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伊藤詩織さんの舞台挨拶付きでBlack Box Diariesを見てきた感想

皆さん、Black Box Diariesという映画をご存知だろうか。現在日本では公開されていないのだが、パリでは公開されていて、かつ監督の伊藤詩織さんの登壇付きで見れるチャンスがあったので今回は舞台挨拶も含めた感想記事である。題材が題材なだけにブログにするか迷ったのだが、まぁあくまで一個人の感想ということでお許しいただきたい。

Black Box Diariesの公式HPには映画について以下のように記載されている。

 

自身が被害にあった性的暴行への勇気ある調査に乗り出していくその姿を自ら記録した、これまでにない形のドキュメンタリー映画です。

本映画の製作は、2017年、伊藤詩織が元テレビ局員の記者からの暴行被害を訴えた記者会見の直後に遡ります。実に6年もの製作期間を併走したのは、『新聞記者』(19)や『月』(23)を手掛けたスターサンズ。イギリス、そしてアメリカとの国際共同製作として完成した本作は、この度、2024年1月にアメリカで開催される第41回サンダンス映画祭の国際長編ドキュメンタリーコンペティション部門への正式出品も決定しています。

www.asahi.com

 

この映画は、2015年にジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之氏に性加害を受けた事件を基に、御本人が友人とともにその時の体験をドキュメンタリーとして制作した映画である。今年のアカデミー賞オスカーの長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、世界各国で上映、話題になっているが日本では上映されていない。

私は事件については以前から知っていて、映画も気になりつつ、日本で上映されないことも承知していた。しかし、ある日フランス国立図書館の近くを散歩している時に、隣の映画館にフラッと立ち寄ったところ、Black Box Diariesのポスターを発見したのである。

さすがフランス、人権意識がたけ~な~と思ってよく見ると、左上になにか書いてある。

"3月8日 20時から監督の伊藤詩織による紹介"の文字が・・・

えっ、これって伊藤詩織さん本人が来て、映画の紹介してくれるってコト!?まさかと思い調べてみると国際女性デーに合わせた企画で、マジで本人が来るらしい。しかもまだ席が空いている。妻に言ったところ、ぜひ見に行きたいというので一緒に行くことにした。私的にはこういう話がフランスでどう受け止められるのかが気になっていた。

 

上映前

さて当日、さっそく妻と待ち合わせし、劇場に入ってみると思った以上に満員である。

 

びっくりしたのは客層で、まじで老若男女勢揃いであった。老夫婦、中年男性、中年女性、なんならデートで来たと思われる若いカップルや、高校生くらいの3,4人の男の子グループまで居た。恐らく、日本でこういうジャンルの映画を上映したらもっと女性比率が高くなるだろう。この時点でなかなか衝撃的であった。

 

映画の前には、女性支援団体による宣伝(?)があった。バリバリフランス語だったのであまり良くわからなかったのだが、後で調べてみると家庭内・家庭外暴力で悩んでいる人をサポートするプラットフォームの紹介だったらしい。

www.jointhesorority.com

 

暴力に悩む女性をサポートするプラットフォームTHE SORORITYの紹介

さ、流石フランス、人権意識がたけえ(二度目)。

ここからはネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

映画の内容

映画の流れは、伊藤さんが被害を受ける→警察に相談→刑事裁判を起こす→訴えが棄却される→民事訴訟を起こして勝訴→体験を本にまとめる、までを時系列順に伊藤さん自身の証言や、協力者の証言の映像で追っていくという内容だった。大体2時間くらい。

 

かなり生々しく鬼気迫る映像

劇中何度も伊藤さんが被害を思い出して泣く場面があったり、上映後の舞台挨拶でも泣いていらっしゃったりして、凄まじい心的外傷を受けてらっしゃることが分かった。伊藤さんの心の内はわからないが、その体験を本や映画にすることでしか自分の中で昇華できなかったのではないかと思われる。

警察に連絡しても「確固とした証拠がないと動けない」と電話で言われる様子や、ホテルに連れ込まれた時に乗っていたタクシーの運転手の方にインタビューする様子などめちゃくちゃ生々しい映像が多く入っていた。

