Oranges and lemons,
Say the bells of St. Clement's.
「オレンジにレモン」と*1
聖クレメントの鐘が言う

You owe me five farthing,
Say the bells of St. Martin's.
「お前に5ファージング貸しがあるぞ」と*2
聖マーチンの鐘が言う
When will you pay me?
Say the bells of Old Bailey.
「いつ支払ってくれる?」と
オールド・ベイリーの鐘が言う

When I grow rich,
Say the bells of Shoreditch.
「お金持ちになったらね」と
ショアディッチの鐘が言う

When will that be?
Say the bells of Stepney.
「いつなるの?」と
ステップニーの鐘が言う

I do not know,
Say the great bell of Bow.
「知らないよ」と
ボウの大鐘が言う

Here comes a candle to light you to bed,
And here comes a chopper to chop off your head.
(Chip chop, chip chop, the last man's dead.)
お前をベッドへ案内するろうそくが来たぞ
お前の首を切り離す首切り役人が来たぞ
(チョンパ、チョンパ、最後の奴が死んだぞ)

Pancakes and fritters,
Say the bells of St. Peter's.
「パンケーキに天ぷら」と*3
聖ピーターの鐘が言う

Two sticks and an apple,
Say the bells of Whitechapel.
「飴ん棒二本にりんご一個」と*4
ホワイトチャペルの鐘が言う

Old Father Baldpate,
Say the slow bells of Aldgate.
「つるっぱげの親父さん」と
オルドゲートの鐘が遅れて言う

Pokers and tongs,
Say the bells of St. John's.
「火かき棒に火ばさみ」と
聖ジョンの鐘が言う

Kettles and pans,
Say the bells of St. Ann's.
「やかんに平鍋」と
聖アンの鐘が言う

Brickbats and tiles,
Say the bells of St. Giles'.
「れんがつぶてにタイル」と
聖ジャイルズの鐘が言う

Here comes a candle to light you to bed,
And here comes a chopper to chop off your head.
(Chip chop, chip chop, the last man's dead.)
お前をベッドへ案内するろうそくが来たぞ
お前の首を切り離す首切り役人が来たぞ
(チョンパ、チョンパ、最後の奴が死んだぞ)

*1 オレンジもレモンも、イギリスがEUに加盟する以前は非常に高価なフルーツだった。なお、この名は1665年のダンス曲集にすでに登場している。
*2 ファージングは現在では使われなくなったイギリスの通貨単位。1ペニーにつき4ファージング。古いバージョンでは「ten shillings(10シリング)」。1ポンドにつき20シリング、1シリングにつき12ペンス。
*3 フリッター、フリットは要するに洋風天ぷらだが、魚や野菜だけでなくりんごやバナナなどを衣で包んで揚げてデザートにすることもある。日本の天ぷらに比べるとフニャッとしている。
*4 「sticks」を棒状のお菓子と解釈することもできるが、欧米で定番のお菓子であるりんご飴のことかもしれない(りんごの数が足りないが)。ハロウィンや11月のガイ・フォークスデーなどで定番となっている。

text & tune: イギリスのナーサリーライム。文献初出は1744年頃に出版された『Tommy Thumb's Pretty Song Book(トミー・サムの可愛い唄の本)』。

初出の形は、以下のようになっていた。

Two Sticks and Apple,
Ring ye Bells at Whitechapple,
「飴ん棒二本にりんご」と
ホワイトチャペルの鐘が鳴る

Old Father Bald Pate,
Ring ye Bells Aldgate,
「つるっぱげの親父さん」と
オルドゲートの鐘が鳴る

Maids in White Aprons,
Ring ye Bells a St. Catherines,
「白エプロンの女中たち」と
聖キャサリンの鐘が鳴る

Oranges and Lemons,
Ring ye bells at St. Clements,
「オレンジにレモン」と
聖クレメントの鐘が鳴る

When will you pay me,
Ring ye Bells at ye Old Bailey,
「いつ支払ってくれるの」と
オールド・ベイリーの鐘が鳴る

When I am Rich,
Ring ye Bells at Fleetditch,
「お金持ちになったらね」と
フリートディッチの鐘が鳴る

When will that be,
Ring ye Bells at Stepney,
「いつなるの」と
ステップニーの鐘が鳴る

When I am Old,
Ring ye Bells at Pauls.
「年をとったらね」と
聖ポールの鐘が鳴る

ロンドンの鐘尽くし(ただし一部の鐘は現在失われているか特定できなくなっている)の、とぼけた童謡。日本の「通りゃんせ」と「花いちもんめ」を組み合わせたような遊びで、歌いながら「オレンジ」と「レモン」に別れた後、お互い引っ張りあって勝敗を決める。
かつて斬首刑が公開されていた記憶と、借金が重なって投獄されたという歴史が結びついたものという説がある。

Crimson Ensemble
収録アルバム: Classic Nursery Rhymes, Vol. 1
Oranges And Lemons
The Music Shed
2016-08-23


The Broadside Band
収録アルバム: Old English Nursery Rhymes
Oranges and Lemons
Saydisc
2011-02-01


谷川俊太郎の日本語訳詞では、水森亜土ちゃんの朗読のBGMとしてボニージャックスによるこのメロディのスキャットがあてられている。

収録アルバム: 谷川俊太郎の訳詩による マザー・グースのうた ~ユーモアとナンセンス、奇妙絶妙、怪奇千万の世界へいざ! 87篇の名訳詩を聴き解く



おまけ:ウォルター・クレインによるイラスト8797cc90.gif

さらにおまけ:ヘンリエット・ウィルビーク・ル・メールによるイラスト8a8a503a.gif

さらにさらにおまけ:Bob Chilcott(1955-)によるパロディ曲。歌詞は上記の『トミー・サムの可愛い唄の本』と同じ。
London Bells《ロンドンの鐘》


amazonには楽譜しかないのだ

London Bells
Oxford Univ Pr
2006-03-30



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