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ヤマハ、フルモデルチェンジした“ママチャリ型”電動アシスト自転車「PAS With」発表会

PASシリーズの2018年モデルを発表、バッテリー保証期間を3年に延長

2018年1月22日から順次発売

11万8800円~15万120円(PAS Withシリーズ)

新型「PAS With DX」とゲストとして発表会に登場した藤本美貴さん

 ヤマハ発動機は11月28日、電動アシスト自転車「PAS(パス)」シリーズの主力モデルとなる「PAS With(ウィズ)シリーズ」の6年ぶりとなるフルモデルチェンジを発表した。PASシリーズはさまざまなタイプが用意されているが、「PAS Withシリーズ」は軽快車タイプのモデル。スタイルや装備によって「PAS With」「PAS With DX(デラックス)」「PAS With SP(スーパー)」の3モデルがあり、発売は2018年2月9日。

 3モデルとも26型と24型を用意し、一部カラーは26型のみとなる。価格は両サイズ共通でPAS Withが11万8800円、PAS With DXが12万2040円、PAS With SPが15万120円。バッテリーアシスト走行可能距離はPAS WithとPAS With DXが強モードで48km、標準モードで56km、オートエコモードで76km、PAS With SPは順に59km、70km、100km。

25年目の新定番

 PAS Withシリーズは、PASシリーズのなかでも約半数を占めるという主力モデル。誰でも使いやすい軽快車タイプのいわゆるママチャリ型。PASシリーズのなかで最も歴史が長いモデルで、1993年に発売した初代PASも同じ軽快車タイプとなり、2018年はPASシリーズが世界初の電動アシスト自転車として発売されてから25周年となる。

新型「PAS Withシリーズ」
1993年発売の初代PAS
こちらも軽快車ベース

 新型では「豊富なカラーラインアップが自慢の、見た目も実用性も兼ね備えたシリーズ」とし、軽快車としての機能だけでなくデザインも重視しながら、普段の買い物から長距離走行まで幅広い用途に対応。ヤマハならではのパワフルでナチュラルなアシスト性能、幅広いシーンに対応する実用性を備えた新世代スタンダードモデルとしている。

 メカニズムでは新型PAS Withシリーズ共通仕様として、アシストシステムのコンセプト「GREEN CORE」に基づいたドライブユニットを装備。新たにスタンドをかけるとハンドルが同時にロックする「スタンド連動式ハンドルストッパー」や、サイドからの視認性を高めた「サイドカット式砲弾型ヘッドライト」、ワイヤーを内蔵しまたぎやすいフレーム高とした「ヤマハオリジナルフレーム」、操作部分となる液晶ファンクションメーターには時計機能を搭載した。

「PAS With」
「PAS With DX」
「PAS With SP」

 なかでもPAS With DXは、籐風ナチュラルバスケット、レザー調デザインのグリップ、クラシカルテリーサドルを装備。ボディカラーはナチュラルでオーガニックな7色を用意し、泥除けもフレームと同じカラーにするなど一体でカラーコーディネートされている。

 上位モデルとして15.4Ahタイプのバッテリーを搭載して、ほかのPAS Withシリーズの12.3Ahに比べ長距離走行を可能とし、アシストレベルをシリーズ最高レベルまで引き上げたものがPAS With SPとなる。大容量バッテリーとアシストが強力なほかは、約24Lの大容量エレガントバスケット、ガード付きGEL入りコンフォートサドルを備える。フレームはロゴを専用グラフィックで仕上げ、エレガントでプレミアムという5色展開となっている。

 また、スタンダード仕様としたPAS Withについても、ガード付きソフトサドルや、約21Lの大容量軽量丸型バスケットなどを装備。カラーは7色展開としている。

PAS With DXの籐風ナチュラルバスケット
PAS With DXのレザー調デザインのグリップ
シリーズ共通装備となるサイドカット式砲弾型ヘッドライトは夜間、側面からも認識しやすい
シリーズ共通装備となるチャイルドシート装着可能なクラス27のパイプキャリア
PAS With SPに装備される約24Lの大容量エレガントバスケット
アシストシステム
PAS With SPに装備される15.4Ahのバッテリー。12.3Ahタイプと充電器は共通
フレームはケーブルを内蔵できる仕組みとなっている

ほかのPASシリーズも2018年モデルを発表、バッテリーが3年保証に

 新型のPAS Withシリーズ発表と同時に、ほかのPASシリーズの2018年モデルも発表された。ファッショナブルデザインモデルの「PAS Ami(アミ)」、北欧テイストデザインの「PAS Mina(ミナ)」、幼児2人同乗基準適合の「PAS un(アン)」シリーズで、主にカラーラインアップやデザイン装備の変更となる。

