有線接続のイヤホンには無線接続による音質の劣化や遅延が生じないというメリットがあるので未だ一定の人気がありますが、世の主流はすっかり「TWS(True Wireless Stereo:完全ワイヤレスステレオ)」という、イヤホンを接続するケーブルの煩わしさから解放された Bluetooth 接続のイヤホンになって久しいですね。特に実売 1万円以下の価格帯は超激戦区。それこそ様々なメーカーから多種多様な製品が続々と発売されています。
イヤホンのタイプにもイヤーチップを耳の中に差し込んで使う「カナル型」、耳の入り口に引っ掛けて装着する「インナーイヤー型」など様々なタイプのものが発売されていますが、当ブログでも何度かお世話になっている「SOUNDPEATS(サウンドピーツ)」様より、新作の「Clip1」という ” イヤーカフ型 ” のイヤホンを試してみないかとのお話を頂きましたのでレビューさせて頂くことにしました。

” イヤーカフ型 ” のイヤホンは耳を塞がない「オープンイヤー型」として分類されるイヤホンの 1種で、耳の横を挟むような形で装着するイヤホンです。「カナル型」や「インナーイヤー型」と違って非常に落としにくく、外部の環境音も聞こえやすいので、スポーツをしたり家事をしながら音楽を聴いたりするのに最適なイヤホンでしょう。また、イヤーフックで耳の上部に引っ掛けるタイプとも違って長時間装着していても耳が痛くなりにくいとのこと。私もこのタイプのイヤホンを使うのは初めてなので興味津々です。さあ、それでは見ていこうじゃありませんか!
本記事を執筆するにあたり、SOUNDPEATS 様よりレビュー用に発売前の製品サンプル を御提供頂いております。公平・公正な観点から記事を執筆するよう心掛けておます が、ご留意頂いた上でお読み下さいますようお願い申し上げます。また、製品版の仕 様とは一部異なる場合があり得ますことご了承下さい。
■ SOUNDPEATS「Clip1」の仕様
SOUNDPEATS は 2013年に中国・深圳で設立され、日本でもコスパに優れたイヤホンを多数発売しているオーディオブランドとして知られています。世界 30 の国や地域で 15年以上に渡って累計 3,000万台以上のイヤホンを販売してきたとのこと。日本では Amazon や楽天などの通販だけでなく、ヨドバシカメラやビックカメラの店頭でも取扱されているので、もう持ってるよ、見たことがあるよという方も多いのではないでしょうか。
SOUNDPEATS からは今回発売される「Clip1」以外にも、「UU イヤーカフ」「CC イヤーカフ」というイヤーカフ型 TWS が発売されています。価格帯が近いこともあってちょっと機能の差が分かりにくくなっているので、まずはスペック面から整理しておくことにしましょう。
| Clip1 | UU イヤーカフ (Pop Clip) |
CC イヤーカフ (PearlClip Pro) |
|
|---|---|---|---|
| 発売日 | 2025.8.25 | 2025.2.24 | 2025.7.3 |
| 通常価格 | ¥9,980(税込) | ¥6,180(税込) | ¥7,580(税込) |
| イヤホンタイプ | イヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホン(タッチ操作式) | ||
| ドライバー方式 | Φ12mm デュアルマグネットダイナミックドライバー | Φ10.8mm デュアルマグネットダイナミックドライバー | Φ12mm デュアルマグネットダイナミックドライバー |
| 伝送周波数帯域 | 20 Hz ~ 40 kHz (ハイレゾ認証取得) |
20 Hz ~ 20 kHz | 20 Hz ~ 40 kHz (ハイレゾ認証取得) |
| ノイズキャンセラ | 非搭載(通話用 ENC のみ使用可能) | ||
| Bluetooth バージョン | 5.4(通信範囲 10m) | 5.4(通信範囲 10m) | 6.0(通信範囲 10m) |
| 対応コーデック | SBC、AAC、LDAC | SBC、AAC | SBC、AAC、LDAC |
| Dolby Audio | ○ | ✕ | ✕ |
| 装着・落下検出 | ○(落下検出は後日対応) | ✕ | ✕ |
| マルチポイント接続 | ○(LDAC 接続時は使用不可) | ||
| ゲームモード | ○ | ||
| 防水仕様 | IPX5 相当(防滴) | ||
| バッテリー容量 | イヤホン:45 mAhx2 ケース:450 mAh |
イヤホン:45 mAhx2 ケース:400 mAh |
イヤホン:35 mAhx2 ケース:350 mAh |
| 連続使用可能時間 | 最大約 8時間(ケース併用で最大約 40時間) | 最大約 8時間(ケース併用で最大約 30時間) | 最大約 6時間(ケース併用で最大約 24時間) |
| サイズ(ケース込み) | 約 71.5x49x35 mm | 約 63.7x49.8x30.6 mm | 約 72.2x45.5x24.2 mm |
| 重量 | イヤホン片側 約 5g ケース込み 約 55.5g |
イヤホン片側 約 4.8g ケース込み 約 46.7g |
イヤホン片側 約 5g ケース込み 約 47.3g |
「CC イヤーカフ」が発売されたのは 2024年の11月末ですが、この夏に改良型が発売されました。新たに Bluetooth 6.0 準拠と LDACコーディックが追加され、ハイレゾワイヤレス認証も取得しているそうです(旧型のソフトウェアアップデートでの対応は不可)。現在販売されているブラックとベージュのカラーモデルについては新型に置き換わっているそうですが、ホワイトとパープルについては旧型の販売が続いているようなので、購入される場合は注意してください(8/25 現在)。
いずれの機種もデュアルマグネットダイナミックドライバーを搭載していますが、「Clip1」と「UUイヤーカフ」はチタンPVDコーティング(真空蒸着)されており、繊細さと力強さを両立したドライバーとなっているそうです。また、「Clip1」は「UUイヤーカフ」より大型のドライバーが採用され差別化されています。
特筆すべきは「Clip1」の Dolby Audio 対応。Dolby 関係の認証を受けるにはそれなりの費用が掛かったはずですが、正直この価格できちんと認証を受けているというのには驚かされました。日本での発売に当たって当然ながら技適も通っています。
また、3機種とも IPX5 相当の防水性能を持っているのでスポーツをされる方には非常に心強いですね。「イヤーカフ型」という構造上、カナル型やインナーイヤー型と違って運動中にポロッと落ちたりする事故は格段に発生し難いと思われます。耳を塞がないので車の走行音などの外部の音がしっかり聞こえるという点でも安心して使っていけそうです。
■ SOUNDPEATS「Clip1」
それでは早速「Clip1」の外観や付属品をチェックしていきましょう。


