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「事実無根」

「事実無根」
2025年5月22日(木)K's cinemaにて。午後2時30分より鑑賞(B-7)

~京都の実在の喫茶店を舞台にした、とびきり温かくてユーモラスなドラマ

 

久々に受注した仕事を終えた5月19日の午後。「さて、映画館に行こうかな」と思ったのだが、どうにも調子が悪い。ふだんから体調が万全などということはないのだが、この日は殊更に調子が悪い。なので、映画館に行くのはやめにして、家でおとなしくしていた。

ところが、翌日になったらますます体調が悪くなってしまった。胃腸の具合が悪いし、何だかだるい。というので、この日も自宅待機。

翌日になって、少し良くなったのでちょっと外出してみたものの、途中でまた調子が悪くなって自宅へUターン。おまけに熱を測ってみたら微熱が……。そのままバタリと寝込んで起きたら9時間も経っていた。

たっぷり眠ったせいか、ようやく22日になって回復傾向に。これなら何とか映画館に行けそうだ。でもなぁ、長くて刺激的な映画はちょっとなぁ~。「サブスタンス」とか観たらまた悪くなりそうだもの。短めでゆったり観れる映画はないものか。そう思っていたら、新宿のK's cinemaで「事実無根」という99分の映画を上映しているのに気づいた。よし!これにしよう。

京都の喫茶店を舞台にしたドラマである。星孝史(近藤芳正)が営む喫茶店「そのうちcafe」で、バイト募集に応じた大林沙耶(東茉凜)と名乗る若い女性が働き始める。ところが、そんな彼女を遠くから盗み見る不審な男(村田雄浩)がいるのに孝史が気づく。男を問い詰めると、沙耶の元義理の父の明彦で、セクハラの冤罪によって大学教授の職を追われてホームレスになったという……。

映画の冒頭、開店前の喫茶店の前で子供たちがはしゃいでいる。まもなくマスターの孝史がやって来て、子供たちと親しく会話を交わす。フランクで気取りのない会話だ。それを聞いただけで、この喫茶店が地域のみんなに愛されているのがわかって、ほっこりとした気分になった。

なんと、この「そのうちcafe」は京都・下京区に実在する喫茶店だとか。公園の一角にある小さなカフェで、子供からお年寄りまでみんなが集っている。喫茶店であるのと同時に、街の交流スペースのような雰囲気の店。うぁー、行ってみたいなぁ~。

その店にバイトにやって来たのが沙耶という女の子。年は18歳。「こんなところで働がなくても、ちゃんと正社員にでもなれば」というマスターの声を無視して働き始める。何となくワケあり風だが、それでも不器用だけど一生懸命に働く。その姿を、店の常連客たちが優しく見守る。

その一方で、彼女を盗み見るホームレス風の男。マスターの孝史が気づいて問い詰めると、男は明彦といい沙耶の義理の父だという。いや、正確には元義理の父。つまり沙耶(というのは実は偽名なのだが)は母の連れ子で、今は離婚したから元義理の娘なのだ。離婚の理由はセクハラ。それによって彼は大学教授の職を失いホームレスになった。だが、彼は断固として言う。「事実無根だ!」と。

明彦が後悔しているのは「セクハラは事実無根だ」という説明を娘にしなかったこと。そこで、孝史は沙耶と明彦の再会を画策する。「何をお節介な」と思うかもしれないが、実は孝史も、離婚して以来一度も娘に合わせてもらえていないのだ。その離婚の際に、元妻は一方的にDVの証言をした。こちらも孝史にとっては「事実無根」というわけだ。

ドラマは、孝史、沙耶、明彦の人間模様を中心に展開する。描き方によっては深刻かつ暗いドラマになりがちな素材だが、そうはならない。何しろ舞台となるのがあの温かな雰囲気の「そのうちcafe」なのだから。その店の雰囲気と同様に、柳裕章監督は温かなまなざしでドラマを紡ぎ出す。

特に感心したのは、人間を多面的に描いていることだ。単純な二元論では描かない。例えば、孝史は妻にDVの濡れ衣を着せられたが、彼にも映画の助監督として家庭を顧みなかった過去がある。妻にも妻なりの理由があったのだ。

「悪意のある嘘がいかに人を傷つけるか」というテーマは、柳監督自身の体験に基づいているらしい。なるほど、確かにそれはそうなのだが、だからといって悪意のある嘘をついた人間を断罪しているわけでもない。そこに至るそれなりの理由があることを、さりげなく示している。

ユーモアも満載だ。ある意味、コメディーと言ってもいいぐらい笑いが絶えない。大阪のコテコテの笑いとはちょっと違う感じがするのは、京都が舞台のせいだろうか。特に面白いのは終盤に孝史がついた大ウソ。深刻な顔で告白するから、すっかり信じてしまった。

ドラマの中盤には、とんでもない事実が判明する。沙耶をめぐる大きな秘密で、ちょっとご都合主義的な感じもするのだが、温かな空気とユーモアのせいでつい許してしまう。

それをきっかけにドラマは大きく転換するが、破綻するようなことはない。温かな空気のまま終幕を迎える。

思わぬことで人生に失敗した男たちの苦みもありつつ、終始温かで前向きな空気が心地よい映画だった。人間はみんなワケありで、いろんな過去を持っているけれど、大切なのは過去より未来。そんなポジティブなメッセージが伝わってきた。地味ではあるが、安心して楽しめた。

そして、何よりもこの映画を面白くしているのは、近藤芳正と村田雄浩という名バイプレーヤー。彼らが味のある演技を披露することで、それぞれの役に説得力がもたらされている。2人の軽妙なやりとりも楽しい。そして、両ベテランに挟まれた若手の東茉凜のまっすぐな演技も良かった。

◆「事実無根」
(2023年 日本)(上映時間1時間39分)
監督・原案:柳裕章
出演:近藤芳正、村田雄浩、東茉凜、西園寺章雄、和泉敬子、仲野毅、西尾塁、しまずい香奈、小堀正博、武田暁
*K's cinemaほかにて公開中
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