There was a lady lived in York
All alee alonie
Fell in love with her father’s clerk
Down by the greenwood sidie-o
ヨークに令嬢が住んでいたとさ
(オーラリー、アローニー)*1
彼女は父の書記と恋に落ちた
(緑の森の方へ降りておいで)*2
She loved him up she loved him down
All alee alonie
Loved him till he filled her arms
Down by the greenwood sidie-o
彼女は男をすみからすみまで愛した
(オーラリー、アローニー)
男が彼女の腕に飽き足りるまで
(緑の森の方へ降りておいで)
She leaned her back against an oak
All alee alonie
First it bent and then it broke
Down by the greenwood sidie-o
女がオークの木を背にしてもたれかかると*3
(オーラリー、アローニー)
それはたわんでまっぷたつに折れた
(緑の森の方へ降りておいで)
She leaned her back against a thorn
All alee alonie
There she had two fine babes born
Down by the greenwood sidie-o
女がサンザシを背にしてもたれかかると*4
(オーラリー、アローニー)
ふたりのかわいい幼な子を産み落とした
(緑の森の方へ降りておいで)
She took out her wee pen knife
All alee alonie
There she took those sweet babes’ life
Down by the greenwood sidie-o
女はペンナイフを取り上げて*5
(オーラリー、アローニー)
愛らしい幼な子の命を絶ってしまった
(緑の森の方へ降りておいで)
She rubbed the blade against her shoe
All alee alonie
The more she rubbed the redder it grew
Down by the greenwood sidie-o
女は刃を靴でこすったが
(オーラリー、アローニー)
こするほどに赤さは増すばかり
(緑の森の方へ降りておいで)
She went back to her father’s hall
All alee alonie
Saw two babes a playin’ at ball
Down by the greenwood sidie-o
女が父の屋敷へ戻ると
(オーラリー、アローニー)
二人の幼な子がボール遊びしているのを見た
(緑の森の方へ降りておいで)
O babes, o babes, if you were mine
All alee alonie
I’d dress you up in scarlet fine
Down by the greenwood sidie-o
赤ちゃん、赤ちゃん、もしわたしの子だったら
(オーラリー、アローニー)
素敵な真紅の服を着せてあげるのに
(緑の森の方へ降りておいで)
O mother, o mother, when we were yours
All alee alonie
Scarlet was our own heart’s blood
Down by the greenwood sidie-o
母さん、母さん、わたしたちがあなたの子だった時
(オーラリー、アローニー)
真紅だったのはわたしたちの胸の血だったよ
(緑の森の方へ降りておいで)
O babes, o babes, it’s heaven for you
All alee alonie
Mother, o mother, it’s hell for you
Down by the greenwood sidie-o
赤ちゃん、赤ちゃん、天国へ行くのね
(オーラリー、アローニー)
母さん、母さん、あなたは地獄行きだね
(緑の森の方へ降りておいで)
*1 意味不明の囃子ことば。aleeには風下、下手という意味がある。「ひとりでこっそり降りておいで」という、男のセリフとも読める。
*2 「緑の森」は民謡の世界においては異界の象徴。また性的なニュアンスを含む場所。
*3 堅く強く、木材として上等な木。あとどんぐりの木。樫と誤訳されるが、オークとは樫と楢の両方を含む。雷を引き寄せる聖なる木、森の王とされる。
*4 トゲを持つバラ科の木。甘く濃厚な匂いの花と、甘酸っぱい赤い実をつける。妖精にとってお気に入りの木であるとともに、多産の象徴でもあるが、裏を返すとセックスのシンボルでもある。
*5 羽ペンの先を削るためのナイフ。不実な書記の持ち物でもあったとすれば、父親も間接的に子殺しに参加したことになる。
text & tune: 英国民謡
チャイルドバラッド20番である《残酷な母》の別バージョン。
「残酷な母」では北国(スコットランド)の司祭の娘だったが、ここではヨークの令嬢となっている。
母親は「天国へ」と歌っているが、妖精の木の下で産み落とされ、洗礼を受ける間もなく殺された子供たちはキリスト教の加護が及ばない妖精と化しており、天国へ行けるかどうかかなり疑わしい。ヨークの令嬢の罪は婚前交渉だけではなく、子供たちを天国へ行けなくしてしまったことにあるのかもしれない。
