前回の記事で書いたタカハシのε-130Dを入手して、手持ちの反射望遠鏡がSkyWatcherのBKP200/F800との2台となりました。
反射望遠鏡では結露が大きな問題となる時があるのですが、今回は私が今まで使っているBKP200/F800と新たに加わったε-130Dで実践している結露対策方法についてちょこっと紹介します。
望遠鏡の結露対策として口径が小さい屈折式望遠鏡の場合は市販のレンズヒーターを巻くという方法がありますが口径が130mm以上の反射望遠鏡の場合では胴体が大きいのでそれは難しく、過去にBKP200/F800で結露対策を何もしていなかった時に主鏡及び斜鏡共結露でびちゃびちゃにちゃになってショッキングな経験をした事があるので、それ以降反射望遠鏡の結露防止対策は色々な方法を実践しています。
胴体外板表面の対策
BKP200/F800の場合
外板面にAmazonで購入したサバイバルシート(厚さ1.0mm程でペラペラのアルミ断熱シート(各片面が金色と銀色))を金色を表面にして貼り付けてその上から銀色断熱シート(アルミ蒸着フィルムを発泡ポリエチレンに貼り合わせた物)を巻きつけ。
更に鏡筒先端の結露しやすい部分にはヒートシンクテープを貼ってDC12V仕様のLEDテープライトを巻き、その上へLED遮光テープを巻いて光が漏れないようにする事でLEDテープライトの発熱をヒーター代わりとした。

写真左上:ヒートシンクテープの上にLEDテープライト巻き付け(LEDテープライトは省電力だし安い価格で購入できる物が多い)
写真右上:LEDテープライトの上にLED遮光テープを貼り付けてLED光は遮断する
写真左下:鏡筒外板全体にサバイバルシート貼り付け
写真右下: サバイバルシートの上に銀色断熱シートを巻きつけ
今回加わったε-130Dの場合
上記のBKP200/F800で良い効果は確認出来ているので、同様の方法も考えたのだが胴体に巻物をしてお気に入りのイプシロンカラーが見えなくなるのは避けたかった為、何か他に良い方法がないかと考えた末に胴体表面へ乾燥空気を送れば車で使うデフロスターやエアーカーテンの様な効果があるのではとのアイデアが浮かび実行してみた。

写真左上、右上:鏡筒中央方向に向けた2.5mm穴を全周上8ヵ所に開けたエアーチューブを鏡筒前後に巻き付けて鏡筒外板へ乾燥空気を送る
写真左下:上記エアーチューブによって鏡筒前後から中央部へ向けて放出された乾燥空気は鏡筒中央部でも乱流となって表面を覆っている事を線香の煙によって確認
鏡筒内への対策
BKP200/F800の場合
斜鏡対面部へはファインダー取付台座を取り外した取り付け穴一カ所にタップでねじ切りしてM5ねじサイズのエアーコックをねじ込み及び鏡筒後端主鏡裏へは100均で購入した食卓用トレーを加工した物にエアーコックを取り付けて(BKP200は主鏡セルと筒の取り付けに隙間があるのでこの方法が使える)それぞれから乾燥空気を注入する。

写真左:ファインダー取付台座を取り外して台座取り付け穴にM5サイズのタップでねじ切りした後にM5ねじサイズのエアーコックをねじ込んで取り付け(取り付け位置はだいたい斜鏡の対面になる)
写真右:鏡筒後端主鏡裏へ100均で購入した食卓用トレーを加工した物にエアーコックを取り付け(BKP200は主鏡セルと筒の取り付けに隙間があるのでこの方法で主鏡裏から鏡筒内へ乾燥空気が送れる)
上記二か所から鏡筒内へ乾燥空気を送る
今回加わったε-130Dの場合
ε-130Dは鏡筒へ穴あけやねじ切りをしたくなかったのでファインダー取付台座のネジ1本をネジのトミモリで購入したM4×14mmのエアー抜き キャップボルトに交換。このボルトは貫通穴が開いていて中空になっているので、ここにエアーチューブを接続して斜鏡対面から鏡筒内へ結露防止対策の乾燥空気を送る様にした。

