One morning I rambled,
down by the seashore
And the wind it did whistle
and the water did roar
ある朝、わたしはぶらぶらと
海辺沿いに歩いていた
風はぴゅうぴゅうと吹きつけ
海水は吠え猛っていた
I heard some fair maiden
Give a pitiful cry
And it sounded so lonely
It swept off so high
わたしが聞いたのは美しい乙女の
痛ましい泣き声だった
それはひどく寂しげで
空高く響き渡っていた*1

Said William to Molly
"If you will agree,
 to give your consent love,
 to marry me?
ウィリアムがモリーに話しかけた
「あなたは承知してくださいますか、
 僕とお互い愛し合い、
 僕と結婚することに?

 My mind is to marry
 and never to part,
 for the first time I saw you,
 you wounded my heart"
 僕は結婚すると心に決めています
 そして決してあなたから離れません、
 初めてあなたを見た時、
 僕の心はかき乱されたのですから。」

"Go away from me William,
 and leave me alone,
 for I'm just a poor girl
 and a long ways from home.
「わたしのことは捨て置いてください、ウィリアム
 独りにしてください、
 わたしはただの貧しい娘で
 故郷からも遠く離れた身なのだから」

 I never will marry,
 I'll be no man's wife,
 I intend to live single
 all the days of my life"
「わたしは決して結婚しないわ、
 人妻にはならないわ、
 独り身のままで
 残りの生涯を暮らすのよ」

"The shells in the ocean
 shall be my death bed,
 while the fish in deep waters
 swim over my head"
「大海原の中の貝殻が
 わたしの死の床となるでしょう
 深い水の中で魚たちが
 わたしの頭上を泳ぐでしょう」

She cast her fair body
in the water so deep,
and she closed her pretty blue eyes,
forever to sleep
彼女はそのたおやかな身を投げた
深い水の底へと
その可憐な青い瞳も閉じられた
永遠の眠りへと

*1 sweep offはさっと風が吹きはらう、手ではねのけるなどの意。

text & tune: おそらく19世紀頃発祥の英国民謡。のちに北米にも伝わった。

別名としてThe Shells Of The Ocean《大海原の貝殻》、The Drownd Lover《溺死せる恋人》、Lover's Lament For Her Sailor《船乗りの恋人の哀悼》などがある。元来は船乗りだった恋人を亡くした女性が、他の男性に求婚されたのを拒否して恋人の後を追う内容であったと思われる。



ここではウィリアム君は単にフラれてしまっているが、ウィリアムまたはそれに近い名前の男性が、川岸で恋人を殺害するという殺人バラッドの典型があり、その名が多少混ざった可能性もある。
コソイ・シスターズのアルバムに収録された《オハイオ川の岸辺》ではウィリーという男が登場するが、こちらは求婚を拒否されたことに逆上して、相手の女性を殺害して川に投げ込むというストーリーになっている。


The Kossoy Sisters
収録アルバム: Bowling Green and Other Folk Songs from the Southern Mountains
I Never Will Marry
Tradition Records
1956-08-19




タグ :
#Kossoy_Sisters
#アメリカ
#英語
#イギリス