 いずれも2018年1月22日に発売となり、価格はPAS Amiが12万3120円、PAS Minaが13万1760円、PAS unシリーズが14万4720円~15万1200円。なお、PAS unシリーズの「PAS Kiss mini un(キッス ミニ アン)」のみ2018年3月中旬の発売となる。

ファッショナブルデザインモデルの「PAS Ami」
北欧テイストデザインの「PAS Mina」
幼児2人同乗基準適合の「PAS un」シリーズ
シニア向けの「PAS SION」
PASではないが、スポーツ電動アシスト自転車のYPJシリーズ

 また、同時にバッテリー保証の延長も発表された。こちらは2018年モデルの登場よりも早く、2017年11月28日以降にPASシリーズを新規購入した場合に対象となる。Webサイトやはがきで製品保証登録し、取扱説明書どおりの通常使用において、3年以内、総充電回数700回以下にもかかわらず初期容量の50%未満に劣化した場合に無償で点検・確認・交換が行なわれるというもの。これまでのバッテリー保証は2年間だった。

 なお、ヤマハの電動アシスト自転車にはYPJシリーズもあるが、こちらは別シリーズとなるためバッテリー保証期間の延長は行なわれない。

「電動アシスト自転車のスタンダードを更新」という軽快車リニューアル

 発表日には、日本科学未来館において報道向け製品発表会と試乗会が行なわれた。ヤマハ発動機 ビークル&ソリューション事業本部 SPV事業部マーケティング部PAS商品企画担当の森田愛里氏はまず、ヤマハが「感動創造企業」であり環境問題など3つの開発理念からPASが産まれたという経緯を説明した。

 当初は年配のユーザーが中心だったが、近年では高校生の通学まで幅広く利用されていると説明。ニーズに対応するようラインアップを拡大し、現在23モデルとなっているとした。その結果、2016年には電動アシスト自転車の総需要が50万台を超えるまで伸長、ヤマハとしては技術進化をさせるとともに、新シリーズを投入。高齢者向けやスポーツ電動アシスト自転車という新たな市場を開拓するなどを紹介した。

ヤマハ発動機株式会社 ビークル&ソリューション事業本部 SPV事業部マーケティング部PAS商品企画担当 森田愛里氏
開発のコンセプト
ラインアップの変化
電動アシスト市場の進化。ここ数年は上下動しているが、震災や消費増税による需要の反動によるもので上昇傾向に変化はないとヤマハは説明
PAS新シリーズ投入による新たな挑戦

 そのなかで森田氏は、6年ぶりに軽快車をリニューアルしたという新型「PAS Withシリーズ」について「2018年、電動アシスト自転車のスタンダードを更新すること、ならびに電動アシスト自転車のイメージを刷新すること」と紹介した。

 開発にあたってはアンケート調査の結果から、ユーザーが重要だというキーワードとして「長距離を走れること」「軽いものがほしい」「デザイン」「予算内」を紹介した。検討ポイントのなかでもバッテリーは重要で、走行距離、重さ、充電時間を気にかけているとした。

 さらにバッテリーについては、主な利用シーンから7割以上が1回の走行距離が6km未満、1週間の利用頻度が5回未満で、7割は1週間あたり最大30km走行ということから、PASに標準搭載の強モードでも48km走行可能な12.3Ahのバッテリーで対応可能とし、「お客さまの使用実態に不足ない性能だと考えている」とした。

新型PAS Withシリーズ
いわゆるママチャリ型の現状
選択のポイント
ヤマハが提案するバッテリーのベストバランス
バランスが重要。バッテリー保証期間も延長した
軽快車としてトータルバランスを追求した新型PAS Withシリーズ
新型PAS Withシリーズの3つの特徴

 アンケートなどの分析結果から、新型のPAS Withはトータルバランスを追求し、女性ユーザーが多いことからデザイン性を重視。通勤、通学に欠かせない利便性追求、使い方に合ったバッテリー仕様でまとめたという。

 森田氏は「最も広く普及している軽快車。世の中に多くの製品が販売されるなかでヤマハのWithがいいと選んでもらうための3つのポイントにこだわっている」とポイントを紹介。「ナチュラル&パワフルなシフトフィーリングにこだわる」「実用性にこだわる」「デザインにこだわる」とした。

