2025年の1月は、とってもユニークな(ふたつの)アート展に行ってきました。
そこで痛感したのは、「アートというのはリミッターを外すことなんだな」という、当たり前っちゃ当たり前なことの再認識でした。
まずはこれらのアート展、どちらも「舞台」がとてもユニークなのです。
ひとつめはこちら。代官山です。
外から見るとふつーのビルですよね。もうすぐ取り壊される予定の、築年数のかなり長いマンションです。

普通の外見と異なり、中に入るとたとえばフロアの廊下がこんな感じ

こちらは別のフロアの廊下。各フロア、イメージが違うので移動するたびワクワクします。

ひとつのフロアには向かい合わせに4つずつ、合計8個くらいの部屋があるのですが、自分でドアをあけて各部屋に入ると!
こんな感じですごいインパクトのある展示が次々と現れます。


各部屋はワンルームマンションだったようで、こちらは正面が玄関、その手前の右側がミニキッチン

3点セットのバスルームももちろんアート展示の舞台

別の部屋のキッチンはこんな感じ

天井までぎっしり!

もう取り壊す建物だから、壁に直接アート展開できて、ほんとうに自由度が高い

こういうお部屋、ベッドと机を置いて、実際に住みたい人とかいるのでは?
アーティストによる内装リフォームってビジネスになるんじゃないかと思ったり。

一部の部屋は海外から訪問しているアーティストの仮居住区(レジデンス)として使われていました。

以下、各部屋ホントにすごいインパクトで、8階から2階まで外階段で下りつつ、自由にドアを開けて鑑賞するのですが、毎回、ドアを開けるのは本当にワクワクしました。

こういう部屋、ドア閉めると、アートの世界に完全に包まれます。

これは通路に丸い穴をあけ、中のガスや水道メーターをフィーチャーしたもの

なんか見たことある人が!

どれもこれも本当にすごかった。



以上、「このビルもう取り壊し予定だから、何やってもOK!」という、リミッターを外した製作現場のパワーを、存分に体感できる機会でした。
★★★
ふたつめの展覧会は、『150年』@東池袋。
これもセッティングが最高でした。
会場は、再開発で取り壊しが決ってる東池袋の一区画の建築群、全6棟の敷地には戸建て住宅から町工場、雑居ビルなどが密集。築年数もタイプも異なる建物で、2025年には一斉に取り壊される予定。
外からみると本当に普通の家だったりするのですが、

なかに入ると部屋一杯に広がるパッチワーク恐竜が現れたり、

台所にもパッチワーク詰め物が敷き詰められてたり

こんな感じであちこちにアート作品が出現します。

敷地内の 6つの建物は、壁をぶち抜かれ、仮設の足場でつながれてて、それぞれの建物の中に、いろんなアーティストの作品が飾られてる、という趣向です。

壁を割って通路を確保。すでに取り壊しが決定してる建物だからこそできる設営。

こちらは元押し入れ。中段の棚の真ん中を切り取り、壁を壊して屋外へと通路を続けています。しかもこれ、2階なんです、1階じゃなくて!

各部屋のアートもかなり攻めてます。たとえばこの部屋は足下には割れた陶器が敷き詰められていて、マジ危ない。
お客さんが触ればケガをする可能性もあり、たぶん公共の博物館では展示できないアートだと思います。

スモークがたかれていて、手で仰がないと足下の見えない部屋までありました。

スモークの空間のなかで目をこらすと、ぬいぐるみがいくつも「裏向けに」並べてあったり・・・宝探しの気分であちこち探索します。まさに体験型アート!

中古ビルがひとつあったのですが、ここでも各フロアにインパクトのあるオブジェが展示されています。

ひとつフロアを降りるとコレ

よく見ると、いろんなモノが埋め込まれています。おそらく最初からこれらの家にあったものなんじゃないかな。

なんか懐かしい!

もうひとつ下のフロアにはこれ

こうして足場を通って次の建物へ移動。各建物は2階、3階でもつながっていたりいなかったりで、まさに迷路のようです。

無作為に壊した壁自体が素敵なアートになってるし、

階段の雰囲気もすごくいい。

ひとつの建物の一階は、もともと街工場だったみたいで、当時の機械がそのまま残されていました。

それらひとつひとつにすごく味がある。

コード類さえアート!

どうでしょう?
冒頭に書いた「アートとはリミッターを外すこと」という意味がわかっていただけたでしょうか?
常識から外に飛び出さないと、アートにはならないのだよね。
そして今回あらためて思ったコト。
それは、時間が自由になることの価値と、東京に住んでいることの価値です。
日本では地方でも立派なミュージアムがあるけれど、こういうアート展があちこちで開かれているのは東京以外ではなかなかありません。
そして、こうした「開催期間 3週間」みたいな展覧会に、しかも週末チケットはすぐ売りきれるような展覧会に平日にさくっと行けてしまう時間の自由度も、とても価値が高い。
私は長く東京に住んでいますが、ずっと今のような自由度を確保できてたわけではありません。だからこそ、今はその価値が身に染みてわかるのです。
反対に、自分の生活に必ずしもこういう刺激が特に必要ないって人は、わざわざ激混み&割高な東京に住む意味ってあまりないのかもしれません。仕事だけならリモートでも可能だしね。
が、私としては、これからもこの街に住んでるこの時期を(しかも、ものすごく自由なこの時期を)積極的に楽しんでいきたいと思います。ボーッと生きてちゃ時間がもったいない!
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2025/2/2 #954 自分にブレーキをかけない生き方には憧れる。でもさ | ちきりん「Voice of ちきりん」/ Voicy - 音声プラットフォーム

