I asked my love to take a walk
Only for a little way
And as we walked we'd have a talk
Of our approaching wedding day
恋人を散歩へ誘ったんだ
ほんの小道を歩くだけだからと
歩く道すがらお喋りしたのは
もうじきくる結婚の日のこと
*Then only say that you'll be mine
 And our home, so happy be
 Down beside some water flow
 On the banks of the Ohio
*ひたすら言い続けた、俺のものになっておくれと
 とても幸福な家庭にしようと
 水の流れる川岸のそば
 オハイオ川の岸辺で

I drew a knife across her breast
As gently in my arms she pressed crying
"Oh, Willie, don't you murder me
For I am unprepared to die"
俺はナイフを抜いて彼女の胸を切り裂いた
俺が優しく抱きしめるのを、泣きながら押しのけて
「ああウィリー、わたしを殺さないで
 死ぬ覚悟ができていないのに」

*Refrain
*繰り返し

I took her by her lily-white hand
I let her down to the river strand
I plunged her in where she would drown
And stood and watched as she floated down
俺はその白百合のような手をつかんで
川の流れの方へ引きずり落とした
溺れ死ぬだろうところへ彼女を投げ込み
そして川下へ流れてゆくのを立ち尽くして見つめていた

*Refrain
*繰り返し

While walking home 'tween twelve and one
Thinking of the deed I'd done
I killed the girl that I loved best
Because she would not be my bride
家へ戻る道すがら、12時から1時の間に
俺がしでかしたことを思い続けていた
この上なく愛した女を殺してしまった
俺の花嫁になろうとしなかったから

*Refrain
*繰り返し

text & tune: 19世紀頃のアメリカ民謡

のどかな曲調とは裏腹に、結婚を迫って拒否された男が逆上し、残忍にも女性を殺害するという殺人バラッド。二人っきりの時に別れ話をしてはいけない(戒め)。
意のままにならない女性を川に突き落として溺死させるというシチュエーションを持つ民謡として《オーミー・ワイズ》があるが、こちらは逆に妊娠した女性に結婚をせがまれたため殺害している。


ただし、実際にオハイオ川でこのような事件があったというわけではないらしい。
主人公が同じく「ウィリー」の名を持つ殺人バラッドにKnoxville Girl《ノックスヴィルの娘》というのがあり、これはイギリスで1683年に起こった殺人事件がもとになっている。ブロードサイド・バラッド(17世紀イギリスで流行した、実際の事件を歌仕立てにした読み物)ではThe Bloody Miller or Hanged I Shall Be《血まみれの粉屋、または俺は吊るされる》というバラッドに仕立てられ、さらに19世紀アイルランドでThe Wexford Girl《ウェクスフォードの娘》という歌に変化し(オックスフォードやレキシントンなどXの字が入った別の地名のバージョンがある)、さらにアメリカに渡って《ノックスヴィルの娘》となって定着した。粉屋は水車を使うため水辺が必ずそばにあることが前提となる。


もうひとつ、1650年の事件をもとにしたThe Downfall of William Grismond《ウィリアム・グリズモンドの転落》という「ウィリアムという名の男が、上流階級の女性との縁談の邪魔になったという理由で、妊娠した恋人を殺害する」という内容の歌があり、これらの殺人バラッドが原型となって「ウィリアムまたはそれに近い名の男が身勝手な理由で恋人の女性を殺害する」「それは水辺に近い出来事である」というモチーフを持った民謡になって各地に伝播し、現地の地名をあてはめられたものと考えられる。ウィリアム最低だな!







おまけ:バンクーバーのアーティストRebecca Dartによる、《オハイオ川の岸辺》のコミカライズ
コソイ・シスターズのバージョンと少し異なり、翌日保安官に連行されるという結末がある。

ちなみに、歌っているコソイ・シスターズという女性デュオは、一卵性双生児の姉妹。




The Kossoy Sisters
収録アルバム: Bowling Green and Other Folk Songs from the Southern Mountains
The Banks of the Ohio
Tradition Records
2020-10-28


おまけ:その他の本名ウィリアムっぽい人たち













(こいつに関しては偽名である可能性もある)



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