
オートバイはいつだって宝物。
少なくともオーナーにとってはそうだ!
この真っ赤なトライアンフは宝物。
それをワタイに預けられたわけよ。
で、こんなことやってるわけよ。
神戸の灘駅近くのジャーニーさんとこの吉川さんが組直してさ。
ワタイがテストライダーでさ。
美香さんとこは、カワサキディーラーなんで今回のは完全プライベートの非公認企画。
だからいうか、だからこそというか。
破綻するとこまで追い込んで
セッティング出すわけよ!
普通は、こんなことしちゃいけない。
だって、危ないからね。
でもさ、危ないとこまで行かないと
見えないことも結構あるのよ。
ガレージの中で、真っ赤なトライアンフがささやくのよ。

まだまだ本領発揮できてないわ、って!
老け込むにゃ早すぎる。
ぼやぼやしてると、ガソリンなくなっちまうぜ!
ということで、ワタイは新神戸トンネルを北に抜けたわけよ。
- アーティスト:エレファントカシマシ
- 発売日: 2011/11/16
- メディア: CD
その前に、ジャーニーによって相談したのよ。
吉川さんは「じゃあ、バネ少し締めましょうか」って。
と言っても、2ミリくらいなんだけどね。
オーリンズとかの高性能サスは、ソレで激変しちゃうのよね。
逆に言うと、セッティング出せなきゃすぐ崩れる。
交換でよくなるとか、そんな世界やないと思うのよ。
ここ注意ね!
国道428を北上し、最初の峠。
岩谷峠の下りでかっ飛んでゆく。
地元でコークスクリューと呼ばれた道も
随分整備されちゃってさ。
この動画とか、なんというか切ないダサさよね。
まあ、いいんだけどね。
ここではただコーナーが楽しい。
リヤの追随性も悪くない。
ただ、もう少し落ち着かせたい。
通常いじりやすいのは「圧側」。
でもコレは違う気がする。
「伸側」を2ノッチ締める。

二速全開で立ち上がるときに、くずれなくなった。
後輪が多少硬い気がするけれど、ハイエンド域でいい滑り方をしている。
破綻せずに、パワーで少し滑っている。
車体が軽くなり、ハンドルの切れ込みが自然だ。
リアにしっかり荷重をかければ、まるで250のように回ってゆく。
実際に車重はそれくらいで、馬力が倍あるわけだ。
たまんねーな!
そこからいくつかのゴルフ場の前を抜け
フルパワーで4速まで使うが問題はない。
ただ、荷重が抜けた時の突き上げが少し硬い。
コンビニでコーヒーを飲みながら考える。


圧側も、オーリンズ推奨値に合わせてある。
このマシンが作られた10年前のイギリスを考えてみる。
2010年、ロンドンでは「This is it」がオープニングしようとしていた。
そう、あのマイケル・ジャクソンだ。
- 発売日: 2013/11/26
- メディア: Prime Video
北海油田がザクザクでるスコットランドの独立機運が高まった頃。
EUに残るか出るか揉めだした頃。
つまり、イギリスは盛り上がっていたのだ。
こういう状況下で、ラリってウッヒョーと作られたに違いない。
とすれば、設定速度は高いはずだ。
イギリス人というのは狡猾さを持つ一方で、
不思議なほどイリーガルを望む。
もともとが戦うことが好きなのだ。
そりゃそうだ、今の王室はヴァイキングの末裔だ。
- メディア: Prime Video
あいつら、なぜあんなにまずいもの食って平気なんだろう。
きっと頭がイカれておるのだ。
しかし、ここは日本だ。
礼節を重んじる国なのだ。
つまり、そこまでアベレージを上げるのはよろしくない。
さっきまで?
なんのことです?
もう少し低い速度域でしなやかにしたい。
一般的には好まれないが、私は圧側を少し抜いたほうが好きだ。
よって、1ノッチ緩めてみる。

高剛性できついものより、すこしラグのある揺れが好きだ。
その揺れに否定的な感情はない。
それを「しなり」にできるかどうかはライダー次第だ。
いま来た道を引き返す。
合法速度での動きはソフトになった。
少し負荷をかけても問題ない。
私は三速で引っ張りながら、荒れた路面に突っ込んで見る。
ステップに体重をかけ、少し尻を浮かせたスタイル。
ジョッキースタイルで駆け抜けると、足の下からサスの動きが伝わる。

そのままコーナーに飛び込むと、少しだけリヤが砕けた。
なるほど、飛ばす時は1ノッチ締め。
通常は1ノッチ緩めだな。
それくらいのことを、平気で要求してくるトライアンフ。

いいぜ。
俺、そう言うの嫌いじゃないぜ!
- メディア: ウェア&シューズ
もう一度岩谷峠を駆け上がる。
まるで、2ストロークのオフローダーに乗っているようだ。
サスはしなやかに動き、ハイパワーを一気に引き受けている。
上りだったこともあり、より動きが優しい。
上りはある意味では乗りやすい。
下りはライダーの介入度合いは高くなる。
つまり腕次第なのである。
下りがダメな奴は、下手くそなのだよ!
そのまま新神戸トンネルに入り、5速までフル加速してみた。
この設定で、振られることもない。
ジャーニーに戻り、吉川氏に報告する。
「多分、もうこれで決まりだと思います」
吉川氏もハーバーハイウェイを走りに行き
「ああ、コレで決まりですね」
と言い、深くうなずく。
私も深くうなずき
「吉川さん、いい仕事しましたね」
「いえ、最後にレバーを交換します」
「ああ、このレバーなんか気になりますね」
「ええ、ノーマル純正にもどどしたほうがいいと思います」
ついているレバーは、トライアンフの純正オプション。
しかし、操作性に多少問題がある。
このマシンは、小柄な女性ライダーが乗るのだ。
そういう小さなところの変更が重要なのだ。

忘れていたが、サイドスタンドを出しやすいように
小さな工夫をDIYでしておいた。
こういうのであるな。
小柄な女性ライダーが困ることに、サイドスタンドの出し入れがある。
— 8マン (@chuff_de_gogo) 2021年4月2日
やっつけながら、なかなかの出来じゃなかろうか? pic.twitter.com/BEtyFPwzGe
すぐに壊れると思うので、改良は必要だろうけれどね。
一旦ガレージに戻す。

このラリって作られたであろうマシン。
デザイナーとエンジニアの仕事に敬意を持ってしまう。
すべての機械は、人間が作ったものだ。
その人間の考えや思い。
そして経済的理由、社会情勢、時代。
それらを詰め込んで機械は形になってゆく。
内燃機関ができて100年ちょっと。
その百年の歴史が終わろうとしている。
私より数世代後の人間には、内燃機関は馬車に等しくなるだろう。
そして、デザインと言う魔物。
気化したガソリンを爆発させ
それを封じ込めることで回転運動を可能にした技術。
その爆発は、排気管から空中に放たれる。
あの咆哮は、爆発の最後の姿だ。
いずれそれは消える。
私個人はそれでもいいと思っている。
人間が爆発よりスマートな世界を望むなら
それもまた仕方ないことだろう。
それでもなお私は思う。
トラインアフ・ストリートトリプルR。
これに乗ることができた人間は幸福である。
(コレが原罪ってやつ?悔い改める系?御冗談を、仏教徒でクリック!)
次回はマニアックな整備録ですよー!