
イギリスの作家コナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズは、130年以上の年月を経てもなお、世界中で絶大な人気を誇るキャラクターです。
それは、文学の世界でも同じ。
今回紹介するパスティーシュは、フランス語で 『模倣した作品』 のことで、パロディーやオマージュの仲間です。
古今東西、さまざまな作家によるホームズ譚を、この記事では紹介していきます!
ホームズ・パスティーシュ おすすめ4選
シャーロック・ホームズの秘密ファイル
ホームズファンも絶賛!正統派パスティーシュ
ホームズ作品の中には、「こんな事件もあった」と作中でほのめかされながらも、詳細が明かされないままになってしまった事件が存在します。 どんな事件だったのか、ホームズはどんな活躍を見せたのか。とても気になりますね。
そんなファンに応えるべく、コナン・ドイルの代わりに筆をとり、この本を書きたげたのがイギリスの作家・ジューン・トムソンさんです。 さまざまな理由でワトスンが公表しなかった(できなかった)事件、すなわち、 『ホームズの秘密ファイル』 として7つのエピソードを詰め込んだ短編集になっています。緻密な出来はホームズファンをも唸らせるもの。今一度ホームズの冒険を楽しめる、正統派パスティーシュです。
絹の家
追跡中の男が何者かに殺害された。さらに、現場を目撃した少年も忽然と姿を消してしまう。ホームズはワトスンとともに少年の行方を追うが、その甲斐も虚しく、惨殺された少年の遺体が発見された。死体の腕にはシルクのリボン。それが意味するものとは…。
コナン・ドイル財団公認!ホームズ史上もっともダークなストーリー
「おぞましく、身の毛のよだつような出来事であった」 と、老年のワトスンが回顧する形で幕を開けたのは、ホームズが最大の危機を迎える、衝撃的な事件。 とある事件の関係者の死と、現場を目撃した少年の死。2つの事件の裏に大きな闇の存在を嗅ぎ取ったホームズは、ワトスンとともに調査を押し進めます。しかしその最中、誰あろうホームズが敵の手中に落ち、調査から離脱。ワトスンは孤軍奮闘を強いられてしまうのです。
この作品では、子どもが残虐な手口で殺害されるなど非道さが際立ち、原作とは違うダークなストーリー。ホームズ不在、国を揺るがしかねないおぞましい闇。最後までドキドキハラハラが止まらない小説です。
メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち
ヘンリー・ジキルを父に持つメアリは、亡くなった母が生前、殺人の容疑をかけられている男、ハイドに毎月送金していたことを知る。ロンドン屈指の名探偵シャーロック・ホームズに相談をもちかけ、共に調査を始めるメアリ。しかしハイドの謎は、マッドサイエンティストたちが集う"錬金術師教会"の大きな陰謀に繋がっていた…。
"モンスター娘"と挑むマッドサイエンティストの謎。ホームズ×SF3部作!
ジキルとハイド、モロー博士、フランケンシュタイン、ラパチーニ、そしてシャーロック・ホームズ。さまざまな名作小説のキャラクターが登場する、このにぎやかなSF小説は、主人公メアリと、マッドサイエンティストによって生まれた4人の"モンスター娘"たちの冒険を描く、シリーズ3部作の第1作目です。
この本でのホームズの立ち位置は、主人公に手を貸すお助けキャラ。サブ的な扱いですが彼の卓越した頭脳と胆力が、マッドサイエンティストたちの謎に立ち向かう少女たちの大きな助けになります。エンタメ感満点の、ローカス賞受賞作。
辮髪のシャーロック・ホームズ
ホームズが中国人だったら…妙技にうなる香港版シャーロック・ホームズ
この本で活躍するのは、諮問探偵フー•アルと、医師のホア•ションという中国人のコンビ。1880年代の香港を舞台に、数々の事件を解決していきます。
ホームズが登場しないのにホームズ・パスティーシュである理由。それはこの本が、舞台を香港へと移し、シャーロック・ホームズの数々の冒険を下地に再構成された、 香港版シャーロック・ホームズ であるからです。
単純に原作をなぞるわけではなく、香港の史実と絡めたオリジナルのストーリーになっていて、原作ファンも、ホームズの世界観と新鮮な謎解きの両方を楽しめる巧妙な作品。
まだまだある!ホームズ・パスティーシュ
シャーロック・ホームズの凱旋
舞台はヴィクトリア朝京都という架空の世界。この本には、鮮やかに謎を解き明かすかっこいいホームズ存在しません。未曽有の大スランプで探偵業をたたむ寸前、ワトスンに愚痴をこぼし、同じようにうらぶれた人たちと傷をなめ合う日々。彼は再び名声を取り戻せすことができるのか?森見登美彦さんの腕が冴えわたる作品。
ホームズ連盟の事件簿
ワトスンやアイリーン・アドラーなどなど、シャーロック・ホームズシリーズで脇を固めるキャラクターたちが主人公をつとめるパスティーシュ。原作ではホームズを際立たせる脇役たちが、本作ではすこぶる人間くさく、親しみを感じられます。コアなホームズファンなら気付く、様々な工夫があるとか無いとか。
ミスター・ホームズ名探偵最後の事件
探偵を引退し、サセックスで養蜂業を営む老年のホームズ。若い頃のような気概はなく、ただしんしんと老いを募らせる彼の現在と、2つの記憶が代わる代わる語られていきます。 人にうといホームズが、情に触れて戸惑うなど、ホームズの人間性を丹念に書き上げた純文学的な作品で、ホームズパスティーシュの中では珍しいタイプの本です。
吾輩はシャーロック・ホームズである
ホームズ不在のベーカー街221Bを訪れた珍客。「自分はシャーロック・ホームズである」と名乗るものの、さまざまに挙げられる特徴から読者には一目瞭然、この人物は日本の文豪・夏目漱石なのです。無下にできないワトスンは、彼をホームズとして扱うことに。しかし、そんな奇妙な状況のさなか、2人の目の前で殺人事件が起きてしまいます。張り切って調査を始めるナツメ・ホームズは、謎を解き明かすことができるのか。