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「レンタル・ファミリー」

「レンタル・ファミリー」
2026年3月10日(火)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時10分より鑑賞(スクリーン6/C-7)

~レンタル・ファミリーという嘘からアメリカ人俳優が見つけたものは、人とのつながりという真実

 

脳性麻痺の主人公の成長を描いた2019年製作の長編デビュー作「37セカンズ」が、高い評価を得たHIKARI 監督。アメリカを拠点に活動しているとあって、その後の活躍が期待されたが、コロナの影響などもありTVドラマ「BEEF/ビーフ ~逆上~」などを監督するのみだった。そして、ようやく長編映画第二弾「レンタル・ファミリー」が公開となった。

オスカー俳優のブレンダン・フレイザーが主演のアメリカ映画だ。舞台は日本。とは言っても、過度に日本らしさを強調する映画にはなっていない。渋谷などの街の風景をはじめ、ごく自然な日本を描きつつ、同時に日本人の神に対する考え方などアメリカ人が感じる多少の違和感も映し出す。そのバランス感覚が絶妙だ。

映画の序盤はフレイザー演じる主人公フィリップの一日が描かれる。彼は7年前に来日しCMで人気者になったものの、今は細々と俳優業を続けながら東京で暮らしていた。慌てて電車に飛び乗り、オーディション会場に駆け込んで刑事役のオーディションを受ける。さらに、着ぐるみに入った仕事などもこなす。一日が終われば、ビールを飲みながら、家のベランダから他の家の人々の様子を眺める。彼は一人暮らしで孤独なのだった。

そんな中、急に連絡が入る。埼玉で仕事があるから、黒いスーツを着て現場に行けと言う。フィリップが現場に行ってみると、なんとそこは葬儀の場。彼は参列者として駆り出されたのだ。しかも、それは生きた者が棺桶に入る生前葬だった。というわけで、ここで笑いが起こる。本作はコミカルな場面がたくさんある映画だ。そもそもフィリップがかつて人気者になった歯磨きのCMが爆笑ものなのである。

葬儀の場でフィリップは、レンタル・ファミリー会社を経営する多田(平岳大)と知り合う。会社に来いと言う彼の言葉に従って行ってみると、そこは依頼者の要求に応じてある人物に成りすます仕事。白人男性を演じればいいと言う多田に対して、フィリップは一度は拒否するが結局仕事を引き受ける。

最初の仕事は結婚式での偽の新郎役。実は新婦は同性のパートナーと海外で暮らそうとしていたのだが、両親に正直に打ち明けられず、偽装結婚をして海外に行こうとしていたのだ。フィリップは緊張のあまり一度は姿を消すが、無事に役目を果たして心が満たされる。

その後も、引きこもりのゲーマーの対戦相手など様々な役目をこなすフィリップ。やがてその中から2つの依頼に焦点が当てられる。

1つは、お受験のために父親が必要だというハーフの少女の父親役。母親の依頼によるものだが、娘には本当の父親だと信じさせたいという。フィリップは戸惑いつつも、その少女の父親役をこなす。最初は冷たい態度の少女だったが、少しずつフィリップになつくようになる。

一方、もう1つの依頼は、記者なって認知症を患った老スター俳優の取材をすること。最初は気難しかった俳優だが、こちらも少しずつフィリップに気を許していく。

この2つの依頼は、その後波乱の展開を迎えるのだが、それを通してフィリップは変わっていく。初めのうちは他人の人生に関わることに戸惑いを隠さなかったフィリップが、様々な人々とつながりを持ち、彼らの役に立ちたいと考えて自分を見つめ直すようになる。嘘から出た実ではないが、レンタル・ファミリーという虚構から、本物の人とのつながりという関係性を見出したのである。

その舞台装置として、バーチャルな展示館(麻布台ヒルズのチームラボボーダレスらしい)、神楽坂の化け猫パレード、そして天草の大自然などを登場させているのも効果的だ。

また、フィリップや依頼人だけでなく、社長の多田や同僚の中島の心の内を、きちんと描いているところにも感心させられた。特に多田に関しては、途中で家族が中途半端に描かれるのに疑問を持ったのだが、終盤の展開で疑問が氷解した。自信家で合理主義者に見える彼も、実は孤独だったのだ。

それらを受けて、いったん破綻を迎えたドラマを再び一つにまとめ、温かな余韻を残してくれるラストにも好感が持てた。

主演のブレンダン・フレイザーは、役柄もあってオーラは極力消しているが、誠実そうな人柄を体現する演技だった。ほとんど動きのない中で演技をした「ザ・ホエール」の時もそうだったが、目の演技が何より雄弁に様々なことを物語る。

平岳大、山本真理ら脇役たちも存在感があった。子役のゴーマン・シャノン・眞陽の可愛らしさも特筆もの。風俗嬢兼占い師役の安藤玉恵もいい味を出していた。

嘘をつかずに生きていけるなら、これほど素晴らしいことはないが、そうもいかないのが人生。それなら、せめてその中で誠実に自分の役割を果たすことで、何かが生まれてくるのかもしれない。「37セカンズ」同様に、エンタメ性とテーマ性を巧みに同居させた作品だ。派手さこそないものの、しみじみと心に染みる一作だった。

◆「レンタル・ファミリー」(RENTAL FAMILY)
(2025年 アメリカ)(上映時間1時間50分)
監督・脚本・製作:HIKARI
出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、ゴーマン・シャノン・眞陽、柄本明、木村文、真飛聖、森田望智、安藤玉恵、板谷由夏、菅原大吉、原日出子、神野三鈴、宇野祥平、梅沢昌代
*TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
公式ホームページ https://www.searchlightpictures.jp/movies/rentalfamily
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