Skimbleshanks the Railway Cat,
the Cat of the Railway Train
鉄道猫スキンブルシャンクス
鉄道列車の猫

There's a whisper down the line
at eleven thirty-nine
When the Night Mail's ready to depart
Saying, "Skimble, where is Skimble?
Has he gone to hunt the thimble?
We must find him or the train can't start"
ささやき声が路線に響く
時は十一時三十九分
深夜便は発車準備完了の頃
いわく、「スキンブル、スキンブルはどこだ?
 指ぬき(シンブル)でも追いかけて行っちゃったのかな?
 彼を見つけ出さなきゃ発車できないよ」
All the guards and all the porters
And the station master's daughters
Would be searching high and low
Saying "Skimble where is Skimble
for unless he's very nimble
Then the night mail just can't go."
警備員も赤帽も
駅長の娘さんたちもみんなが
上を下をと探し回る
「スキンブル、スキンブルはどこ?」と言いながら
「彼の知恵袋が無くっちゃ、*1
 夜行便は出発できないよ」

At eleven forty-two
with the signal overdue
And the passengers all frantic to a man
That's when I would appear
and I'd saunter to the rear
I'd been busy in the luggage van!
十一時四十二分、
シグナルはとっくに青
乗客たちはみんな駅員に食ってかかる
そこで僕が姿をあらわす
「後部車両の方までぶらりとね
 荷物車両のところで忙しかったものでね!」

Then he gave one flash
of his glass-green eyes
And the signal went "All Clear!"
They'd be off at last to the northern part
of the Northern Hemisphere!
彼がおもむろにピカリとさせる、
碧のガラスの瞳を
するとシグナルは「オールクリア!」と合図
とうとう北国へ出発だ
北半球へ向かって!

Skimbleshanks the Railway Cat
The Cat of the Railway Train
鉄道猫スキンブルシャンクス
鉄道列車の猫

You could say that by and large
it was me who was in charge
Of the Sleeping Car Express
From the driver and the guards
to the bagmen playing cards
I would supervise them all more or less
皆さんおっしゃる、「いったい全体、*2
誰がわたしの一切合切を担当してくれる?
この特急列車で眠ってる間は」
運転手に車掌から
賭け事好きな運び屋にいたるまで*3
僕が何もかもを監督いたします

Down the corridor he paces
and examines all the faces
Of the travellers in the first and the third
He established control
by a regular patrol
And he'd know at once if anything occurred
スキンブルは通路をゆっくり降りていく
全ての顔を吟味しながら
一等車も三等車も旅行者は全員
彼の統制は確かなもの
それは規則正しいパトロールのおかげ
ひとたび事が起これば彼にはわかる

He would watch you without winking
and he saw what you were thinking
And it's certain that he didn't approve
Of hilarity and riot
so that folk were very quiet
When Skimble was about and on the move
彼は見逃すことなく見張ってる
彼には人が何を考えてるかわかる
確かなことは、彼がよしとしないのは
浮かれポンチや飲んだくれだということ
それだから皆さんとってもおとなしい
スキンブルシャンクスが働いているあいだは

You could play no pranks with Skimbleshanks!
He's a cat that couldn't be ignored
So nothing went wrong on the Northern Mail
When Skimbleshanks shall aboard
スキンブルシャンクスがいるからには悪ふざけはご無用
彼は決して知らんぷりなどしない猫だもの
かくして北方便はつつがなく進行
スキンブルシャンクスを乗せて

It was very pleasant
when they'd found their little den
With their name written up on the door
なんとも嬉しいのは
自分の小さな個室を見つけた瞬間
ドアの上には自分の名前もちゃんと書かれてる

And the berth was very neat
with a newly folded sheet
And not a speck of dust upon the floor
寝台はこざっぱりとして
洗いたてのシーツがたたんである
床にはちりひとつ落ちてない

There was every sort of light
You could make it dark or bright
And a button you could turn to make a breeze
調節式ライトもあって
暗いも明るいもお好みのまま
ボタンひとおしでそよ風も出せる

And a funny little basin
you're supposed to wash your face in
And a crank to shut the window should you sneeze
ひょうきんな小さい洗面台は
どうやって顔を洗おうか悩むことうけあい
くしゃみが出たら窓を閉めるハンドルもある*4

Then the guard looked in politely
and would ask you very brightly,
"Do you like your morning tea
 weak or strong?"
車掌がうやうやしく覗きこみ
ほがらかな声で尋ねるよ
「モーニングティーのお好みは
 薄めそれとも濃いめ?」

But I was just behind him
and was ready to remind him
For Skimble won't let anything go wrong
僕はその後ろにはりついて
気を配っているのさ
このスキンブルが何事にも粗相のないようにね

When they crept into their cosy berth
and pulled up the counterpane
They all could reflect that it was very nice
To know that they wouldn't be bothered by mice
They can leave all that to the Railway Cat
The Cat of the Railway Train
寝心地のいい寝台に寝転がって
かけぶとんをひっかぶると
皆さん口をそろえて「大変結構」とおっしゃる
「ネズミに悩まされることがないっていいね!」
全てはこの鉄道猫にお任せ
鉄道列車の猫に