Apple の製品を想起させる非常にしっかりしたパッケージです。ただ、あまりに蓋がピッタリ塡まりすぎて少々開けにくいのが難点(笑)。本体のカラーはブラックのみで、今のところ「Clip1」のカラーバリエーション展開は考えていないとのことです。

イヤホン本体と充電ケース、USB Type-C to A ケーブル、多言語対応の USER GUIDE のほかに " PEATS君 ” というパンダがモチーフになったオリジナルキャラクターの可愛いシールが付属していました。取扱説明書については以下のリンクから PDF でも入手可能です。
相変わらずですが、活字のサイズが小さい上に多言語併記されているので読み難い・・・。出来れば言語毎にページを纏めてくれるといいのですがね・・・。PDF なら拡大も容易なのでダウンロードしておくことをお勧めします。


充電端子は USB Type-C。USB Type-C と言っても USB PD などには対応しておらず、ケースへの充電は 5V / 0.5A といったところでしょうか。とってもバッテリー容量がたいしたことないのでケースのフル充電に掛かる時間は約 2時間です。


USB端子の横にはペアリング時に使用するボタンがあります。充電に関して注意が必要な点が 1つあります。ケースの USBポートがやや奥まったところにある関係で、使用する USBケーブルによってはコネクタが干渉して奥までしっかり刺さりません。付属のケーブルはもちろん使用可能ですが、自前で調達した市販の USBケーブルを使う場合はコネクタ形状にご注意ください。


「Clip1」のカラーはブラックですが、どちらかというとダークグレーに近い色です。ケースの方はダークシルバーといった感じでしょうか。TWS が世に出回り始めた頃は磁力が弱かったのか、ケース内でのイヤホンの充電がうまくいかない製品もままありましたが、さすがに最近はそのようなことはほぼ無くなりましたね。「Clip1」も普通にケースに仕舞うだけで大丈夫です。


