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「風のマジム」

「風のマジム」
2025年9月17日(水)シネ・リーブル池袋にて。午後12時10分より鑑賞(シアター1/D-8)

~沖縄産ラム酒づくりに挑む女性。心地よい風に吹かれたような映画

 

沖縄には仕事で一度しか行ったことがないが、それでもとても良いところだという印象がある。映画「風のマジム」を観て、その印象がますます強くなった。

「風のマジム」とは変わったタイトルだが、「まじむ」というのは主人公の名前。沖縄の方言で「真心」を意味する。原作は、沖縄のサトウキビでラム酒を作るという事業に挑戦して成功させた女性の実話を基にした原田マハの小説。それを映画化したのは、これまで広告やショートフィルムを手がけ、本作が長編デビューとなる芳賀薫監督。

映画の冒頭、サトウキビ畑を歩く伊波まじむ(伊藤沙莉)が映る。どうやら、これは後々の彼女の姿らしい。

続いて映るのは、豆腐の製造風景。まじむの祖母のカマル(高畑淳子)が作業をしている。彼女はまじむの母のサヨ子(富田靖子)とともに、沖縄・那覇豆腐店を営んでいた。「人の口に入るもの」だけに、ていねいに心を込めて豆腐を作る。

その後、女3人の伊波家では朝食となる。食卓にはもちろんカマルの作った豆腐が並ぶ。最初はまじむ一人の鼻歌に、サヨ子の鼻歌が加わり、さらにカマルがやって来て鼻歌を歌う。鼻歌の三重唱。この朝の食卓風景だけで何だか幸せな気分になってしまった。

まじむは通信会社「琉球アイコム」に勤務していた。契約社員の身分で、単純な入力作業や書類のコピー、シュレッダーがけ、お菓子の補充などが仕事。責任ある仕事は任せてもらえなかった。平凡な毎日ではあるものの、将来に漠然とした不安を抱え、特に夢もなかった。

一方、彼女はお酒が好きで、カマルとともによく飲みに行っていた。行きつけのバーで、バーテンダーの後藤田(染谷将太)からラム酒がサトウキビから作られると聞き、沖縄産のサトウキビを使ったラム酒があればいいのに、と考える。

ちょうどその頃、「琉球アイコム」で契約社員も応募できる社内ベンチャーコンクールがあると知り、南大東島産のサトウキビを原料としたラム酒製造の企画で挑戦しようと思い立つ。

まじむの企画は、見事に一次審査を通る。契約社員としては唯一人だった。まじむは大喜びするが、カマルは「どうせただの思い付きだ」と厳しい態度を見せる。その後、二次審査も通り、もう1つの企画とビジネス化を競うことになる。だが、そこには多くの困難が立ちはだかっていた。

というわけで、典型的なお仕事成功物語である。予定調和でヒネリも何もない。意外性はゼロと言っていい。しかも、登場するのは、多少の癖はあってもみんな善人ばかりなのだ。

だが、それでもこのドラマは魅力的だ。まず伊藤沙莉が演じる主人公まじむのキャラがいい。純朴で直球真っ向勝負。困難なことにもめげずに、信念を持ってまっすぐに立ち向かっていく。それがとても小気味いいのである。鼻につくところもなければ、嘘臭さもない。だから、自然にドラマに引き込まれる。

さらに、舞台が沖縄だというのが効いている。おおらかで明るい雰囲気。人も温かくて魅力たっぷり。方言もいい味わいだ(ちょっとわからないところもあるがそれもまた味)。この土地柄があるから、なおさらドラマが魅力的になるのである。

まじむの計画の成否を握るのは、南大東島の住民の動向だ。ラム酒を作るには現地のサトウキビ畑のそばに工場を建てる必要があるが、保守的な地元の人々は慎重な態度を崩さない。

また、酒造りのキーになる醸造家も大きなポイントだ。会社側は著名な東京のコンサルタントを使おうとするが、まじむは地元沖縄で愛情を込めた酒造りをする醸造家に依頼しようと考える。

こうした困難に直面しても、まじむはめげずに情熱を燃やし、困難を克服して理想のラム酒づくりに挑むのである。その克服の方法が都合がよすぎたり、偶然が作用したりするものの、それもあまり気にならない。

クライマックスは、ビジネス化の最後の関門となるプレゼン。そこでまじむは意表を突いたプレゼンを行う。心躍る場面だ。

そして、いよいよ完成するラム酒。これがまあ、いかにも美味しそうなのだ。最近はほとんど酒を飲まなくなって、ラム酒などとは縁遠い私でも、思わず飲みたくなってしまったのである。

美味しそうと言えば、劇中に何度も登場するカマルの豆腐も美味しそうだ。それはまさにこだわりの味。豆腐とラム酒という違いはあれど、愛情を込めて丹念に作るのは同じこと。まさに「真心の味」である。

何の夢も目標もなかったまじむが、ラム酒づくりという夢を見出し、それを実現することで成長していくドラマに加えて、女三代のモノづくりの継承という側面も持つドラマ。まさに心地よい風に吹かれたような映画だった。

俳優陣はいずれも好演。主演の伊藤沙莉はTVの「虎に翼」でもそうだったが、こういう役が似合う。そんな彼女に時には厳しく愛情たっぷりに接する祖母役の高畑淳子、母役の富田靖子も存在感ある演技。その他にも、パーテンダー役の染谷将太醸造家役の滝藤賢一、会社の上司役の尚玄シシド・カフカ、同僚役の小野寺ずる、南大東島の商工会長役の肥後克広なども印象深い演技だった。

◆「風のマジム」
(2025年 日本)(上映時間1時間45分)
監督:芳賀薫
出演:伊藤沙莉染谷将太尚玄シシド・カフカ橋本一郎、小野寺ずる、なかち、下地萌音、川田広樹眞島秀和肥後克広滝藤賢一富田靖子高畑淳子
*新宿ピカデリーほかにて全国公開中
公式ホームページ https://majimu-eiga.com/
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