写真左:ファインダー取付台座のネジ1本をM4×14mmのエアー抜き キャップボルトに交換
写真右:M4×14mmのエアー抜き キャップボルトに短いエアーチューブを介してエアーコックを取り付け、ここに乾燥空気注入用のエアーチューブを接続する
乾燥空気注入装置(自作)

装置構成(全てAmazonで購入した物の組み合わせ)
シリカゲル室:1000ml密閉プラ保存容器、乾燥空気室:500ml密閉プラ保存容器、エアーポンプ室:1000ml密閉プラ保存容器、
エアーポンプ:DC12V 自吸式 空気吸引ポンプ 15L/min(※初めて使う時は吐出エアーにポンプ内の油分が混じる場合があるのでしばらく空運転してフラッシングした方が良い)、
速度コントローラー:DiyStudio PWMモーター速度コントローラー、
電源接続:車用の12Vシガーライターソケット
各プラ保存容器の接続にはプラ容器の頂部と底部を円カッターで切り抜き、そこに金網(ゴーズワイヤー)をラバーシートで挟んだ物を介してボンドで接着

シリカゲル室の後端は未使用時には密閉用キャップを取り付け、使用時には金網(ゴーズワイヤ)を取り付けた物に交換してここから外気を吸引する。

使用状況
写真上:外気温度21.4℃、湿度79%環境で使用時に湿度20~30%の乾燥空気を送れた
写真下:エアーポンプ速度(出力)70.0%で使用して消費電力は9.6W
乾燥空気注入装置→エアーチューブ→上記の各鏡筒接続口へ接続して乾燥空気を送る
以上は結露防止の理論はそこそこにおもいつき優先で作製したものなので、色々とやりくった造りとなった部分もあるが今の所はこの方法で反射望遠鏡の結露問題をクリアできている。
という事で、ε-130Dの結露防止対策としてはこの様な方法で使い始めた。
ε-130Dを使い始めて二日目に撮影した画像
IC1396(象の鼻星雲とガーネットスターを含む)

撮影地:京都府舞鶴市
撮影ソフト:SharpCap 4.1
鏡筒: タカハシ ε130D(焦点距離:430mm(f3.3))
カメラ:QHY268C(Readout Mode#1Gain:57 OffSet:30 Temp:-8℃)
フィルター: IDAS NBZ-II
赤道儀:SkyWatcher EQ6R、極軸合わせ:PoleMaster
ガイド鏡:Askar 32mm F4、ガイドカメラ:ZWO ASI224MC、ガイドソフト:PHD2
その他:SVBONY FW(フィルターフォイール)、ZWO EAF(電動フォーカサー)
画像処理: Pixinsight(WBPP、SPCC、SXT、DBE、BXT、ScreenStars SCRIPT、NXT)
、Photoshop CS2、RawTherapee 5.8
デュアルナローバンドフィルターのみの撮影だったのでガーネットスターも他の人の投稿画像でよく見る黄色味っぽい色じゃなくて赤色になっちゃった。この後UV/IRカットフィルターでも撮影してガーネットスターの本来の色合いも見たかったのだが途中から雲に覆われて叶わず。
上記画像をPixInsightのNarrowbandNormalizationを使用した模擬HOOで色合いを変えて楽しんでみた。

撮影当日の結露対策の効果について

撮影終了時の外気はデジタル温度湿度計で気温18.5℃湿度は数値表示の上限を超えてHIとなっており、結露対策をしていなかったカーボンフード外板面は結露によって濡れていたが、乾燥空気を送っていた鏡筒外板及び内部は斜鏡・主鏡含めて一切結露はなかった。カーボンフードへの対策は今後考えるとして鏡筒への結露対策としては今回の方法で良いんじゃないかなという結果になった。
家内での湿気対策
最後に、家内での湿気対策としてサイズの大きい反射望遠鏡はケースに格納してその中に除湿剤を入れて保管、カメラやサイズの小さい屈折望遠鏡等は除湿庫を使用して湿度を常時30~40%で管理して保管している。

Amazonで購入したRe:CLEANの防湿庫 RC-50LはAskarの屈折望遠鏡65PHQが格納出来る大きさ。性能が良いので一つ追加して2ケで使用中。