実測の重量です。仕様ではイヤホン片側約 5g、ケース込み重量約 55.5g となっていましたからまあ誤差の範囲内でしょう。十分な軽さです。




「イヤーカフ型」ということでユニークな形状をしています。「Clip1」は急速充電に対応しており、10分間の充電で 最大約 2時間程度の音楽再生が可能です。仮に朝の出掛けに充電忘れに気付いたとしてもこれなら準備している間に通勤・通学で使うくらいで使うくらいには回復してくれそうですね。Qi などのワイヤレス充電規格には対応していません。充電中にケース正面のインジケーターが示すバッテリーの状態は以下の通りです。
| 20% 未満 | 赤でゆっくり点滅 |
| 20% ~ 69% | 黄色でゆっくり点滅 |
| 70% ~ 99% | 緑でゆっくり点滅 |
| 100%(充電完了) | 緑で点灯 |
また、充電ケースの蓋を開けた時に光るインジケーターは、ケースのバッテリーの残量を示します。
| 100% ~ 70% | 緑で点灯 |
| 69% ~ 20% | 黄色で点灯 |
| 20% 未満 | 赤で点灯 |
徐々に広がりを見せているようですが、” イヤーカフ型 ” のイヤホンはこれまであまり見掛けて来なかった形状なだけに、装着にはやや慣れが必要かも知れません。初めて着けた時はちょっとまごついてしましました。球状になっている方を耳の穴に入れ、耳介を摘まんでクリップを引っ掛けるように装着して位置を調整してください。
通常ワイヤレスイヤホンと言っても左右の区別があるものがほとんどだと思うのですが、「Clip1」にはそのような区別がありません。デバイスが左右を自動的に認識してステレオの左右のチャンネルを割り当ててくれます。もちろんケースにしまう時も左右を意識する必要はありません。これ、地味にかなり便利ですよ。また、耳への装着をセンサーが感知し、音楽再生の一時停止や再開を行ってくれます。

取りあえず使うだけならアプリを入れなくてもスマホとペアリングさせることは可能です。iPhone の場合なら「設定」アプリから「Bluetooth」へ進み、ペアリングモードにした「Clip1」を近付ければ検出されます。「Clip1」をペアリングモードにするには、イヤホン収納状態からケースの蓋を開け、ケース後面のボタンを LED が白で点滅し始めるまで長押ししてください。


Bluetooth 機能のある Windows PC などとももちろんペアリング可能です。Windows 11 なら「設定」アプリから「Bluetooth とデバイス」の項目に入り、「デバイスの追加」から「Clip1」の充電ケース裏のボタンを LEDインジケーターが点滅するまで押して登録して下さい。
マイクも使えますので、家でのテレワークやオンライン会議などでも便利に使えるでしょう。デスクトップPC で Bluetooth機能が無い場合は、USB接続のドングル などを導入するのもお勧めです。
■ SOUNDPEATS「Clip1」のリセット方法
何らかの原因でデバイスとの接続が上手くいかなくなってしまった場合はファクトリーリセットを試してみてください。取扱説明書にも手順は書かれていますが、こちらでもメモとして残しておきます。
- 両方のイヤホンを充電ケースに戻し、ケースの蓋を開けた状態にする。
- 充電ケース後面のリセットボタンを 10秒間長押しする。
- ケースの赤いインジケーターランプが 3回点滅したらボタンから手を離す。
- スマホ側で接続済みのデバイスの登録を解除する。
ファクトリーリセットと言っても設定はスマホアプリからすぐに戻せますので負担は少ないでしょう。
■ 専用アプリは「PeatsAudio」
「Clip1」には「PeatsAudio」という専用アプリが用意されています。先程書いたように別にアプリを使わなくてもペアリングや基本的な操作は可能ですが、ファームウェアの更新をしたり Dolby Audio の機能やイコライザー機能を使う場合などには必要です。もちろん無料でインストール可能。
アプリの動作環境は、Apple版は iOS 13 以降を搭載した iPhone、iPod touch、macOS 11.0 以降及び M1 以降のチップを搭載した Mac、visionOS 1.0 以降の Apple Vision。Android版は Android 7.0 以上を搭載したデバイスです。現行機種なら問題無いと考えてよいでしょう。

イメージキャラクターの PEATS君がお出迎え・・・だけどダークモードだからか怖いよ(笑)。アプリの利用にはメールアドレスの登録が必要です。アプリの評価が低いのはこの辺りを嫌がっている方が多いのかも知れません。宣伝メールが来たりするのは嫌だという方は Yahoo! などのフリーメールサービスで適当なアドレスを取得するのも宜しいかと。先にスマホなどのデバイスとペアリングさせておけばアプリを立ち上げて「Clip1」を近くで使うだけで認識してくれるはずです。

