Near Banbridge Town in the County Down
One morning last July,
Down a boreen green came a sweet colleen
And she smiled as she passed me by.
She looked so sweet from her two bare feet
To the sheen of her nut brown hair.
Such a coaxing elf, sure I shook myself
For to see I was really there.
ダウン州のバンブリッジ・タウンのそば、*1
去年の七月のある朝のことさ
緑の野辺を愛らしいアイルランド娘が降りてきて
そして通りがかった俺に微笑みかけたんだ
ああ、彼女はそれは素敵だった、二本のまっ白い足から、
栗色の髪の先のきらめきまで*2
こんなにも魅惑的な妖精に、俺は衝撃を受けた、
俺が見たものは現実かと。
*From Bantry Bay up to Derry Quay and
 From Galway to Dublin Town,
 No maid I've seen like the fair colleen
 That I met in the County Down.
*バントリー湾からデリー波止場にあがり
 ゴールウェイからダブリンまで行っても、
 この美少女ほどの乙女はあるまい
 俺がダウン州で逢った娘ほどのは。

As she onward sped, sure I scratched my head,
And I looked with a feelin' rare,
And I say's, say's I, to a passer-by,
"Whose the maid with the nut brown hair"?
He smiled at me and he says's, say's he,
"That's the gem of Ireland's crown.
It's Rosie McCann from the banks of the Bann,
She's the star of the County Down".
彼女は走り去り、俺は頭をかきむしり、
心を高ぶらせて彼女を見つめていた。
俺は聞いた、道行く人に尋ねたのさ
「あの栗毛の娘は誰なんだい?」
ああ、そいつは微笑んで俺に言った、言ったのさ
「あれこそアイルランド王の冠の宝石、
 バンの土手から来たロージィ・マッカン、
 彼女こそダウン州の輝ける星。」

*Refrain
*繰り返し

She had soft brown eyes with a look so shy
and a smile like a rose in June.
And she sang so sweet what a lovely treat,
as she lulled to an Irish tune.
At the patterns dance i was in the trance
As she whirled with the lads of the town.
And it broke my heart just to be apart,
From the star of the County Down.
はにかみを含んだやさしい茶色の瞳、
六月の薔薇のようなほほえみ。
なんと愛らしい節回しで歌うのか、
彼女がアイルランドの歌を口ずさむ時は。
パトリック祭のダンスで俺は呆然となった、*3
彼女が町中の若い連中とくるくる踊っていたから。
俺の心が砕かれたのはまさにそのとき、
ダウン州の輝ける星と離ればなれになってから。

*Refrain
*繰り返し

At the Harvest Fair she'll be surely there
And I'll dress in my Sunday clothes,
With my shoes shone bright and my hat cocked
Right for a smile from my nut brown rose.
No pipe I'll smoke, no horse I'll yoke
Till my plough turns rust coloured brown.
Till a smiling bride, by my own fireside
Sits the star of the County Down.
収穫祭にもあの娘はきっとくるだろう
俺は日曜日用のきれいな服を着よう
靴を磨いてピカピカにし、帽子を傾けて、
栗色の薔薇の前ではお行儀よくしよう。
パイプもふかさない、馬にもくびきをかけない
くわが赤錆で茶色になったとしても
俺んちの炉辺に微笑む花嫁が
ダウン州の輝ける星が座ってくれるまでは。

*Refrain
*繰り返し

*1 カウンティは「県」と訳することもある。ダウン州は北アイルランド(一応イギリスに組み込まれている)の州の一つ。「嵐が丘」や「ジェーン・エア」で有名なブロンテ姉妹のお父さんがダウンの出身なので、「ブロンテ州」という愛称がある。バンブリッジまで行商に行ったときに何故かミルトンの「失楽園」を買ってきた変な人。貧しい職人から身を起こしてケンブリッジ大学に入り、牧師になったとても偉い人。でも子供たちが軒並み早死に。
*2 nut-brownは正確にはこげ茶に近い栗色。

*3 聖パトリック(聖パトリキウス)はアイルランドにキリスト教を伝えた人物で、アイルランドの守護聖人。祝祭日は3月17日で、アイルランド他アイルランド系移民が多いアメリカでも盛大に祝われる。この日はシンボルとしてシャムロック(クローバーやカタバミなどの三つ葉の葉っぱの総称)か緑のものを身につける。

text & tune: アイルランド民謡

アイルランドの民謡。歌詞は何パターンかあり、ここではアイリッシュ・ローバーズによる歌詞を対訳。
「星」の意訳として「カウンティ・ダウンのピカ一娘」という邦題もある。地元のアイドルとかそんな感じ。

The Irish Rovers
収録アルバム: The Irish Rovers' Gems
Star of the County Down
Rover Records
2011-05-19


おまけ:いろんなグループが歌う《ダウン州の輝ける星》


おまけその2:日本聖公会聖歌集に取り入れられて、『主のみ手はかつて』という聖歌で使われている。


追記:元来はチャイルド・バラッド56番のDives and Lazarus《金持ちとラザロ》といい、ルカによる福音書16章に基づく宗教的な民謡のメロディであったらしい。金持ちがクリスマスのご馳走を食べようとしているところに、貧しいラザロが物乞いに来るが、金持ちは邪険にする。その死後金持ちは地獄に落ち、ラザロは天国に引き上げられるという教訓的な物語である。ヴォーン=ウィリアムズはこの旋律を用いて《金持ちとラザロによる5つの変奏曲》を作曲している。



収録CD:Vaughan Williams: Fantasia on a Theme by Thomas Tallis and other Orchestral Works

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