 なかでもPAS With DXについて、「みなさんが従来イメージするママチャリと比べて印象はいかがでしょうか?」と問いかけ、「デザイン性の高いパーツにこだわっている」とし、そのほかのPAS Withシリーズも「シリーズ全体でデザイン性向上を実現しており、お客様に選んでいただける軽快車を目指した」と説明した。

25年目の新定番としている
スタンダードなPAS With
デザインに注力したPAS With DX
長距離走行可能でバッテリー強化などしたPAS With SP
豊富なカラーラインアップ
PAS With

 PAS Withシリーズに共通した特徴は、「従来よりもフレーム高を低く、乗りやすく実用性を向上」「スタンドをかけるとハンドルがロックされる機構を軽快車として初めて採用し、たくさん荷物があっても安心」「リアキャリアはWithシリーズ専用で、フレームと合わせた色、クラス27のキャリアでチャイルドシートの取付が可能」「ヘッドライトはサイドに切り欠きを設け、サイドからの被視認性をアップさせた安心設計」「メインスイッチは液晶画面で業界で唯一、時計機能が搭載された便利なもの」などと優位性を強調した。

欧州ではシステム供給、北米では完成車として事業を進める

 ヤマハ発動機 ビークル&ソリューション事業本部 SPV事業部 事業部長の砂川光義氏は、「2018年はヤマハ発動機が世界初の製品として電動アシスト自転車PASを発売し、25年目の節目を迎える。今日のようにPASがお客様に愛される製品に成長したことは、まことに喜びにたえない」と挨拶。これまでの25年を振り返りながら、今後は「イノベーションの情熱をもとに、デザインの個性を大切にし、お客様の心躍る瞬間や魅力ある製品開発に挑戦する」と宣言した。

 新型のPAS Withシリーズについては「電動アシスト自転車の原点」とし、「お客様が美しいと感じるフォルムやカラーを開発テーマに加えている」とデザイン性などに注力していることを強調した。

 海外展開については、欧州市場では自転車メーカー向けに「E-KIT」という電動アシストシステムの供給を行なっているが、そのラインアップ拡充を実施。北米市場では日本のような完成車の供給を2018年から開始して、PAS事業のいっそうの拡大を目指すとした。「ネクスト25年は世界のお客様からヤマハを選んで本当によかったと思える完成車、E-KITの企画開発マーケティング、サービス活動を進めていく」と締めくくった。

ヤマハ発動機株式会社 ビークル&ソリューション事業本部 SPV事業部 事業部長 砂川光義氏
発売から25年を迎えて
これまでの歴史
PASのこだわり
25周年ということで記念のカフェオレとクッキーも用意された

「誰かがずっと押してくれている」とミキティ

 発表会では、ゲストとして自身もPASシリーズを利用しているという「ミキティ」こと藤本美貴さんが登場。電動アシスト自転車について語ったほか、地下駐車場に特設された試乗コースで新型PAS Withなどの試乗も行なわれた。

ゲストとして藤本美貴さんが登場。電動アシスト自転車について語る
活用している様子がうかがえた
実際に家族で使っている様子の写真も紹介。右は庄司智春さんが乗っている

 トークセッションでは藤本さんが電動アシスト自転車の活用について紹介。約3年前に購入し、初めて電動アシスト自転車に乗ったとき「感動ですよね。誰かがずっと押してくれている」と感想を持ったと話し、現在は「(子供を)前と後に乗せてますけど、けっこう急な坂をつらい顔ひとつせず、座ったまま上っていけるのがすごい。子供から『ママ頑張って』と言われない」とし、「なくては生きていけない」と便利さを強調した。

 お子さんのいる藤本さんだけに、幼稚園の送り迎えに使い、クルマと違って公園などにも立ち寄りやすく、自動車に対して逆に行動範囲が広がったとしたほか、ママ友とも自転車で遊びに行きやすいとし、「子育てって大変なことが多いなか、1つ快適にしてくれるのが電動アシスト自転車だと思う」と話した。

 今回のPAS Withシリーズについては「ママチャリってあまりおしゃれではない印象があったんですが、いまどきはスタイリッシュ」「おしゃれな洋服では合わない部分があったけど、そこもちゃんと叶えてくれるのがすごいなと思いました」と感想を話した。

 藤本さんは試乗会場にも登場。PAS With DXや、幼児乗車ができるPAS Kiss mini unを試乗した。

特設コースにてPAS With DXを試乗中の藤本美貴さん
PAS With DXを試乗中
幼児乗車ができるPAS Kiss mini unを試乗中
PAS Kiss mini unと藤本美貴さん