以下の内容はhttps://cinemaking.hatenablog.com/entry/2025/08/07/103402より取得しました。


「入国審査」

「入国審査」
2025年8月4日(月)新宿ピカデリーにて。午後12時50分より鑑賞(シアター5/C-8)

~訳もわからないまま尋問を受けるカップル。入国審査の恐怖と不安

 

ほぼ2か月に一度、大学病院に定期通院している。しかも2つの病院。8月4日はそのうちの1つ、日本医科大学付属病院への通院の日であった。検査と2つの科での診察が終わったのは12時前。おっ、これは映画館に行けるぞ! というので調べたら、新宿ピカデリーの「入国審査」に間に合うではないか。新宿ピカデリーなら、「ルノワール」の上映トラブルでもらった無料招待券を待っているのだ。そういうわけで、新宿に出て「入国審査」をタダで鑑賞。

スペイン映画「入国審査」は文字通り、入国審査での出来事を描いた作品だ。本作が長編映画デビューとなるアレハンドロ・ロハス&フアン・セバスティアンバスケスが監督・脚本を手がけ、自らが故郷ベネズエラからスペインに移住した際の実体験をヒントに制作。わずか17日間で撮影した低予算の作品だが、世界各地の映画祭で注目を集めた。

スペイン人のエレナ(ブルーナ・クッシ)とベネズエラ人のディエゴ(アルベルト・アンマン)のカップルは、スペインのバルセロナから移住のためにニューヨークに到着する。エレナがグリーンカードの抽選で移民ビザに当選し、事実婚のパートナーであるディエゴとともに、新天地を求めてやって来たのだ。だが、入国審査でパスポートを確認した職員は2人を別室へ連れて行き、そこで審査官が執拗な尋問を行う。予期せぬ質問の連続に次第に大きな不安と恐怖に晒されていく2人だったが……。

映画は空港に向かうタクシーの中の2人から始まる。そして飛行機の機内の2人。まもなく飛行機はニューヨークに到着し、2人は入国審査に臨む。

税関に提出する書類を失くして、慌てて書き直すなどバタバタしてはいたが、エレナは比較的落ち着いていた。一方、ディエゴはどこか落ち着きがない。13番(だっけ?)の係員が優しそうだと判断した彼は、13番にならないかと願ったりする。といっても、それは審査を前にしたごく普通の緊張のようにも見えた。

そして、いよいよ入国審査。型通りのチェックを終えた係員は、2人に「着いて来い」と言う。怪訝そうな2人。いったいどこへ連れていかれるのか。係員は二次審査室だと答える。

そこはごく普通の部屋だった。ただし、係員の態度はそっけない。しかも、そこで待っていた人に「どのぐらい待っているのか」と尋ねると、なんと3時間だという。2人は、この後乗り継ぎでマイアミに行くことになっていた。この分では、とても間に合いそうにない。また、空港にはディエゴの親せきが会いに来ることになっていた。ディエゴは電話をしようとするが、ここでは通話できないと言われてしまう。

そんな状況を目にして、ディエゴは「ここでは従順にふるまったほうがいい」と言う。それに対して、エレナは「やられたらやり返す」と威勢のいいことを言う。

まもなく2人は別室へ連れていかれる。殺風景で狭い部屋だ。そこから先はカメラはほぼその部屋だけを映す。2人は荷物の中を改められるなどするが、それはまだ序の口だった。

新たに登場したのは女性審査官のバスケス(ローラ・ゴメス)である。彼女は冷静だが高圧的で有無を言わせない態度で、事細かな質問を繰り返す。最初は2人一緒に。続いてディエゴとエレナが一人ずつ尋問を受ける。ちなみにバスケススペイン語もできるので、2人で内緒の話もできない。

途中からは男性審査官のバレット(ベン・テンプル)が加わる。こいつが、まあ、バスケス以上に粗野で嫌な奴なのだ。プライバシーなどあったものではない。審査官は性交渉の回数まで聞いてくるのだ。ディエゴとエレナは反論も質問も許されない。

カメラは4人のアップを中心に捉える。ディエゴとエレナの不安や恐怖、混乱が、その表情から痛いほど伝わってくる。そして、バスケスやバレットのアップでは、彼らの不適さ、傲慢さなどが浮き彫りになる。スクリーンは常に緊張感で覆われ、目を離すこともできない。

ここで大きなポイントは、ディエゴとエレナが何の理由で尋問を受けているのかわからないことだ。テロ犯だと疑われているのか? それとも良からぬものを持ち込もうとしたのか? わからないからなおさら恐ろしい。それはディエゴとエレナだけでなく観客も同じだ。まるで自分が尋問を受けているかのような気分になり、背筋ゾクゾクものの恐ろしさを味わうことになる。

部屋の外からは電気工事らしき音が聞こえてくる。それも効果的に使われる。終盤では部屋が停電してしまい、さらなる別室に2人が連れていかれる場面もある。

尋問を続ける中で、明らかになってくることがある。ディエゴは以前アメリカ人女性と婚約していたのだ。そのことをエレナは知らなかった。審査官はそこを突く。それがきっかけで、最初はラブラブに見えていた2人の仲に亀裂が走る。ビザのための偽装結婚ではないか、と審査官は言う。それによって2人の間にお互いへの小さな疑念が生まれ、信頼が揺らぎ始める。

そしてラストシーン。それは皮肉に満ちた結末だった。アメリカでは大した疑いのない人間まで、こうやってネチネチと締め上げて、何かの理由があれば追放してしまうのだろうか。

いや、これはあくまでもサスペンスだから、という見方もあるだろうが、そうとは言えない。実はこの映画の冒頭では、2019年の第一次トランプ政権下で移民を阻止する壁が建設された話が伝えられる。

そうなのだ。この映画はトランプ政権を前提とした状況を映し出す。ディエゴとエレナのようなことが、トランプ政権下では誰にでも起こりうると感じさせる。それだからこそ、この映画がなおさら恐ろしく緊迫感漂うものとして受け止められるのだ。

ディエゴとエレナを演じたアルベルト・アンマン、ブルーナ・クッシに加え、審査官役のローラ・ゴメス、ベン・テンプルも好演。

上映時間は1時間17分と短いが、卓越したアイデアと脚本、語り口で見応えある映画に仕上がっている。サスペンスとしても、政治的風刺劇としてもよくできた作品だ。

◆「入国審査」(UPON ENTRY)
(2023年 スペイン)(上映時間1時間17分)
監督・脚本:アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスティアンバスケス
出演:アルベルト・アンマン、ブルーナ・クッシ、ローラ・ゴメス、ベン・テンプル
*新宿ピカデリーほかにて公開中
ホームぺージ https://movies.shochiku.co.jp/uponentry/
(外部のサイトに移動します。外部のサイトの内容については責任を負いませんので)

 


www.youtube.com

 

*はてなブログの映画グループに参加しています。よろしかったらクリックを。

 

*にほんブログ村に参加しています。こちらもよろしかったらクリックを。

 にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村




以上の内容はhttps://cinemaking.hatenablog.com/entry/2025/08/07/103402より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14