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【SUPER GT開幕戦 岡山】2018年シーズン、SUPER GTに参戦するF1世界チャンピオン ジェンソン・バトン選手に聞く

「日本のファンは本当に熱心で、レースをそして、ドライバーを愛している」

2018年4月8日 決勝

2018年シーズン、SUPER GTに参戦するF1世界チャンピオン ジェンソン・バトン選手

 SUPER GTの開幕戦となる「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE」が、岡山国際サーキットで4月7日~8日の2日間にわたり開催されている。このSUPER GTに今シーズンより参戦した大物ドライバーと言えば、2009年のF1世界チャンピオンであるジェンソン・バトン選手であるというのは紹介する必要もないほどだろう。

 2000年にF1デビューし、2006年のハンガリーGPでホンダF1で初優勝してから15勝を記録し、2017年のモナコGPをフェルナンド・アロンソ選手の代理として走ったのを最後にF1参戦を終了。2018年シーズンはSUPER GTに転身して、100号車 RAYBRIG NSX-GTで山本尚貴選手とともにレースを戦うことになる。そのジェンソン・バトン選手に予選終了後に話を聞く機会を得たので、その模様をお伝えしていきたい。

バトン選手は、100号車 RAYBRIG NSX-GTで山本尚貴選手とともに戦う

歴代のホンダ車の中で一番印象的なのはオリジナルのNSX、マニュアルのギアが大好き

──なぜ2018年シーズンはSUPER GTを走ることに決めたのか?

バトン選手:これまでもずっとSUPER GTのファンだった。非常にエキサイティングなカテゴリーでGT500では3つのマニファクチャラーが参戦していて、どのクルマも高い競争力を持っている。そして4つのタイヤのマニファクチャラーが参戦しており、これもSUPER GTの別の側面の競争でありやはりエキサイティングだ。そしてGT300が混走しており、それもレースを面白くしている要因。このレースはずっとファンが興奮でき、ずっと面白いレースが展開されていて、レース中に多くの出来事がある。これが日本に来てレースする大きな理由だ。そしてホンダとは2003年から長年の協力関係にあり、完全にフィットすると思ったからだ。

──日本のファンをどう思う?

バトン選手:日本のファンは本当にユニークで、愉快で、素晴らしい存在だ。日本のファンは本当に熱心で、レースをそして、ドライバーを愛している。しかも一人のドライバーだけをひいきにするのではなく、ドライバー全員に声援を送っている。そして競争を歓迎している。

──2018年シーズンは、バトン選手のことを出待ちしているファンが多くいる。

バトン選手:一つには僕がこの間までF1を走っていたからだと思う……そして日本の自動車メーカーと一緒に長年レースをしてきたことも関係しているのだと思う。それでファンの皆さんは僕へのつながりを感じてくれているのだろう。

 もちろんF1チャンピオンは、多くの人にとって興味の対象だし……ただ、もちろんそうやってファンの人が来てくることはありがたいと思うし、SUPER GTでも多くのファンが獲得できるといいと願っている。

──これまでに乗ってきたロードカーで、ホンダの中でと、ホンダ以外でそれぞれ印象的なクルマを教えてほしい。

バトン選手:ホンダの中で選ぶのは実はとても難しい。というのも、これまでにたくさんのホンダ車に乗ったことがあるからだ。S2000も面白かったし、古い方のNSX(オリジナルのNSX)、それに多くのType-Rにも乗ってきた。そして今の新しいNSXも忘れてはならない。オリジナルのNSXは本当に素晴らしいクルマで、同じ時代のフェラーリと比べてハンドリングは優れているし、何よりも信頼性も優れていて、毎日乗れる車で最高だった。新しいNSXも本当に楽しいし特別なクルマだけど、オリジナルのNSXは何か特別だと感じている。

 ホンダ以外では、オールドカーが大好きなんだ。特に機械的なクルマが好き。ギアボックスはマニュアルが大好きで、トラクションコントロールやABSなんてない方が楽しい。SUPER GTのレーシングカーもトラクションコントロールやABSなんてなくて非常に機械的で運転してて楽しいんだ。僕にとっては、80年代から90年代の古いポルシェやフェラーリ 348なんかもよかった……繰り返しになるけど、マニュアルギアボックスが最高だ。

簡単な目標ではないがSUPER GTのチャンピオンを狙う

──予選の状況について教えてほしい。

バトン選手:同じホンダ勢のリアルチームがポールを獲れてよかった。僕たちにとってはタイヤの温度が問題だった。あと1周あればもっといいタイムが出せたと思う。まだ僕たちのタイヤは準備ができてなかった。決勝レースはまた別の話だと考えている。F1との大きな違いはF1ではピットを出るときにはすでにタイヤが暖まっているけど、このレースではそうではない。ドライビングの工夫でなんとかする必要がある。

──SUPER GTシリーズに参戦するにあたり、5つあるホンダ系チームの中からこのチームを選んだのはなぜか?

バトン選手:実際には3つの中から選んだ、ブリヂストンタイヤがいいと思ったからだ。そして多くのドライバーやチームと実際に話して誰と一緒に仕事をするのかいいのか検討した。そしてこのチームと山本尚貴選手と組むのがチャンピオンへの近道だと考えた。

──山本選手はどんなドライバーだと評価しているか?

バトン選手:ホンダドライバーの中で、いや日本のドライバーの中で最も才能があると選手だと思っている。どんなコンディションでも速いし、スーパーフォーミュラでもチャンピオンを獲っている。彼が世界に出て行かないのが不思議なぐらいだ。

──今年の目標を教えてほしい。

バトン選手:いつでもそうだが、シリーズのチャンピオンシップを獲ることを狙っている。ただし、SUPER GTは一筋縄ではいかないレースだ。というのも優勝すれば、次のレースではハンデの重りを乗せないといけない。その状態でもしっかり競争しないといけないし、勝てなかったら次のレースではきっちり勝ちを狙っていかないといけない。いずれにしろ、ミスをしないように完璧なレースをすることが大事だ。