私が大好きな漫画ではちみつとクローバーという作品がある。
田舎から上京した主人公の竹中くんが美大に入学し、色んな才能を持つ仲間たちと出会い成長していくという物語である。
高校の頃初めてハチミツとクローバーを読んで、個性的な登場人物たちと超クリエイティブで楽しそうな芸大の様子からめちゃくちゃハマってしまった。また、各シーンでお台場や横浜を背景にキャラクターたちの心理描写が描かれるのだが、浜松に住んでいた高校生の私はそれを読んで東京に憧れたのだった。今でも時々全巻読み貸すくらい好きである。
特に好きだったキャラが主人公竹中くんの先輩である森田忍で、彼は天才でなんでも描けるしなんでも作れるけど留年を繰り返しているという謎の男だった。更に森田さんのお父さんは天文台がついた秘密基地のような自分の会社で、世界に轟く製品を作っているという設定で最高にかっこよかった。
最近知って死ぬほど驚いたのだが、作者の羽海野チカさんは芸大を出ていないらしい。
上記の記事によればハグちゃんや森田さんのような天才は数十年に一度いるかいないかでハチクロはほとんど夢物語とのこと。嘘だろ・・・。まじかよ・・・
上記インタビューによれば、羽海野チカさんは高校卒業後、サンリオに就職したのだが、そこで美大卒の友達がたくさんできたらしい。彼女たちと関わる中で感じた美大への憧れを漫画にしたのがハチミツとクローバーという作品らしい。なるほど・・・。
むしろ憧れだからこそ美しいものが描けるのでは
はちみつとクローバーがもし妄想満点の芸大像だったとしても、私の中ではちみつとクローバーが最高の作品であることに変わりはないし、森田さんやハグちゃんをみてこうありたいなと思ったことは嘘じゃない。たぶん、そういう学生や子どもはたくさんいたんじゃないか?そして今活躍している人たちの中にもいるんじゃないか?と思う。彼らはハチクロがリアルを書いていたかどうかなんて気にしていないと思う。そして、ハチクロが彼らの人生に影響を与えたのは間違い無いだろう。
何かに憧れを持っても、それに取り組む前にSNSやインターネットを通じて、裏も表も見えてしまう時代である。業界内のゴタゴタは嘘も真実も織り交ぜてセンセーショナルに僕らに伝わってくる(アニメ業界とか特にそうだけど)。けどこういう時代だからこそハチクロみたいな作品が輝くし、私達に必要な気がする。憧れを憧れのまま理想のまま描いた作品は誰がなんと言おうと最高に美しいし、誰かを元気づけるのである。