ジョヴァンニ・セガンティーニ「悪しき母たち(嬰児殺し)」

Ian Tyson, Sylvia Fletcher
収録アルバム: Ian and Sylvia Four Strong Winds
All alee alonie
Loved him till he filled her arms
Down by the greenwood sidie-o
彼女は男をすみからすみまで愛した
(オーラリー、アローニー)
男が彼女の腕に飽き足りるまで
(緑の森の方へ降りておいで)
She leaned her back against an oak
All alee alonie
First it bent and then it broke
Down by the greenwood sidie-o
女がオークの木を背にしてもたれかかると*3
(オーラリー、アローニー)
それはたわんでまっぷたつに折れた
(緑の森の方へ降りておいで)
She leaned her back against a thorn
All alee alonie
There she had two fine babes born
Down by the greenwood sidie-o
女がサンザシを背にしてもたれかかると*4
(オーラリー、アローニー)
ふたりのかわいい幼な子を産み落とした
(緑の森の方へ降りておいで)
She took out her wee pen knife
All alee alonie
There she took those sweet babes’ life
Down by the greenwood sidie-o
女はペンナイフを取り上げて*5
(オーラリー、アローニー)
愛らしい幼な子の命を絶ってしまった
(緑の森の方へ降りておいで)
She rubbed the blade against her shoe
All alee alonie
The more she rubbed the redder it grew
Down by the greenwood sidie-o
女は刃を靴でこすったが
(オーラリー、アローニー)
こするほどに赤さは増すばかり
(緑の森の方へ降りておいで)
She went back to her father’s hall
All alee alonie
Saw two babes a playin’ at ball
Down by the greenwood sidie-o
女が父の屋敷へ戻ると
(オーラリー、アローニー)
二人の幼な子がボール遊びしているのを見た
(緑の森の方へ降りておいで)
O babes, o babes, if you were mine
All alee alonie
I’d dress you up in scarlet fine
Down by the greenwood sidie-o
赤ちゃん、赤ちゃん、もしわたしの子だったら
(オーラリー、アローニー)
素敵な真紅の服を着せてあげるのに
(緑の森の方へ降りておいで)
O mother, o mother, when we were yours
All alee alonie
Scarlet was our own heart’s blood
Down by the greenwood sidie-o
母さん、母さん、わたしたちがあなたの子だった時
(オーラリー、アローニー)
真紅だったのはわたしたちの胸の血だったよ
(緑の森の方へ降りておいで)
O babes, o babes, it’s heaven for you
All alee alonie
Mother, o mother, it’s hell for you
Down by the greenwood sidie-o
赤ちゃん、赤ちゃん、天国へ行くのね
(オーラリー、アローニー)
母さん、母さん、あなたは地獄行きだね
(緑の森の方へ降りておいで)
*1 意味不明の囃子ことば。aleeには風下、下手という意味がある。「ひとりでこっそり降りておいで」という、男のセリフとも読める。
*2 「緑の森」は民謡の世界においては異界の象徴。また性的なニュアンスを含む場所。
*3 堅く強く、木材として上等な木。あとどんぐりの木。樫と誤訳されるが、オークとは樫と楢の両方を含む。雷を引き寄せる聖なる木、森の王とされる。
*4 トゲを持つバラ科の木。甘く濃厚な匂いの花と、甘酸っぱい赤い実をつける。妖精にとってお気に入りの木であるとともに、多産の象徴でもあるが、裏を返すとセックスのシンボルでもある。
*5 羽ペンの先を削るためのナイフ。不実な書記の持ち物でもあったとすれば、父親も間接的に子殺しに参加したことになる。
text & tune: 英国民謡
チャイルドバラッド20番である《残酷な母》の別バージョン。
「残酷な母」では北国(スコットランド)の司祭の娘だったが、ここではヨークの令嬢となっている。
母親は「天国へ」と歌っているが、妖精の木の下で産み落とされ、洗礼を受ける間もなく殺された子供たちはキリスト教の加護が及ばない妖精と化しており、天国へ行けるかどうかかなり疑わしい。ヨークの令嬢の罪は婚前交渉だけではなく、子供たちを天国へ行けなくしてしまったことにあるのかもしれない。
ジョヴァンニ・セガンティーニ「悪しき母たち(嬰児殺し)」

Ian Tyson, Sylvia Fletcher
収録アルバム: Ian and Sylvia Four Strong Winds

