Who is Silvia? What is she,
That all our swains commend her?
Holy, fair, and wise is she;
The heaven such grace did lend her,
That she might admirèd be.
シルヴィアとは誰? 彼女は何者?
牧童たちがこぞって誉めそやすその人は?
聖女のように、うるわしく、賢いその人、
天はかくなるみ恵みをシルヴィアに賜わった、
彼女を賞賛の的にさせるべく。
Is she kind as she is fair?
For beauty lives with kindness.
Love doth to her eyes repair,
To help him of his blindness,
And, being helped, inhabits there.
彼女は美しい上に心優しいんだって?
美貌と思いやりが同居するとはね!*1
愛の神が彼女の両目を磨いたのさ
自分が盲目だから手伝ってもらおうと、*2
今も助けられてて、そこに住みついてるのさ!

Then to Silvia let us sing,
That Silvia is excelling;
She excels each mortal thing
Upon the dull earth dwelling:
To her let us garlands bring.
だから、シルヴィアによせて僕らは歌おう
卓越したシルヴィア姫のことを。
彼女はあらゆる死すべき者たちのうちでも抜きんでて、
地に住まう愚者どもの上に立つ人。
彼女に栄光の花冠を贈ろう。

*1 「美人はちやほやされるから性格が悪い」と、すでにこの時代から思われていたらしい。
*2  愛の神(エロス、クピド)は、その制御不可能な気まぐれさを示すために、目隠しをして弓矢をつがえる姿で表現される。
*3 ガーランドは子供が遊びで作る花輪ではなく、名誉や勝利をあらわすもの。

text: William Shakespeare(1564-1616)
tune: Franz Peter Schubert(1797-1828)

チャールズ・エドワード・ペルジーニ「シルヴィア」
Silvia_-_Charles_Edward_Perugini

シェイクスピアの初期作品『ヴェローナの二紳士』の劇中歌。シューベルトは「Was ist Silvia?」で始まるドイツ語訳を使って作曲した。

シルヴィアとはヒロインの一人でミラノ公の令嬢。ヴェローナで友人同士だったヴァレンタイン(恋愛経験なし)とプロテュース(彼女持ち)は、訳あってミラノに留学するが、ヴァレンタインは生まれて初めてシルヴィアに恋してしまう。ところがプロテュースがそこに横恋慕し、ミラノ公をそそのかしてヴァレンタインを追放させる。そこにプロテュースを追いかけてきた恋人ジュリアが男装してプロテュースの御小姓になったり、シルヴィアの求婚者のアホ坊ちゃまが絡んできたりしてしっちゃかめっちゃかに…という話。
さんざんやらかしてきたプロテュースが反省のポーズしただけで即刻許されたり、シルヴィアそっちのけでヴァレンタインが「友情の証にシルヴィアを譲るわ」(男同士の友情は男女の恋愛より尊いと当時考えられていたため。今でもそう考える人はたくさんいそうだが)とか言い出したりして、現代の視点からすると「んん?」となる展開も結構ある(18世紀中期からこのくだりを削る演出が一般的になった)。結局のところホモでは…?

アレッド・ジョーンズ
収録アルバム: Ave Maria
To Sylvia
Sain
2010-07-01


おまけ:シューベルトはご存知オーストリアの作曲家。膨大な量の歌曲を残したので、「歌曲の王」とも呼ばれる。
クラシカロイドでは、ベートーヴェンパイセンを熱愛するも全く相手にされない変態不遇キャラ。貴重なメガネ枠でもある。アイデンティティが確立してないせいか、ころころ服装が変わる。登場したムジークはラップ調の《魔王》、およびレゲエ調の《ザ・グレート(大ハ長調交響曲)》。



なお、史実では作曲以外のあらゆることに関して全くのポンコツで、当然のことながら収入がなかったので、多くの友人たちがカンパしあってなんとかシューベルトを養っていたという。愛されペットか何かかな?







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