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ボッシュ、ソフトウェアとエレクトロニクスを集約する新事業部を設立

電子システムと必須ソフトウェアをワンストップで提供

2020年7月21日(現地時間) 発表

クロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部を設立

 ボッシュは7月21日(現地時間)、ソフトウェアとエレクトロニクスを集約する新事業部クロスドメイン コンピューティング ソリューションを設立すると発表した。自動車のソフトウェア集約型電子システム市場は、現在から2030年まで年間約15%成長すると見込まれているといい、同社ではこの市場で主導的地位の強化を目指す。2021年初頭から、電子システムと必須ソフトウェアはすべて同事業部からワンストップですべての顧客に提供されるという。

 車両システムにおける高度な電気・電子化やソフトウェアの重要性は急激に増しており、その結果、自動車の開発はますます複雑さを増している。新事業部は、事業領域をまたいだソフトウェアとエレクトロニクス向けソリューションを通じて、この複雑さを低減することを目指す。さらに、新たな車両機能を実装するまでの大幅な期間短縮を図るという。ボッシュではこれを実現するため、運転支援、自動運転、カーマルチメディア、パワートレーン、ボディエレクトロニクスの各分野のソフトウェアエンジニア、電気・電子系エンジニアを新部門に配属している。

 10年前には、1台の車両に搭載されるソフトウェアのコード数は約1000万行だったものが、自動運転車両においては3億行から5億行ものコードが含まれる。車載ソフトウェアの重要性を早くから認識し、40年近くにわたって社内で開発に取り組んできたボッシュでは、現在では年間30億ユーロを投じているが、その一方で、各部門が個別に取り組む従来型のソフトウェアエンジニアリングは限界に近づきつつあるといい、今回の新事業部への集約が決定した。

 同事業部責任者であるクローガー氏は「ソフトウェアをワンストップで提供することで、車両を従来以上にデジタル化するという大きな課題に対応します」と言う。将来的には車両コンピューターとコントロールユニットの基盤となるソフトウェア、そして駐車支援やレーンキープアシストシステムから音楽ストリーミングに至るまでの幅広い車両機能を担うソフトウェアの両方を開発する予定で、その結果、ソフトウェアの更新によってユーザーに提供される新機能のリリースは大幅に迅速化され、自動車メーカーは顧客に対して、一貫性のある統合されたドライビングエクスペリエンスを提供することが可能になる。

 ボッシュではまた、事業領域をまたいだソフトウェア開発に加えて、将来においても有効な車両のE/E(電気/電子)アーキテクチャの開発に注力している。このため、新事業部は車両コンピューター、コントロールユニット、センサーの開発も担当。これらの円滑な相互作用が、将来的に重要な役割を担うという。

「クロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部が取り組む主要課題は、複雑な電子システムを包括的にコントロールすることです。さらに、システムは可能な限り信頼性の高いものにしならなければなりません」とクローガー氏は言う。

 ボッシュは最新の車両のデジタル化の技術基盤として、特に高性能な車両コンピューターに焦点を当て、車両の各部に搭載される機能が増えるとともに、これらのコンピューターは個々のコントロールユニットのタスクを束ねる。「今日の高級車は100個を超えるコントロールユニットを搭載しており、その数はコンパクトカーでも30~50個にのぼります。このような高性能コンピューターにより、その数を大幅に減らすことができます」とクローガー氏。また今後、コクピットとネットワーク化機能、運転支援システム、自動運転およびパワートレーン向けの車両コンピューターを、事業領域をまたいだ部門において開発することにより、車両全体で一貫したITアーキテクチャを実現。これにより、すべての電気・電子コンポーネントは完全な互換性を持つこととなり、さらに、ボッシュは有益なシナジー効果を実現することができるようになるとしている。

高性能コンピューターとソフトウェアの統合により必要なコントロールユニットの削減を可能にする

 新しいクロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部には、カーマルチメディア事業部全体と、ソフトウェア集約型の事業領域をまたいだ電子システムを開発するパワートレインソリューション事業部、シャシーシステム コントロール事業部、およびオートモーティブ エレクトロニクス事業部の一部が統合され、20か国以上の40か所を超える拠点で勤務する約1万7000人の従業員が所属。これによって2021年初頭より顧客に対して車載エレクトロニクスとソフトウェアをワンストップで提供できるようになるという。

 また、ボッシュでは4月、モビリティソリューションズ事業セクターにおけるすべてのエレクトロニクス製造活動の集約を完了したといい、オートモーティブ エレクトロニクス事業部は現在、すべての車両ドメインにおける、コントロールユニットと車両コンピューターの製造を統括。これによって、ボッシュは製造過程においてもシナジー効果を実現しており、新しい製造ネットワークでは、14か国の21工場で約2万4000人の従業員を擁する見込みだとしている。