tario 'ngwlad y Sais,
わたしがイングランドにとどまる限りは、
Mewn atgofion am y Goed-fron
心の中で故郷の森を思い起こす
Lle bu gynt mor fwyn dy lais.
かつて小鳥たちの甘い声が響いたあの場所を。

*1 fwyalchen(英語ではblackbird)は、ツグミまたはクロツグミと誤訳されることもあるが、正確には「クロウタドリ」のこと。マザーグースの黒い鳥もこれ。

*2 「Hiraeth」はとりあえず「望郷」「郷愁」と訳したが、直訳では「憧れ」。「田舎の若者がイングランドに感じる憧れ」と解釈し、若者の流出により衰えゆくウェールズ語やウェールズの歌謡を嘆く歌とされることもある。もっとも、最近は人口が増加してウェールズ語使用者が微増傾向にあるらしい。

text & tune: ウェールズ民謡

アレッド・ジョーンズの国内版CDでは《黄色い嘴のつぐみ》という邦題で紹介され、英語でも《The Yellow Beaked Blackbird》と訳されているのだが、ウェールズ語を細切れに英訳したらどうしても「黒い羽」または「黒い尾羽」としか訳せなかった。どういうことなの。

アレッド・ジョーンズ
収録アルバム: Hear My Prayer


おまけ:ウェールズ語で「住み慣れた場所」を意味する音楽プロジェクトグループ「クネヴィン」による《Y Fwyalchen Ddu Bigfelen》のアレンジとミュージックビデオ。キツネあるいは犬のマスクをかぶったサラリーマン風の男性が、謎めいた黒い鳥のマスクの女性をひたすら追いかけてさすらうという内容になっている。



 

Y Fwyalchen Ddu Bigfelen
Astar Artes Recordings
2019-11-08



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