手元に届いた時点のファームウェアバージョンは「0.0.15」でした。「0.0.19」がリリースされていたのでサクッとアップデート。不具合解消などが進んだのだと思われますが、リリースノートの様なものは出ていないのでどこがどう変わったのかは不明です。
LDAC で接続出来る事がウリの 1つですが、こちらはマルチポイント接続が出来なくなったりドルビーオーディオ機能を併用できないなどのデメリットもあります。オープンイヤー型というイヤホンの性質を考えても積極的に LDAC を選好する理由はあまり無いかも知れません。また、アプリ上で LDAC のスイッチをオンオフすると「Clip1」には再起動が掛かります(当然ですが iPhone は LDAC に対応していないので使用することは出来ません)。
アプリ上でデフォルトの操作方法は以下の様に割り当てられています。
| 操作方法 | 左センサー | 右センサー |
| 2回タップ | 再生 / 停止 | |
| 3回タップ | 前の曲へ | 次の曲へ |
実は取扱説明書にはシングルタップ操作も記載されているのですが、SOUNDPEATS 様に問い合わせたところ、現時点ではタッチ操作の誤操作防止のためファームウェアで無効化されているそうです。今後アルゴリズムの最適化が進めば再度実装するとのことなので、早めの問題解決を期待したいところですね。
後継の「SOUNDPEATS」という新しいアプリも開発中らしいのですが、こちらはまだ安定性に課題があるとのことで、当面は「PeatsAudio」の方を使って欲しいとのこと。新しいアプリに関しては準備ができ次第改めて案内があるそうです。
■ 日々のエクササイズから家事まで常に音楽と過ごせる「Clip1」
まず心配だったのが、耳を挟んで装着するという構造上ずっと着けていると耳が痛くなってくるのではないかという点でしたが、こちらは完全に杞憂でした。試用のため数時間着けっぱなしにしてみましたが、耳が痛くなるようなことは全くありませんでした。
また、” イヤーカフ型 ” という装着方法のため、首を激しく振ったり運動をしたりしても外れる心配はまず無いと思ってよいでしょう。オープンイヤー型の一種なので車の走行音や人の話し声などもよく聞こえますし、IPX5 相当の防水性のも併せ持っているので、ランニングのお供としても最適のイヤホンです。
今までランニングには Beats by Dr. Dre の「Powerbeats Pro」を使ってきました。第1の理由はランニング中に落とす心配が無いことでしたが、こちらは耳に掛けるタイプのためサングラスと干渉します。我慢出来ないレベルでは無いので使ってきましたが、これは今回発売された「Clip1」に明確なアドバンテージがありますね。サングラスなどとも干渉しませんし、密閉型イヤホンで走った時に骨を伝って聞こえる独特の着地音も皆無です。これはなかなか良いですよ!推奨はされませんが、ランニング後にイヤホンをさっと洗える程度の防水性能も持っています。
一方、少なからず音漏れはするので、図書館の様な静かな場所で使うのは控えておいた方がよいでしょう。電車やバスなどの交通機関で使う場合も周囲の迷惑にならないよう音は控えめで。こういった場所ではやはり密閉型で尚且つノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホンを使った方が幸せになれます。

「Clip1」には低遅延の ” ゲームモード ” も搭載されています。iPad Pro とペアリングさせて「ミリシタ」 をプレイしてみましたが、一般的に遅延があるとプレイが難しいとされている ” 音ゲー ” であっても充分にプレイ可能だと思います(厳密には僅かな遅延は残りますが)。

そして何より驚いたのが音質の良さ。” イヤーカフ型 ” と言ってもオープンイヤー型イヤホンの一形態であることに変わりは無いので、正直あまり音質には期待していなかったのですが、低音はしっかり出ていますし、高音域が刺さるような感じも無く、驚くほど抜けの良いサウンドを聴かせてくれます。SOUNDPEATS からはそれこそコストパフォーマンスに優れたイヤホンが多数発売されていますが、これで 1万円を切ってくるというのは驚異的ですよ。
密閉型のイヤホンは特に夏場に長時間着けていると耳が蒸れて不快感が出て来たりするものですが、「Clip1」は通気性が確保されているのでそのような心配も無用です。ランニング用のイヤホンとして使う以外にも料理を作りながら音楽を楽しむなんて使い方も最適ですね。何せ落っことして料理の中に・・・なんて事故も起こりませんから(笑)。もし店頭などで試せる機会があるのなら是非一度体験してみて欲しいイヤホンです。