その後の舞台挨拶で「レイプされたこともそうだが、その後の社会への受け取られ方、警察の対応について見てほしい」とおっしゃっていたのだが何としても日本の実情を世界に伝えたい!というのがにじみ出てくるようなある種の執念と覚悟を感じる映像だった。

 

確かにこれを日本で公開するのは厳しいかも・・・

本作は映画に使われている映像の許可が降りていなかったという点で批判されているが、確かにタクシーの運転手にモザイクが入ってなかったり、電話の音声が生のまま使われていたりなど「こ、これ大丈夫か?」と思う点はいくつもあった。まぁただ多分全部に許可を取ってたらそもそも公開できなかっただろうなという感じはある。そして、それらの生々しい映像ややり取りが本作に説得力を与えているとは思う。それでも無許可はよくないけど・・・。日本でも修正して公開したいらしいが、結構キツイんじゃないかなと思う。多分、これを日本でそのまま公開したら間違いなく協力者への個人攻撃に繋がる。

 

フェミニズムが普通の市民活動として描写されていたのが良かった

劇中に伊藤さんを応援する女性の方々が登場する。今も「男が産めるのう◯こだけ!」という動画が出回り、日本だとフェミニズムというとかなりキワモノのイメージがあるが、映像中では本当に普通の中年女性たちが伊藤さんを純粋に応援し、伊藤さんが元気をもらう様子が描写されていた。変なバイアスがなく、「フェミニズムもちゃんと普通の市民運動なんだな」と思える映像になっていたのが良かった。

 

フランスの人たちにはとても肯定的に受け取られていた

映画が終わるとスタンディングオベーションだった。めちゃくちゃ肯定的に受け取られていたと思う。劇中で被害を与えた側の山口さんの記者会見の映像があったのだが、そこでも「コイツ何言ってるんだ?」的な笑い声が漏れており、なんというか心の底から女性の側に立って見ている人が多いように感じられた。私は少しバツが悪くて恥ずかしい気持ちだったのだが、多分日本で上映したらあのシーンで笑いが漏れることはないだろう。前述したが見に来ている層も若者から老人まで老若男女揃っているなど、かなり文化の違いを感じた。

 

伊藤さん登壇

映画が終わると、伊藤さん本人とフランス人の女性の司会の方が登壇し、ディスカッションが始まった。マジで本人だった。すげえやフランス。進行は司会の人から伊藤さんに質問する形式であった。フランス語で爆速で質問するのであんまり聞き取れなかったのだが、司会の方からは「なぜ電車ではなくタクシーで移動していて、あからさまに犯罪だと分かるのに運転手は警察にすぐに通報しなかったの?」というような質問が出ていた。それに対して伊藤さんは「日本ではお客様が神様という考えがあって難しかったんだと思う」というようなことを言っていたと思う。題材が題材なので、伊藤さんに寄り添って湿っぽい感じで進行するのかと思っていたが、インタビュアーが割とサバサバと質問していて、そこらへんも文化の違いを感じて面白かった。しかしインタビュー中にも伊藤さんは時折涙を流しており、まだ大分精神的に参っているような感じを受けた。

 

個人的な感想

この映画は「日本で性加害を受けた場合、周りがどういう対応をしてどこに落ち着くのか?」を主題とした映画だと思った。まぁ正直、日本で相談したらこうなるだろうなぁという女性からすると絶望するような映像も多かったのだが、その中でも組織の中でなんとか伊藤さんに協力しようとしてくれる警察の方や、自分が不利益を被ってまで伊藤さんに協力してくれようとする人が多く登場していて希望が持てる内容にもなっていたと思う。伊藤さんがホテルに連れ込まれた時に対応したドアマンが、自分がクビになるリスクを負ってまで証言しようとしてくれるシーンがあったのだが普通に感動してちょっと泣いてしまった。私はこの件について、ネットでの限定的な情報しか知らなかったのだが、映像を見ることで詩織さんに起きたことを含め、だいぶ解像度が上がったと思うので見てよかったと思う。ただ、あくまで「被害者である伊藤さんから見た事件の全容」ではあるので、そこは承知したうえで見なければならないと思った。いやーしかしこの映像が今、全世界で上映されていると思うと同じ日本人としてなかなかショッキングではある。いい国にしていきたいですね日本・・・。

 

 




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