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パナソニック、2020年度第3四半期決算発表 テスラ事業について梅田CFO「通期でも黒字が見込める」

「2021年度以降は、黒字になるかどうかの議論はなくなる」と梅田CFO

2021年2月2日 発表

パナソニック株式会社 取締役 常務執行役員兼CFOの梅田博和氏

 パナソニックは2月2日、2020年度第3四半期(2020年4~12月)連結業績を発表。オートモーティブの売上高は前年同期比14%減の9604億円、営業損失は前年同期の292億円の赤字から218億円改善したが、マイナス74億円の赤字となった。

 上期における顧客工場の一時停止による需要減などが響き、減収となった。また、営業損失は、減販損に加えて、車載機器で充電器関連の一時費用の影響があったものの、車載機器での固定費削減や、円筒形車載電池の材料合理化および高容量化新製品の導入効果などが寄与し、赤字ではあるが、前年同期に比べると増益となった。

第3四半期(2020年10~12月)のオートモーティブの業績

2020年度第3四半期(2020年10~12月)のセグメント別業績

 第3四半期(2020年10~12月)のオートモーティブの業績は、売上高は前年同期比7%増の3911億円、調整後営業利益は87億円増の20億円、営業損失が35億円回復したものの、30億円の赤字となった。

 パナソニック 取締役常務執行役員兼CFOの梅田博和氏は「第3四半期は、円筒形車載電池で、生産ラインの切り替えによって販売が減少したが、車載機器は、第1四半期における自動車減産の反動によって需要が増加した。第1四半期に、自動車業界は生産が停止していたが、この挽回が強めに入っている」として、回復基調にあることを示した。

 また、テスラ向け事業については、2020年度第2四半期(2020年7~9月)で黒字化したのに続き、「第3四半期も2桁の億円で黒字化した。通期でも黒字が見込める、2021年度以降は、黒字になるかどうかといった議論はなくなる」と、収益事業に転換したことを強調。「テスラ向けの円筒形車載電池は、これまではテスラの量産開始にあわせて、時期がずれ込んでいたが、いまは、テスラのEVの売れ行きは好調であり、パナソニックは、電池を思いきり作れる段階にある。数量が増加すれば、電池の材料の合理化がかなり進むことになり、コストダウンが図れる。同時に、生産ラインのロスの改善も進んでいる。ボリューム増とロスの低減によって、黒字化が見通せるようになってきた」と語った。

 今後の増産体制については、「ギガファクトリーでは、14ライン目の増設に向けた投資を決定しており、2021年夏に、既存生産ラインの性能強化に向けた取り換えとともに、新たな生産ラインを立ち上げ、38GWまで能力を高めていく」と述べた。

 さらに、テスラと共同で開発を進めている新たな車載用円筒形電池「4680」については、「順調に開発を進めている。現在は、開発フェーズだが、2021年度に向けて、間もなく、試作および試作ラインの設置を行なう。技術検証が終われば、試作ラインに投資することになるが、どこの工場で作るか、どの程度の生産量になるのかといったことを決めるフェーズではない。いまは、4680の開発および試作に集中している段階にある」と述べた。

 なお、パナソニック全体の2020年度第3四半期累計(2020年4月~12月)業績は、売上高は前年同期比15.3%減の4兆8732億円、営業利益は5.8%減の2268億円、税引前利益は7.6%減の2200億円、当期純利益は26.9%減の1301億円と、減収減益となった。また、第3四半期(2020年10~12月)連結業績は、売上高は前年同期比5.1%減の1兆8141億円、調整後営業利益は49.8%増の1428億円、営業利益は29.7%増の1302億円、税引前利益は26.6%増の1269億円、当期純利益は5.2%増の812億円と、減収増益になった。

2020年度通期見通しを修正

セグメント別見通しの修正

 今回の業績発表では、2020年度通期見通しについても修正を発表した。

 オートモーティブの業績見通しは、7月30日公表値に比べて上方修正。売上高は公表値に比べて900億円増の1兆3400億円、調整後営業損失は250億円増としたもの、50億円の赤字、営業損失は320億円増としたが、20億円の赤字とした。

 梅田氏は「オートモーティブの売上高は、自動車市場が当初の想定より早く回復していることから上方修正した。利益についても、車載機器で充電器関連の一時費用を計上したが、販売回復などにより赤字が縮小している。円筒形車載電池でも、材料の合理化や、高容量の新製品導入効果が寄与していることから上方修正をした」という。また、「中長期的な社会変化を踏まえた取り組みのひとつとして、地球温暖化対策などによるEV需要の拡大を受けて、パナソニックの技術が生きる円筒形車載電池事業においては、北米工場における増産対応、電池の技術開発、欧州事業での戦略的提携などを強化することになる」とも述べた。

 パナソニック全体での2020年度通期の連結業績見通しは、7月30日公表値に対して、売上高は1000億円増の6兆6000億円(前年実績は7兆4906億円)、調整後営業利益は800億円増の3000億円(同2867億円)、営業利益は800億円増の2300億円(同2938億円)、税引前利益は800億円増の2300億円(同2911億円)、当期純利益は500億円増の1500億円(2257億円)とし、「全社では売上高、利益ともに上方修正する。調整後営業利益は133億円の増益の見通しになった」としている。

 なお、コロナ禍において、空質への関心が高まっているのにあわせて、同社独自の「ナノイー」を搭載した商品の販売が増加していることにも言及。「ナノイー」および「ナノイーX」搭載商品の生産台数は、2019年度の800万台から、2020年度は850万台へ拡大する見通しを発表。さらに2025年度には1500万台に拡大する計画を示した。現在、ナノイーを搭載した商品は、エアコンや空気清浄機、冷蔵庫など、40商品に及んでいるが、自動車メーカー8社、鉄道事業者11社にも導入しているという。