Skimbleshanks the Railway Cat
The Cat of the Railway Train
鉄道猫スキンブルシャンクス
鉄道列車の猫

In the watches of the night
I was always fresh and bright
Every now and then I'd have a cup of tea
With perhaps a drop of scotch
while I was keeping on the watch
Only stopping here and there to catch a flea
夜通しの巡回中も
僕はいつでも元気はつらつ
時にはティーカップ片手に*5
もしかするとスコッチをひとたらしして
僕の警備に穴が空くことはない
僕が立ち止まるのはノミ取りの時だけさ

They were fast asleep at Crewe
and so they never knew
That I was walking up and down the station
They were sleeping all the while
I was busy at Carlisle
Where I met the station master with elation
皆さんクルー駅ではとっくに寝てるので
知りようもないことだろうけど
僕は駅で行ったり来たりしてたのさ
皆さんがぐっすり眠ってる間も
僕はカーライル駅で忙しくしてたさ
駅長さんとの会見で和気あいあいとね

They might see me at Dumfries
if I summoned the police
If there was anything they ought to know about
ダンフリース駅で僕を見たならば
警察を呼ぶ僕だったかもしれない
何事かあったら警察は知ってるはずだからね

When they got to Gallowgate
there they did not have to wait
For Skimbleshanks would help them to get out!
ギャロゲイト駅に到着したら*6
皆さんもたもた待ってる必要はない
スキンブルシャンクスが下車までお手伝いいたします

And he gives a wave of his long brown tail
Which says "I'll see you again!
You'll meet without fail on the Midnight Mail
The Cat of the Railway Train!"
彼が長い茶色のしっぽをゆらゆら
それは「またお会いしましょう!」ということ
「きっとまた深夜便でお会いしましょう、*7
 この鉄道列車の猫と!」

*1 nimbleはすばしっこいという意味の他に、頭の回転が速いという意味もある
*2 by and large 全体的に、概してなどの意味を持つ慣用句。一体全体というより次の行の「一切合切」の意味に近い。念のため。
*3 bagmenは外交員、行商人、ときに乞食や取り立て屋などさまざまな職業を指す。
*4 ハンドルとしたが、原詩ではcrank。機械の回転式の部分全般を指す言葉で、奴隷が地下牢で回してるわけのわからない機械もこれ。
*5 every now and then 時々、時折
*6 スコットランドのグラスゴーに実在した駅だが、この詩が出版された頃にはすでに閉鎖している。この夜行便がロンドン方面→スコットランド行きであることがわかる。
*7 without fail 間違いなく、必ず、きっと

text: Thomas Stearns Eliot(1888-1965)
tune: Andrew Lloyd Webber(1948-)

T.S.エリオットの詩をもとにした、ミュージカル『キャッツ』のうちの一曲。かつてネズミを捕まえる番人として列車に乗せられた猫(本当にそういう猫がいたかどうかは知らないが、英国首相官邸とその周辺では「猫をネズミ番として雇う」という風習がある)を主人公にしている。全体的にしつこいほど語呂合わせを含む陽気な詞と、同じく陽気なメロディで人気が高い。寝台特急のワクワクするような情景を活写しており、鉄道文学の趣もある。

キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科
T.S. エリオット
河出書房新社
2015-09-17


ケモナーホイホイだと思うのに全く話題にもされないのは何故だろうか。全身タイツだから?

アンドリュー・ロイド・ウェバー & 1981年オリジナル・ロンドン・キャスト 
収録アルバム: Cats (Original London Cast Recording / 1981)


キャッツ (字幕版)
ジョン・ミルズ
2013-11-26


収録アルバム: 劇団四季ミュージカル『キャッツ』 (メモリアルエディション)
スキンブルシャンクス ―鉄道猫
UNIVERSAL MUSIC LLC
2019-04-24


ちなみにエリオットはイギリス人と見せかけて生まれはアメリカ。しかしイギリスに帰化し、イギリス人以上にイギリスに馴染んだ。第一次世界大戦直後に発表した、死と荒廃を強く意識した長編詩『荒地』で一世を風靡したが、ぶっちゃけ詩だけではとても食えないので、最初は教師として、次いでロイズ銀行の事務員としても、最終的には編集者として働いていた。皆さんも作家や詩人になろうと思ったら、とりあえず普通に就職することをおすすめしますぞ。

天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々 [単行本]
メイソン・カリー
フィルムアート社
2014-12-15



追記:2019年にアニメでもミュージカル録画でもなくなぜかこれで映画化してしまった。どうしてこうなった。


本国アメリカでは酷評の嵐だったが、なぜか(二回目)日本では大ヒットしてしまう。ほんとにどうしてこうなった(二回目)。



いや音楽もダンスも、なんなら吹き替えの歌詞も声優もめちゃくちゃ気合入ってていいと思うよ…スキンブルの語呂合わせしまくり日本語歌詞とてもよかったよ…でもなんか見てて映像が雑なんだよ…

キャッツ(吹替版)
フランチェスカ・ヘイワード
2020-06-23


収録アルバム:キャッツ - オリジナル・サウンドトラック


ちなみに日本語版音楽プロデューサーは、NHKアニメ「クラシカロイド」でワーグナーを担当した蔦谷好位置氏だよ。吹替版サントラも出してくれたら正直かなり嬉しいんだけど出す予定ありませんかね?



悲報:作曲家のロイド=ウェッバー卿、映画版のあまりにもアレな出来にショックを受けて犬を飼い始めてしまう。
イギリスらしいもってまわった嫌味や。




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